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 合流ポイントには、すでに浅葱の車が止まっていた。
 近付いて中を確認したが人影はない。

 この辺りの道は頭に叩き込んで来たが、地図と現実ではかなり印象も違う。
 腕時計に目を遣ると、合流までにまだ少し時間がある。
 匠は歩いて表通りに出てみる事にした。


 街にはいつもと同じ時間が流れていた。
 何も変わった様子は感じられない。
 会社帰りのサラリーマン、OL、まだ制服を着た女子高校生……。
 都心から少し外れているせいか、この辺りの人通りは少ない方だ。



「そんなに険しい顔をしていると怪しまれるぞ。笑え」
 不意に後ろで声がした。

「浅葱さん……」
 振り返ると、そこには咥えタバコの浅葱の姿があった。

 背の高い、スーツに黒いコートの立ち姿。
 整った顔立ちに少し冷たい印象の切れ長の目。
 どうみても俳優か、高級クラブの敏腕オーナーといった感じだ。
 その姿に思わず匠の顔が赤くなる。

「笑えって……。
 浅葱さんこそ……顔、怒ってますよ、どう見ても」

「怒ってはいない。これが普通だ」

 さっさと歩きだした浅葱に追いつこうと、匠は急ぎ足になる。


 しばらく歩いて一棟の巨大な雑居ビルに着くと、
「ここだ。早くしろ」
 浅葱の声がした。
 
 早くしろって……歩くの早すぎ……。
 浅葱の背中を見ながら呟いた。


「いいか? ここからは絶対に俺から離れるな」

 匠の考えなどお構い無しに、矢継ぎ早に指示を出す浅葱に、
「離れるなって、子供扱いしないで下さい。
 ガキじゃないんですから」
 そうは言ってみたが、聞いているのか、いないのか、返事も返ってこなかった。




 階段を上り、目的の階の扉前で二人は銃を構えた。
 浅葱が手を伸ばし、そっと扉を開く。

「……真……っ暗……」

 最悪な場合、すぐにでも銃撃戦が――
 そんな危機的な事態も想像していた匠は、思わずそう呟いていた。

「……黙ってろ」

 小声ながらも迫力ある声に圧倒され、匠は浅葱に続いて真っ暗な廊下へと踏み入った。
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