刻印

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 どれほど時間が経ったのかさえ、わからなくなっていた。
 
   朦朧とする意識の中、老人が「少し休憩だ……」そう言った声だけが聞こえ、また背中に液体がかけられた。

「……ゥンッッ……!!!」
 過呼吸と痙攣の発作で全身の震えが止まらなかった。

 そんな匠の様子を、男はまるで実験動物でも観察するかのような、冷ややかな、感情の読めない目でずっと見つめ続けている。


「やはり上半身は上手く動かないようだな。
 手と指はいけるようだが……」

 そう言って匠が必死に握り締めていた台から易々と指を外す。
 そして赤ん坊にでもするように、自分の人差し指を一本握らせた。

「ほら、私の指を折ってごらん。
 たった一本だ。容易いだろう?
 この指がタクミを陵辱したんだよ」

 クスッ……と笑うように挑発され、匠は思わず指に力を込めた。
 だが震える指は相手の指を折るどころか、強く握る事さえできない。

「力もあまり入らないか……」
 男は哀れむように笑った。

「震えてるのか? 可哀相に。
 そうだ、頑張ったご褒美をあげないといけないな」

 嬉しそうにそう言うと、まだ濡れている台の上に腰を掛け、匠の震える体を撫で始めた。
 そしてそのまま、グッと脚を左右に開かせる。

「タクミの鳴く声は私を興奮させる……」
 匠の濡れた腰を片手で持ち上げた。

 上半身を台に付けたまま、腰だけを高く上げた匠。
 掛けられていた液体が背中へ ツッ……と流れる。
 男は腰を持ち上げられ露わになった匠の後ろを指で割り開くと、そこに舌を這わせた。


「……ぁ……ぅんっ…………!」
 体の激痛と息苦しさ、震えで抵抗する事さえできない。
 男はそのまま粘膜も押し広げ、舌先を細め、中まで侵入していった。

「ぁっァ……ッ……ンっ! ……ンッ……!!」
 匠は無意識に、唯一満足に動く足で腰を捩った。

「どうした? よがってるのか? 
 可愛いな、タクミは……」

 そんな匠に、男は自制できなくなったのか、自分のモノを取り出していた。
 台に上がり、開かせた足間に割って入る。
 膝を付いて匠の足を抱えると、自らのモノをその後ろへあてがった。

「ぁっ……クッ……!」
 匠が小さく呻き、力の入らない指で台を握り締める。


 男の目の前には、匠の背中…… “刻印” があった。


「タクミ、こうして支配しながら眺める刻印は最高に美しいよ」
 そう言って、まだ出血の止まらない傷に手を乗せた。

「んっぁあああッ……!!」
 
 ズッ――
 匠の叫びと同時に、男のモノが体内に入ってくる。

「んっ……んっ……ぁっ……ああッッ!! ……やめッ……」
 動かない体で少しでも前へ逃がれようとした。
 だが男はその背中の傷を押さえて放さない。

「や……やめろ…………んっ!」
 男のモノが奥へ奥へと圧し込まれていく。
 やがて男の右腕は、脇腹から前へ抱き込むように回され、匠のモノを手に取り、動かし始めていた。
 
「んっ!! ……ぁ……ぁ……ん……っ……」
 思わず声をあげた。

 男は匠を擦り上げながら激しく腰を打つ。
 振動で傷が痛む……。
 呼吸が苦しく息ができない……。

 だが、滴下され続ける薬のせいで、匠自身も確実に登り詰めようとしていた。
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