華燭の城

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「んっッ……! ……クッ……!」

 シュリが思わず声を上げると、直に触れたガルシアの太い指はその声に喜び、踊るように動き、時に強く握り締め、丹念に根元から先までを何度もなぞった。

「どうだ、神の子よ。感じるか?
 ここか……? それともここか……?」

 チラと目線を上げ、シュリの苦悶の表情に冷笑しながら、ガルシアの指は益々暴力的になる。
 体を仰け反らせ、両手で必死に抵抗するシュリをあおりながら、執拗に弄ぶ。

「んっ……!
 ……や……やめ……ろ…………!」
 
 動きに強弱をつけながら、巧みに速度を増すガルシアの手指。
 刺激だけの執拗な責め。
 無理矢理に口内に運ばれ続ける強い酒と這いずり回る舌。
 
 ガルシアの太い腕から逃れる事もできず、シュリは屈辱の中で顔を歪めた。

「良い顔だ。 
 宴であれほど美しく聡明に振舞う神の子が、まさかワシの腕の中でこんな顔をして善がっているとはな。 
 さあ、我慢することはない。ワシの手でってみろ」

「っ……ぁああ……。
 ……や……いや…………だ……。やめ……ろ……」

 一気に激しくなったガルシアの手に、シュリが腰を反らせ小さく声を上げる。 

「ほらほら……どうした、神の子よ」

「……ぁっ……ぃ……やだ……。
 ……んっぁ……や、やめろ……。
 …………やめ……っ!!」

 その時、仰け反っていた白い体がピクンと跳ねた。


「……っ!」
 直後、息を詰まらせたまま、シュリはガルシアの手の中に自身の精を吐き出していた。

「よしよし……。
 所詮、神の子もワシの前では抗う事もできぬ」

 ガルシアは満足そうに紅潮するシュリの顔を眺めると、まだ小さく喘ぐその口を自分の唇で覆う。

「……んっ……!」

 嫌がるシュリの口内を舌でまさぐりながら、その手を衣服から抜き出した。

 掌の真新しい粘液……。

「これからは、お前の全てがワシのモノだ。
 この美しい顔も、体も、この精も。
 神はもうワシの手中に堕ちたのだ」

 そう言いながら、自分の濡れた舌でその手をベロリと舐め取り、ニヤリと笑って見せた。


「おい、ラウム! 
 こっちへ来てシュリを立たせろ」
 入り口横で黙って見ていたラウをガルシアが呼んだ。


 ……!! ラウ……!
 
 その声で、シュリはラウがいた事を改めて思い出した。

 見られた……!
 こんな姿を人に……! 
 嫌だ……!

 思わず唇を噛み、両腕で顔を覆った。


「シュリ様、立ってください」
 その腕を近付いてきたラウが、立たせようと引き上げた。

「……側に寄るな……!
 離せ! こんな姿……見ないでくれ!」

 ラウは激しく首を振るシュリの腕を掴み、ガルシアに押し倒されていた上半身をグイッと引き起こしソファーへと座らせた。
 そして両手でガシリとシュリの両肩を掴み、目線が同じ高さになるように跪くと、まるで親が幼子に言い聞かせるようにじっとその瞳を見つめた。

「シュリ様、もうおわかりのはずですよ」
 冷たい声だった。

 それは、もういくら抵抗しても無駄だと、そう言っていた。
 黙ってガルシアの言う事を聞けと。 

「…………ぃや……だ……」
 
 シュリの唇が小さく動き、わずかに首を振った。
 だが、それだけだった。

 自分は逃げるわけにはいかないのだ。
 それはもう判っていること……。
 そうしなければ、弟が……。

 諦めたように視線を落とし目を伏せたシュリを、ラウの腕が引き、立ち上がらせる。

「早くしろ」
 ガルシアが二人の後ろで苛立ちの声をあげた。
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