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「……んっ…………」
急に唇に触れられ、最初は驚いた匠の瞳が、そのままゆっくりと閉じられていく。
その反応を身届けると、確かめるように浅葱の唇が匠の唇を塞いだ。
「……んっ……ぁ……ぁっ……」
それは小さな音と声を漏らしながら、何度も何度も繰り返された。
「……んっ……ん……っ……。
……あさ……ぎ……さん……」
匠は右腕だけでしがみ付きながら、その唇を受けていく。
だがその浅葱の唇は、以前のような、軽く触れ合うだけでは終らなかった。
声を漏らす度、わずかに開かれる匠の口を開くように、浅葱の舌が挿し入れられる。
「……ぁ……っ……んっ!
……ぁっ。
……あさ……」
思わず匠の声が漏れ、背中に回した腕に力が入る。
「……や……やめ……て……。
…………ん……っ……!」
匠の脳裏にあの男に強要された行為が蘇っていた。
――タクミ、舌を出すんだ――
闇の中で聞えたあの男の冷酷な声。
抗う事ができず、小さく口を開け舌を差し出した自分。
そして、何度もその口に無理矢理に押し込まれた男達のモノ……。
「……ぃやっっ……!……」
反射的に顔を背けると、自分を覆っていた唇が離れていく。
「……匠……」
浅葱の声がして目を開いた。
目の前には、まだ淡くしか見えないが確かに浅葱の顔があった。
額と額をあわせるようにコツンとあてて、愛おしそうに自分を見つめる浅葱の目……。
「浅葱……さん……」
「ああ、俺だ。
……嫌か? 嫌なら無理強いはしない……」
そう言ってそっと頭を撫でられた。
匠は目を伏せた。
だがすぐに浅葱の顔を正面から見つめ、首を振った。
「大……丈夫……。……浅葱さんだから……」
「……ん……。無理だと思ったら、ちゃんと言うんだぞ。
……ほら、少しだけ口を開けろ……」
その声に抵抗する事は、今の匠には、もう出来なかった。
……ぁっ! ……んっ……!!
小さく開けられた匠の唇から、割り込むようにして浅葱の柔らかい舌が入ってくる。
それが匠の舌に触れる……。
「……ぁぁっ……!……」
浅葱は柔らかく優しかった。
頭の中が霞み、体の痛みも忘れさせてくれるような唇と舌の動き……。
それは、今までに感じたことのない甘い感覚……。
「ぁ……んっ……ん……ん……っ……」
思わず声を出しながら、匠の舌も動いていた。
無意識に浅葱を追う……。
舌先と舌先が軽く触れると、蓋をしていた感情が溢れ出た。
頭を優しく抱かれ、何度も何度も唇を合わせ、差し出されるものを匠は受け入れた。
浅葱の背中に回した右手でシャツを握り締め、我慢できずに強く舌を絡ませ……互いを求め合った。
そしてやっと浅葱の唇から開放される。
「匠……。
お前の側にいるのは何があっても俺だけだ。
だから今は焦る事も、怖がる事もない……」
「……」
「一人で全てを抱え込むな。
今と同じように涙を見せて、お前の気持ちを俺に話してくれ……。
何もわからないままでは……」
そこまで言うと寂しそうな浅葱の声が、苦しそうに詰まった。
「浅葱……さん……?」
あの騒がしい場所で感じた浅葱の涙。
胸の二つのタグ。
そして、今も……。
なぜ、こんなに苦しそうな顔をするのか……。
「浅葱さん……。
今は……もうそれ以上……言わないで……」
匠はもう一度、右腕に力を入れて浅葱を引き寄せた。
浅葱の左肩を抱くようにして、自ら浅葱の唇を塞いだ。
急に唇に触れられ、最初は驚いた匠の瞳が、そのままゆっくりと閉じられていく。
その反応を身届けると、確かめるように浅葱の唇が匠の唇を塞いだ。
「……んっ……ぁ……ぁっ……」
それは小さな音と声を漏らしながら、何度も何度も繰り返された。
「……んっ……ん……っ……。
……あさ……ぎ……さん……」
匠は右腕だけでしがみ付きながら、その唇を受けていく。
だがその浅葱の唇は、以前のような、軽く触れ合うだけでは終らなかった。
声を漏らす度、わずかに開かれる匠の口を開くように、浅葱の舌が挿し入れられる。
「……ぁ……っ……んっ!
……ぁっ。
……あさ……」
思わず匠の声が漏れ、背中に回した腕に力が入る。
「……や……やめ……て……。
…………ん……っ……!」
匠の脳裏にあの男に強要された行為が蘇っていた。
――タクミ、舌を出すんだ――
闇の中で聞えたあの男の冷酷な声。
抗う事ができず、小さく口を開け舌を差し出した自分。
そして、何度もその口に無理矢理に押し込まれた男達のモノ……。
「……ぃやっっ……!……」
反射的に顔を背けると、自分を覆っていた唇が離れていく。
「……匠……」
浅葱の声がして目を開いた。
目の前には、まだ淡くしか見えないが確かに浅葱の顔があった。
額と額をあわせるようにコツンとあてて、愛おしそうに自分を見つめる浅葱の目……。
「浅葱……さん……」
「ああ、俺だ。
……嫌か? 嫌なら無理強いはしない……」
そう言ってそっと頭を撫でられた。
匠は目を伏せた。
だがすぐに浅葱の顔を正面から見つめ、首を振った。
「大……丈夫……。……浅葱さんだから……」
「……ん……。無理だと思ったら、ちゃんと言うんだぞ。
……ほら、少しだけ口を開けろ……」
その声に抵抗する事は、今の匠には、もう出来なかった。
……ぁっ! ……んっ……!!
小さく開けられた匠の唇から、割り込むようにして浅葱の柔らかい舌が入ってくる。
それが匠の舌に触れる……。
「……ぁぁっ……!……」
浅葱は柔らかく優しかった。
頭の中が霞み、体の痛みも忘れさせてくれるような唇と舌の動き……。
それは、今までに感じたことのない甘い感覚……。
「ぁ……んっ……ん……ん……っ……」
思わず声を出しながら、匠の舌も動いていた。
無意識に浅葱を追う……。
舌先と舌先が軽く触れると、蓋をしていた感情が溢れ出た。
頭を優しく抱かれ、何度も何度も唇を合わせ、差し出されるものを匠は受け入れた。
浅葱の背中に回した右手でシャツを握り締め、我慢できずに強く舌を絡ませ……互いを求め合った。
そしてやっと浅葱の唇から開放される。
「匠……。
お前の側にいるのは何があっても俺だけだ。
だから今は焦る事も、怖がる事もない……」
「……」
「一人で全てを抱え込むな。
今と同じように涙を見せて、お前の気持ちを俺に話してくれ……。
何もわからないままでは……」
そこまで言うと寂しそうな浅葱の声が、苦しそうに詰まった。
「浅葱……さん……?」
あの騒がしい場所で感じた浅葱の涙。
胸の二つのタグ。
そして、今も……。
なぜ、こんなに苦しそうな顔をするのか……。
「浅葱さん……。
今は……もうそれ以上……言わないで……」
匠はもう一度、右腕に力を入れて浅葱を引き寄せた。
浅葱の左肩を抱くようにして、自ら浅葱の唇を塞いだ。
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