43 / 232
-42
しおりを挟む
オヤジの言葉に室内がシンと静まり返った。
「お、おい! お前ら! 何、沈んでやがんだっ!」
重い空気を払拭するようにオヤジが叫ぶ。
「今の話は参考程度で聞いとけ!
確証は何も無ぇんだ!
それに、もしこの医者が奴等の中にいたとしても、坊ヤを助けるって目的は何も変っちゃぁいねえ……だろうがよ!
この画像をよこした理由は知らねぇ。
だが、このマークはでっけえヒントだ。
これで俺達は奴等より一歩前に出た。
何があっても、それだけは紛れもねぇ事実だ!
こっからが勝負だ! 一気に行くぞ!
……流!
当時のこの医療機関、大学……その他諸々なんでもいい、関係ありそうな場所をピックアップしろ!
中でも地下室、倉庫……この画像に合致しそうな場所は要チェックだ。
他の者も手伝ってくれ!
かなり大掛かりな機関だったはず……ポイントはいくらでも出て来るぞ!」
自らの――、いや、全員の不安を消し去るような大声で一気に指示を与えた。
「……だな! ゴチャゴチャ考えてたって仕方ねえ。
おやっさんの言う通りだ!
みんな手分けしろ!」
「……よっしゃ! やるか!」
その声で全員が気持ちを立て直す。
バタバタとそれぞれに場所を陣取り、PCを立ち上げ、テーブルに地図を広げる。
皆、慌しく動く事で自らを奮い立たせていた。
その様子を一人黙って見ていた浅葱は、オヤジの方へ目を向けた。
オヤジの話しに一番ショックを受けていたのは浅葱だった。
目の前の、縛られている匠の映像。
多分これだけでは済まない。
いや、もうすでに……。
ここに居る誰よりも危機感を持っていた。
そして、この送り付けられた画像が示すもの。
それは自分への宣戦布告……。
そう思っていたのはオヤジも同じだった。
視線を合わせると、浅葱の怒りや動揺が手に取るように伝わって来る。
“……落ち着け、恭介……。
お前が焦れば全員が不安になる。
坊ヤを助け出せるのは お前だけだろ”
黙って見つめる目が語っていた。
オヤジ……。
浅葱は無言のままオヤジに頭を下げた。
それに答えるようにオヤジも小さく頷く。
そんな二人の無言のやり取りを、深月もまた、じっと見ていた。
最強と言われる二人を……。
一歩前へ進んだ……。
ここからが本当の戦いだ。
深月も背筋に力を入れた。
当時の古い資料を参考に、関連の病院、医療施設、薬品会社、倉庫等々。
関係者の住宅や寮まで、あらゆる情報を掘り起こす。
何十年も前の話しで、現存するものは少なかったが、それでもPC画面に点滅するポイントは一つ、二つと増えていった。
「お、おい! お前ら! 何、沈んでやがんだっ!」
重い空気を払拭するようにオヤジが叫ぶ。
「今の話は参考程度で聞いとけ!
確証は何も無ぇんだ!
それに、もしこの医者が奴等の中にいたとしても、坊ヤを助けるって目的は何も変っちゃぁいねえ……だろうがよ!
この画像をよこした理由は知らねぇ。
だが、このマークはでっけえヒントだ。
これで俺達は奴等より一歩前に出た。
何があっても、それだけは紛れもねぇ事実だ!
こっからが勝負だ! 一気に行くぞ!
……流!
当時のこの医療機関、大学……その他諸々なんでもいい、関係ありそうな場所をピックアップしろ!
中でも地下室、倉庫……この画像に合致しそうな場所は要チェックだ。
他の者も手伝ってくれ!
かなり大掛かりな機関だったはず……ポイントはいくらでも出て来るぞ!」
自らの――、いや、全員の不安を消し去るような大声で一気に指示を与えた。
「……だな! ゴチャゴチャ考えてたって仕方ねえ。
おやっさんの言う通りだ!
みんな手分けしろ!」
「……よっしゃ! やるか!」
その声で全員が気持ちを立て直す。
バタバタとそれぞれに場所を陣取り、PCを立ち上げ、テーブルに地図を広げる。
皆、慌しく動く事で自らを奮い立たせていた。
その様子を一人黙って見ていた浅葱は、オヤジの方へ目を向けた。
オヤジの話しに一番ショックを受けていたのは浅葱だった。
目の前の、縛られている匠の映像。
多分これだけでは済まない。
いや、もうすでに……。
ここに居る誰よりも危機感を持っていた。
そして、この送り付けられた画像が示すもの。
それは自分への宣戦布告……。
そう思っていたのはオヤジも同じだった。
視線を合わせると、浅葱の怒りや動揺が手に取るように伝わって来る。
“……落ち着け、恭介……。
お前が焦れば全員が不安になる。
坊ヤを助け出せるのは お前だけだろ”
黙って見つめる目が語っていた。
オヤジ……。
浅葱は無言のままオヤジに頭を下げた。
それに答えるようにオヤジも小さく頷く。
そんな二人の無言のやり取りを、深月もまた、じっと見ていた。
最強と言われる二人を……。
一歩前へ進んだ……。
ここからが本当の戦いだ。
深月も背筋に力を入れた。
当時の古い資料を参考に、関連の病院、医療施設、薬品会社、倉庫等々。
関係者の住宅や寮まで、あらゆる情報を掘り起こす。
何十年も前の話しで、現存するものは少なかったが、それでもPC画面に点滅するポイントは一つ、二つと増えていった。
0
お気に入りに追加
129
あなたにおすすめの小説




塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる