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第1章 灰色の男はファンタジーな生き物と出会う
1-8 灰色の男と屋敷の地下にある謎エリアの説明③
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再び、エレベーターで地下へ向かう。次は地下4階らしいが、いったい何があるのか。今までが、これだけショッキングなだけにかなり不安だ。
「次は、地下4階です。ここで終点ですので、地下施設の説明は最後になります。地下4階の一番奥の部屋には、我々は入ることができませんので、手前で待機しております。」
橙花に代わって、兎神が説明し始めた。なんで兎神たちは入らないんだ?ん?入ることができない?
「奥の部屋に入れない?なぜだ?」
「それは行けばわかりますので、現地で説明をいたします。言葉で説明すると難しいですが、見れば簡単です。」
どういうことだ?言っていることがよくわからないが、まぁ行けばわかるのか。
地下4階についた。ここも他と同じで通路の奥に扉がある構造になっているみたいだ。4人で歩いて奥の部屋へと向かう。しかし、そこにある扉を見て不思議な感覚がした。何気なしに兎神に視線を向ける。
「さすがですね、お分かりになりますか?あの扉の先が最後の施設です。中に何があるかは、我々は知りません。いえ、それは正しくありませんね。源様より内容は伝え聞きしておりますが、入ったことがありませんので、実際に見たことがないというのが正しいでしょうか。源様はあの部屋の奥を『神域』と呼ばれておりました。」
とてもなつかしい感覚がする。ただし、とても異質。不思議な模様が描かれた両開きの扉。そして扉に3重にかけられたしめ縄。まるで、あの部屋自体が『封印』でもされているかのような印象を受ける。
「ここから先は、司様おひとりでお進みください。ただし、『門』はまだ潜らないでください。かの世界へ行くならば前もって準備をしてから行かれたほうがよいと思います。」
「『門』?」
「ええ、源様は『門』とおっしゃられておりました。それが具体的に何かはわかりません。では、司様、どうぞお部屋にお入りください。我々はここでお待ちしております。くれぐれも『門』は潜らないようにお願いいたします。」
そういうと、3人は壁際に並ぶと一礼してその場に待機した。
「・・・わかった。では行ってくる。」
両開きの扉に手をかけると、ゆっくりと力をかけて押し込む。思ったより簡単に扉が開く。開いた扉は開いたままになるようだ。部屋に入ると、空気が変わったような不思議な感覚を感じた。部屋の入口で兎神のほうへ振り向く。
「ああ、そうですね。我々がなぜ部屋に入れないのかをお見せしましょう。」
そういって、兎神が右手で扉に触れようとする。扉に接触するか否かというタイミングで、バチっと静電気がはじけるような音がして指が弾かれる。
「この通り、我々が扉に触れようとする、もしくは部屋の中に入ろうとすると拒絶されるかのように弾かれるのです。それ故に、部屋の中に入ることができません。それでは、お気をつけて。」
俺は無言で頷くと、その不思議な部屋の中に入っていくのだった。
部屋の広さはテニスコート1面分くらいだろうか。ただし、部屋の中は異様だった。幅10メートル×奥行20メートルくらいの真ん中にぽつんとあるのだ。真っ赤な『鳥居』が。『鳥居』のまわりには円状に縄が張ってある。見た感じ、結界のような感じがする。この部屋にはその『鳥居』以外にはなにもない。ただそれだけのために存在するような部屋だった。そして、その『鳥居』の奥にはありえないはずの外の光景が見える。
「これが、兎神たちが言っていた『門』か。なるほどな。この鳥居の奥が、かの世界というやつか。にしても、不思議な光景だな。鳥居の奥が別の世界につながっているのか。」
なぜか、鳥居の奥の光景にひどく懐かしさを感じる。不思議な安心感と言えばいいのか、うまく言葉で表現ができない。うっかりすると、奥の世界に引き込まれてしまいそうだ。
「ん?なんだ?・・・・・・・声か?何か聞こえる?うーん、かすれていてよくわからないな。」
『私の・・よ、あなたに2・・えます。1・は私の・・たる若木を。1・・私の知・を書き・・・本を。本は、こ・・・あな・・・る地で最・・・・うものに渡・・・いでしょう。きっと、・・・を理解し、あな・・助けとなって・・・でしょう。』
『私・・女よ、感謝・・す。では、しばし・・れを。目・・ましたら、見知・・・で不安も・・・思いますが、最初に・・・ものとの縁・・・にしなさい。きっとあ・・・助けとなってくれます。私の半・・・若木が成・・た暁にはこちらへ帰ってく・・・できるようになりますから、その・・・た会いましょう。あな・・・・かに成長し、再会でき・・・を楽しみにしています。』
「まぁ、いいか。おっと、そろそろ兎神たちのところへ戻るか。」
そう一人で呟くと、俺はもと来た扉へと戻っていくのだった。
「次は、地下4階です。ここで終点ですので、地下施設の説明は最後になります。地下4階の一番奥の部屋には、我々は入ることができませんので、手前で待機しております。」
橙花に代わって、兎神が説明し始めた。なんで兎神たちは入らないんだ?ん?入ることができない?
「奥の部屋に入れない?なぜだ?」
「それは行けばわかりますので、現地で説明をいたします。言葉で説明すると難しいですが、見れば簡単です。」
どういうことだ?言っていることがよくわからないが、まぁ行けばわかるのか。
地下4階についた。ここも他と同じで通路の奥に扉がある構造になっているみたいだ。4人で歩いて奥の部屋へと向かう。しかし、そこにある扉を見て不思議な感覚がした。何気なしに兎神に視線を向ける。
「さすがですね、お分かりになりますか?あの扉の先が最後の施設です。中に何があるかは、我々は知りません。いえ、それは正しくありませんね。源様より内容は伝え聞きしておりますが、入ったことがありませんので、実際に見たことがないというのが正しいでしょうか。源様はあの部屋の奥を『神域』と呼ばれておりました。」
とてもなつかしい感覚がする。ただし、とても異質。不思議な模様が描かれた両開きの扉。そして扉に3重にかけられたしめ縄。まるで、あの部屋自体が『封印』でもされているかのような印象を受ける。
「ここから先は、司様おひとりでお進みください。ただし、『門』はまだ潜らないでください。かの世界へ行くならば前もって準備をしてから行かれたほうがよいと思います。」
「『門』?」
「ええ、源様は『門』とおっしゃられておりました。それが具体的に何かはわかりません。では、司様、どうぞお部屋にお入りください。我々はここでお待ちしております。くれぐれも『門』は潜らないようにお願いいたします。」
そういうと、3人は壁際に並ぶと一礼してその場に待機した。
「・・・わかった。では行ってくる。」
両開きの扉に手をかけると、ゆっくりと力をかけて押し込む。思ったより簡単に扉が開く。開いた扉は開いたままになるようだ。部屋に入ると、空気が変わったような不思議な感覚を感じた。部屋の入口で兎神のほうへ振り向く。
「ああ、そうですね。我々がなぜ部屋に入れないのかをお見せしましょう。」
そういって、兎神が右手で扉に触れようとする。扉に接触するか否かというタイミングで、バチっと静電気がはじけるような音がして指が弾かれる。
「この通り、我々が扉に触れようとする、もしくは部屋の中に入ろうとすると拒絶されるかのように弾かれるのです。それ故に、部屋の中に入ることができません。それでは、お気をつけて。」
俺は無言で頷くと、その不思議な部屋の中に入っていくのだった。
部屋の広さはテニスコート1面分くらいだろうか。ただし、部屋の中は異様だった。幅10メートル×奥行20メートルくらいの真ん中にぽつんとあるのだ。真っ赤な『鳥居』が。『鳥居』のまわりには円状に縄が張ってある。見た感じ、結界のような感じがする。この部屋にはその『鳥居』以外にはなにもない。ただそれだけのために存在するような部屋だった。そして、その『鳥居』の奥にはありえないはずの外の光景が見える。
「これが、兎神たちが言っていた『門』か。なるほどな。この鳥居の奥が、かの世界というやつか。にしても、不思議な光景だな。鳥居の奥が別の世界につながっているのか。」
なぜか、鳥居の奥の光景にひどく懐かしさを感じる。不思議な安心感と言えばいいのか、うまく言葉で表現ができない。うっかりすると、奥の世界に引き込まれてしまいそうだ。
「ん?なんだ?・・・・・・・声か?何か聞こえる?うーん、かすれていてよくわからないな。」
『私の・・よ、あなたに2・・えます。1・は私の・・たる若木を。1・・私の知・を書き・・・本を。本は、こ・・・あな・・・る地で最・・・・うものに渡・・・いでしょう。きっと、・・・を理解し、あな・・助けとなって・・・でしょう。』
『私・・女よ、感謝・・す。では、しばし・・れを。目・・ましたら、見知・・・で不安も・・・思いますが、最初に・・・ものとの縁・・・にしなさい。きっとあ・・・助けとなってくれます。私の半・・・若木が成・・た暁にはこちらへ帰ってく・・・できるようになりますから、その・・・た会いましょう。あな・・・・かに成長し、再会でき・・・を楽しみにしています。』
「まぁ、いいか。おっと、そろそろ兎神たちのところへ戻るか。」
そう一人で呟くと、俺はもと来た扉へと戻っていくのだった。
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