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第1章 灰色の男はファンタジーな生き物と出会う

1-7 灰色の男と屋敷の地下にある謎エリアの説明②

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 扉の先は10畳くらいの部屋になっていた。部屋に入ってすぐのところにロッカーが置いてある。奥には自動扉のような両開きの扉があり、そのすぐ手前に穴の開いた床があった。いわゆる、クリーンルームに入る前の足の裏洗浄機みたいな感じだな。

「この奥にあるプラントエリアは土が敷き詰められていますので、ここで一旦、履物を変えます。また、衣服に土が付く可能性がありますので、上着があればロッカーにお入れください。その後、この室内作業着を着用します。」

 靴は真っ白な運動シューズで、室内作業着?は見た目は完全に白衣のような感じだ。

「着替えましたら、中に入ります。ああ、扉の前にあるのは足の裏を洗浄する装置ですが、戻ってきた際に使用しますので、入るときには不要です。ちなみに作業着とシューズは1回使用したらクリーニングしますので、足の裏洗浄後に隣にある回収ボックスにお入れください。」

 さて、いよいよか。鬼が出るか、蛇が出るか。3人の態度を見ている限り、危険はなさそうだが。
 
 両開きの自動扉を抜けた先は、かなり広い空間だった。しかも、オレンジ色の照明があるがやや薄暗いために余計に不気味に感じる。2メートルくらい先から地面は土だった。

「このプラントエリアでは、現在3匹の樹木を栽培しています。3匹ともに我々『来訪』するもの達に必要な魔素を含んだ果実が取れる樹木ですね。今から呼びますので、少しお待ちください。」

 そういうと、橙花が手を2回たたく。空間が広いからか、かなり大きく反響して聞こえた。しかし、何かとても不安な発言があったような。なぜ、樹木を呼ぶ?のか。そして、なぜ3『匹』と言ったのか・・・。

 しばらくすると、ズシズシと重量物が移動する音が聞こえてきた。移動してきたのは3本の木。目視でわかるのは、幹が直径で1メートル以上はありそうな木。見えてきたのは高さが3メートルくらいで6本の根がねじれて絡みついたような不思議な形をした木。

 それを見たときの衝撃がお分かりになるだろうか、6本?ある根っこを器用に、足のように動かして歩いてきたのだ。本来は、絶対に、歩くはずのない樹木が歩いてきたときの衝撃は、俺の頭がついにおかしくなったんじゃないかと思ってもしょうがないと思う。

「これが現在プラントエリアで栽培している樹木となります。我々はこれを『モンスタープラント』と命名しました。好物は肉ですね。もちろん、光合成のようなものをしておりますので基本的に水と疑似日光を当てておけば枯れることはありません。ただし、飢餓状態にはなるらしく、定期的に肉を与えないと若干気性が荒くなります。また、魔素を含む魔核を与えなければ実をつけることはありません。」

 ・・・・モンスタープラント。しかも肉食。お分かりになるだろうか、幹の真ん中くらいに縦に口がある植物の恐怖を。やっぱりバイオ〇ザードじゃねぇか。誰だよ、樹木なんて言ってたやつは、完全に植物の形をした大型肉食獣じゃねぇか。植物の概念が壊れるわ。

「ちなみに、一番外側にある枝からつるのようなものを伸ばして獲物を拘束して、幹の中央部にある口で捕食します。12時間ほど前に食事を与えておりますので、現在はおとなしいものです。」

 そんな説明は聞きとうなかったわ。肉食樹木とか、どんな地球外生命体やねん。

「魔核をエサとして与えると、定期的に幹のほぼ真上の部分に実をつけます。たいだい1週間に1回くらいでしょうか。我々は特に消耗しなければ、1か月に1回程の摂取で問題ありませんので、現在はかなり余裕がありますね。」

 最初は肥料とか言ってたのに、ついにエサとか言いきっちゃったよ。でもまぁ、1か月1回でいいなら問題ないだろう。1匹?当たり5個くらい実をつけているのが見えるし。

「司様、何かご質問はありませんか?」

「・・・・・ああ。このモンスタープラントは本当に大丈夫なんだよな?」

「ええ、適切に扱えばおとなしいものですよ。言うこともよく聞きますし。さて、プラントエリアの説明は以上ですので戻りましょうか。次は、地下3階ですかね。」

 橙花たちはそういうと、もときた部屋に引き返していく。この流れでいくと、地下4階には何があるのか。ここがこれだけショッキングなだけに不安がよぎるのだった。
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