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「ワシは『シュリは、お前のモノを咥えたのか?』と聞いた」
その声にラウが唇を噛む。
「はい……一度……」
「ほう……。
ではお前にはできて、ワシにはできぬと言うのか?
お前をただ喜ばせるために、シュリを与えたのではないぞ?
その意味、わかっているのだろうな?」
冷たい声だった。
「……はい……」
ラウが頭を下げたまま、小さく答える。
それは “使用人” が “皇子” を跪かせろという屈辱。
“神” を凌辱し、地に堕とせとという命令。
幾重にもなるシュリへの冒涜だった。
「申し訳ありません……。
……もうしばらく時間を……」
そのラウの苦し気な返答に、ガルシアの冷ややかな目が一層鋭く細くなる。
「ただ許しを乞うだけか?」
その射るような視線に、深く頭を下げたラウがゆっくりと縛っていた髪を解いた。
腰を折ったまま、ガルシアの方へと上げた顔に黒髪がサラリとかかり、その美しさを更に際立たせ、わずかに上目見る眼は妖艶さを漂わせる。
「ほう……。その手でくるか」
ガルシアが薄ら笑った。
「ならば、今夜もお前が、存分にワシを満足させてくれると言うのだな?
今日は咥えるだけで終わると思うなよ?
久しぶりにその体、可愛がってやる。
……こっちへ来い」
顎で指図する。
呼ばれたその声に、無言のまま小さく頭を下げたラウがコツコツと杖をつき、側に寄ろうとした時だった。
「やめろ……ラウ……。
お前は……もうそんなこと……するんじゃない……。
……私が……」
「私でよろしければ」
ガルシアの足元で、まだ自分の体を支える事さえできないシュリが呟く声を、ラウが遮った。
「……ラウ……やめるんだ……」
「何もできぬ無能のくせに、うるさいぞ!」
ガルシアの足が、四つん這いのシュリの体を、出血の続く胸元を、下からドスッ! と蹴り上げた。
「……ンッッ!」
その衝撃で一瞬呼吸が止まる。
震える腕が体を支えきれなくなり、シュリはその場に崩れるように蹲った。
ガルシアは、そんなシュリを冷酷な目で見下ろしながら、床に着いた肩をグイと踏み付ける。
「良い恰好だな。
神と言えど、所詮はこの程度。
ワシの足元でおとなしくしていろ」
そう言うと、もう一度シュリの胸を蹴り上げた。
「グッ……!
……ゴホッ…………!」
口内が切れたのか、苦しさに咳き込む唇端からポツ。と血が滴る。
揺れる炎の前で、ラウが自らシャツを脱ぎ、
「陛下……」
と声を掛けるまで、憑りつかれたようにガルシアはシュリを蹴り続けた。
重い音が何度も響く。
ラウに呼ばれ、ようやく我に戻ったのか、顔を上げたガルシアが、その姿にニヤリと笑った。
ラウはガルシアの淫猥な視線を正面から受け止め、その意識を自分に向けさせるように、ゆっくりと煽情の微笑みさえ浮かべながら全ての衣服を脱いでいく。
痛みと苦しさで俯せるシュリには、もうラウを止める力は残っていなかった。
艶めかしく誘うようなラウの身体と視線に、自身が抑えきれなくなったのか、ガルシアはテーブルの上の酒瓶を床になぎ落した。
ガシャン! と、グラスや瓶が床に散乱する派手な音でシュリが顔を上げる。
そこには、ラウを乱暴にテーブルに押し倒すガルシアの姿があった。
「……!
……や……めろ……」
満足に息を吸う事さえできず、枯れた喉からは声も出ない。
ただただ悔しさに拳を握り締めた。
そんなシュリの目の前で、ガルシアがラウを犯していく。
自分の部屋で見たラウの美しい体。
それが今、ガルシアの下に組み伏されていた。
聞こえるのはラウに命令する声と、その後に続くガルシアの上ずった息遣い、湿った淫猥な音……。
ラウは声を上げることさえなく、ただ玩具のようにガルシアの命に応え、長い手足をガルシアの体躯に伸ばし、絡ませ、言われるがまま、そのしなやかな体を差し出し弄ばれていた。
……ラウ……。
ラウ……。
やめろ……。
ラウに手を出すな……。
ラウだけは……。
ラウ……!!
それはラウへの想い。
自身の本当の気持ち……。
ようやくそこへ思い至り、自分の気持ちに気がついたシュリの目から、ポロポロと涙が零れ落ちる。
愛しい者を目の前で犯される様は、耐えられなかった。
やめろ……!
やめろ…………!
やめてくれ…………!!
言葉にならない叫びと共に、胸が圧し潰される苦しさ。
徐々に呼吸ができなくなり、シュリの意識はゆっくりと闇に沈んでいく。
「……ラウ…………ラウ……」
うわごとのようなその小さな声に、ラウは「ここに居ますよ」と手を握り返す。
いつもと同じ、静かな声と細い指だった。
シュリは目を閉じたまま小さく頷き、安堵の中で眠りに堕ちていった。
その声にラウが唇を噛む。
「はい……一度……」
「ほう……。
ではお前にはできて、ワシにはできぬと言うのか?
お前をただ喜ばせるために、シュリを与えたのではないぞ?
その意味、わかっているのだろうな?」
冷たい声だった。
「……はい……」
ラウが頭を下げたまま、小さく答える。
それは “使用人” が “皇子” を跪かせろという屈辱。
“神” を凌辱し、地に堕とせとという命令。
幾重にもなるシュリへの冒涜だった。
「申し訳ありません……。
……もうしばらく時間を……」
そのラウの苦し気な返答に、ガルシアの冷ややかな目が一層鋭く細くなる。
「ただ許しを乞うだけか?」
その射るような視線に、深く頭を下げたラウがゆっくりと縛っていた髪を解いた。
腰を折ったまま、ガルシアの方へと上げた顔に黒髪がサラリとかかり、その美しさを更に際立たせ、わずかに上目見る眼は妖艶さを漂わせる。
「ほう……。その手でくるか」
ガルシアが薄ら笑った。
「ならば、今夜もお前が、存分にワシを満足させてくれると言うのだな?
今日は咥えるだけで終わると思うなよ?
久しぶりにその体、可愛がってやる。
……こっちへ来い」
顎で指図する。
呼ばれたその声に、無言のまま小さく頭を下げたラウがコツコツと杖をつき、側に寄ろうとした時だった。
「やめろ……ラウ……。
お前は……もうそんなこと……するんじゃない……。
……私が……」
「私でよろしければ」
ガルシアの足元で、まだ自分の体を支える事さえできないシュリが呟く声を、ラウが遮った。
「……ラウ……やめるんだ……」
「何もできぬ無能のくせに、うるさいぞ!」
ガルシアの足が、四つん這いのシュリの体を、出血の続く胸元を、下からドスッ! と蹴り上げた。
「……ンッッ!」
その衝撃で一瞬呼吸が止まる。
震える腕が体を支えきれなくなり、シュリはその場に崩れるように蹲った。
ガルシアは、そんなシュリを冷酷な目で見下ろしながら、床に着いた肩をグイと踏み付ける。
「良い恰好だな。
神と言えど、所詮はこの程度。
ワシの足元でおとなしくしていろ」
そう言うと、もう一度シュリの胸を蹴り上げた。
「グッ……!
……ゴホッ…………!」
口内が切れたのか、苦しさに咳き込む唇端からポツ。と血が滴る。
揺れる炎の前で、ラウが自らシャツを脱ぎ、
「陛下……」
と声を掛けるまで、憑りつかれたようにガルシアはシュリを蹴り続けた。
重い音が何度も響く。
ラウに呼ばれ、ようやく我に戻ったのか、顔を上げたガルシアが、その姿にニヤリと笑った。
ラウはガルシアの淫猥な視線を正面から受け止め、その意識を自分に向けさせるように、ゆっくりと煽情の微笑みさえ浮かべながら全ての衣服を脱いでいく。
痛みと苦しさで俯せるシュリには、もうラウを止める力は残っていなかった。
艶めかしく誘うようなラウの身体と視線に、自身が抑えきれなくなったのか、ガルシアはテーブルの上の酒瓶を床になぎ落した。
ガシャン! と、グラスや瓶が床に散乱する派手な音でシュリが顔を上げる。
そこには、ラウを乱暴にテーブルに押し倒すガルシアの姿があった。
「……!
……や……めろ……」
満足に息を吸う事さえできず、枯れた喉からは声も出ない。
ただただ悔しさに拳を握り締めた。
そんなシュリの目の前で、ガルシアがラウを犯していく。
自分の部屋で見たラウの美しい体。
それが今、ガルシアの下に組み伏されていた。
聞こえるのはラウに命令する声と、その後に続くガルシアの上ずった息遣い、湿った淫猥な音……。
ラウは声を上げることさえなく、ただ玩具のようにガルシアの命に応え、長い手足をガルシアの体躯に伸ばし、絡ませ、言われるがまま、そのしなやかな体を差し出し弄ばれていた。
……ラウ……。
ラウ……。
やめろ……。
ラウに手を出すな……。
ラウだけは……。
ラウ……!!
それはラウへの想い。
自身の本当の気持ち……。
ようやくそこへ思い至り、自分の気持ちに気がついたシュリの目から、ポロポロと涙が零れ落ちる。
愛しい者を目の前で犯される様は、耐えられなかった。
やめろ……!
やめろ…………!
やめてくれ…………!!
言葉にならない叫びと共に、胸が圧し潰される苦しさ。
徐々に呼吸ができなくなり、シュリの意識はゆっくりと闇に沈んでいく。
「……ラウ…………ラウ……」
うわごとのようなその小さな声に、ラウは「ここに居ますよ」と手を握り返す。
いつもと同じ、静かな声と細い指だった。
シュリは目を閉じたまま小さく頷き、安堵の中で眠りに堕ちていった。
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