華燭の城

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 あまりにも静かなその声は、静かさ故に狂気さえ含んでいるように聞こえる。
 ピクリと一瞬、動きを止めたシュリの髪を掴み、ガルシアがグイとその頭を引き上げた。

「……ンッ!」

 目を閉じたままのシュリは、黙ってされるがまま、抵抗する力さえない。

「陛下……私が!」
 耐え切れなくなったラウが横から叫ぶ。

「うるさい、お前は黙っていろ。
 シュリが自らやると言ったのだ。
 なぁ? シュリ、そうだろう?
 できもしない事をできると言ったのか? 
 ……ん?」

 ガルシアは跪いていたシュリを自分の顔の前まで引き摺り上げると、その顎を片手で鷲掴んだ。
 そしてもう片方の手をシュリの下半身へ伸ばすと、衣服の中に突っ込み、冷たい手でシュリのモノを直に握り込む。

「……クッ……!」

「……ん? どうした? ここは無反応か?
 自分が感じなければ、他人のモノを咥える気にもならないか?」

 ガルシアの手は、何も反応を示していないシュリを掴んだまま、ゆっくりと擦り上げるように動き始める。

「……っ……! ……クッ……」

 だがシュリの身体は、その神経は、すでに痛みに支配され尽くし、今、外からどんな行為を受けようが、それはもう苦痛でしかなかった。

「……ッ……っ……。
 ……や、やめ……んっ…………」

 頭を振って嫌がるシュリの顔をじっと見ながら、しばらく手を動かしていたガルシアが、
「つまらんヤツめ……」
 そう吐き捨て、乱暴にその体を突き放した。

 反動でドサッと床に倒れ落ち、思わずついた右手の砕けた痛みに呻くシュリを、すかさずラウが抱き寄せる。

「シュリ! 大丈夫ですか! シュリ!」
「……ラウ……」

 その様子を見下ろしていたガルシアの唇がニヤリと動いた。

「そうだ、ラウム。
 今、この場でお前がシュリを犯せ。
 シュリも、お前のモノは咥えたのだろう?
 大好きなお前に挿れてもらえば、少しは感じ、その気になるだろう。
 シュリ、お前は犬のように四つん這いで、後ろをラウムにられながら、その口でワシのモノも咥えるのだ。
 神の子が、上も下も一遍に犯される……。
 これはいい見世物ができるぞ」

「……陛下! もうお許しください!」

「うるさいぞ! ラウム!
 何度も同じことを言わせるな!」

 ガルシアの脚がラウの右足をガンッと蹴り上げた。
 分厚く硬い靴底と、骨とがぶつかる鈍い音が響く。

「……ンァッッ!!」
 思わず悲鳴に近い声を上げ、ラウが右足を押さえうずくまる。

「やめろ……! ガルシア……!」

 今度はシュリがラウをかばうように覆い被っていた。

「ほう、庇い合いか? 美しいな。
 しかし、できなければ何度でも同じ目に合うだけの事」

 ガルシアが薄ら嗤いながらシュリの肩口を掴み、庇い合う二人を引き剝がすと、再びラウを蹴り上げようと足を上げる。

「……やめろ! やれば……いいのだろ!
 見世物でも何でも……やれば……!」

「フン。やると言ったのはこれで二度目だぞ。
 三度目は無いと思え」

 肩を掴まれたままのシュリが小さく頷いた。

 ガルシアはソファーにドッカと腰を下ろすと、剥き出しの下半身で大きく足を開く。
 その前で、右手で体重を支えられないシュリは左手だけを床につき、自らガルシアの前に四つん這いになった。

「ラウ……。構わない……ここで私を……」
「シュリ……」

 ラウは抗う事もできず、目を伏せたまま、右足を引き摺り、シュリの後ろに回り膝立ちになる。

「神の交尾か、見物みものだな」

 鼻で笑うその声に、ラウは顔を上げ、睨むようにじっとガルシアを見ながら、シュリの衣服に手を掛けた。
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