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第7章 話が進んだら変更します
7-15 サプライズで
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3人の女子が集まって何かを話していた。
「あの件どうする? この先は予定が詰まってるだろうし、やるなら今しかないよね?」
「うむ。みんなの余裕も出てきたから、今が好機。というか、たまには息抜き必要」
「ですね~。では、例の場所を貸してもらえるか交渉してみますね~。善は急げなので、週末を予定しておいてください~」
いつもの3人が何か悪巧みをしているようだ。
「交渉はバッチリでした~。1日貸し切りにしてくれて、キッチンも自由に使って良いそうです~。あと、剛志さんも手伝ってくれます~」
「さすがは剛志。これならスイーツ関係でハズレは有り得ない。ナイス、澪」
「ねぇ、優? あんた、話しを聞いてた? 手伝ってくれるって言ってるのに、剛志さんにがっつり料理作らせる気満々でしょ? 有り得なくない?」
「何を今更。私たちが可愛くお願いすれば剛志は断らない。きっと快く引き受けてくれる」
何やら催しを開く計画を練っているところかもしれない。
「はいはーい、舞ちゃんたちの予定も抑えてきましたよ~。3日後の日曜日に剛志さんの喫茶店で決定ですので、お二人もお願いしま~す」
「了解。とは言っても、もう私に出来ることはない。後は、剛志スイーツを貪るだけ」
「いやいや、みんなで用意しないとなんだから、ちゃんと手伝いなさいよ?」
「私の料理の腕前は壊滅状態なのは周知の事実。むしろ厨房に入らないことが、私の最大の手伝い。料理は橙花たちがやるだろうから接待は任せて」
彼女たちは自分の得意不得意で役割分担をするようだ。
そして、日曜日が訪れて、喫茶店に続々と人が集まってくる。
「司さん、司さん、今日はキッサテンに何の御用があるんですか?」
「ん? 俺も澪に来いって言われただけだからよくわからないんだ」
司に抱っこされて登場したリリが不思議そうに尋ねるが、司にも理由がわからない。
「まぁ、あの3人が計画することは高確率で碌なことがありませんから、気を緩めず行きましょう」
舞は自分の親友3人に対する評価が酷い。
「はい、皆さん、忙しい中、お集まり頂きありがとうございます。今日は私たちが計画した細やかな会を催させて頂きます~」
「まずは、この場を快く提供してくれた喫茶店オーナーの剛志さんに拍手! そして、料理全般を担当してくれた橙花さんたちにも拍手! パチパチ~」
「さて、長々と前置きは要らない。今日は無礼講。それぞれで楽しむと良い。それでは……」
全員が集まって席に着き次第、澪、詠美、優が会の仕切りを始める。
「「「舞、18歳の誕生日おめでとう!」」」
「「「「「おめでとう!」」」」」
「……え?」
3人の音頭を起点として全員が唱和する中で、1人だけキョトンする舞。
「案の定の様子」
「もう、舞ちゃんのことだから、絶対また忘れていると思っていましたよ~」
「まぁ、色々と忙しかったからね。司さんのことも心の負担になってただろうし」
「あ……」
穏やかな表情で全員が舞を見つめることで、漸く合点がいったのだろう。
すぐに舞の瞳から、涙が零れた。
「知らないふりしててごめんな? こういうのもたまにはいいかと思って」
うつ向いて涙を溢す舞の頭を落ち着くまで撫でる司と、舞の膝の上で慰めるように頭を擦り付けるリリ。その様子を微笑ましい表情で見つめる周囲。
「澪、エイミー、優、それにみんなも、ありがとう」
その甲斐もあって思ったよりも早く舞は再起動することができた。
「さてさて、それでは仕切り直して、皆さん楽しんで行きましょ~」
「「お~」」
その後は各自が思い思いに動き始めた。
話しに花を咲かせるもの、料理に舌鼓を打つもの、特定の誰かを取り合うもの、様相は様々であったが全員が楽しめている様だった。
そして、宴も闌となり、
「はい、みなさん十分に楽しめましたでしょうか~? 名残惜しくはありますが、明日以降のお仕事に差し支えてはいけませんので、ここで解散となります」
「夜も遅いので、各自気を付けて帰ってね~」
兎神と澪の家人の送迎で無事に全員が帰宅して会はお開きになった。
干支神家の一室。
「もう、今日は本当に驚きましたよ? みんなで何か企んでいるのは知ってましたけど、まさかの展開でしたから。まぁ、忘れていた私が悪いんですけど……」
「ははは、ずっと舞には苦労かけたから、少しでも返さないとって思ってな」
寝るまでの僅かな時間を、星月を見上げて穏やかに過ごす舞と司。リリは少しウトウトしていてオネム状態だ。
「でも、本当にうれしかったです。私だけが大変だったわけじゃないのに……」
「それだけみんなが舞の事を大切に想っているってことだよ。これからも頑張れるって気になるだろう? まぁ、これからは俺も側にいるから根を詰めない程度で行こう。それに仕事が片付いたら、今度は舞が澪たちに返せばいいさ」
「ええ、ありがとう……司さん」
月明かりの下、自然に寄り添う2人の影が重なるのにそれ以上の理由は要らなかった。
「あの件どうする? この先は予定が詰まってるだろうし、やるなら今しかないよね?」
「うむ。みんなの余裕も出てきたから、今が好機。というか、たまには息抜き必要」
「ですね~。では、例の場所を貸してもらえるか交渉してみますね~。善は急げなので、週末を予定しておいてください~」
いつもの3人が何か悪巧みをしているようだ。
「交渉はバッチリでした~。1日貸し切りにしてくれて、キッチンも自由に使って良いそうです~。あと、剛志さんも手伝ってくれます~」
「さすがは剛志。これならスイーツ関係でハズレは有り得ない。ナイス、澪」
「ねぇ、優? あんた、話しを聞いてた? 手伝ってくれるって言ってるのに、剛志さんにがっつり料理作らせる気満々でしょ? 有り得なくない?」
「何を今更。私たちが可愛くお願いすれば剛志は断らない。きっと快く引き受けてくれる」
何やら催しを開く計画を練っているところかもしれない。
「はいはーい、舞ちゃんたちの予定も抑えてきましたよ~。3日後の日曜日に剛志さんの喫茶店で決定ですので、お二人もお願いしま~す」
「了解。とは言っても、もう私に出来ることはない。後は、剛志スイーツを貪るだけ」
「いやいや、みんなで用意しないとなんだから、ちゃんと手伝いなさいよ?」
「私の料理の腕前は壊滅状態なのは周知の事実。むしろ厨房に入らないことが、私の最大の手伝い。料理は橙花たちがやるだろうから接待は任せて」
彼女たちは自分の得意不得意で役割分担をするようだ。
そして、日曜日が訪れて、喫茶店に続々と人が集まってくる。
「司さん、司さん、今日はキッサテンに何の御用があるんですか?」
「ん? 俺も澪に来いって言われただけだからよくわからないんだ」
司に抱っこされて登場したリリが不思議そうに尋ねるが、司にも理由がわからない。
「まぁ、あの3人が計画することは高確率で碌なことがありませんから、気を緩めず行きましょう」
舞は自分の親友3人に対する評価が酷い。
「はい、皆さん、忙しい中、お集まり頂きありがとうございます。今日は私たちが計画した細やかな会を催させて頂きます~」
「まずは、この場を快く提供してくれた喫茶店オーナーの剛志さんに拍手! そして、料理全般を担当してくれた橙花さんたちにも拍手! パチパチ~」
「さて、長々と前置きは要らない。今日は無礼講。それぞれで楽しむと良い。それでは……」
全員が集まって席に着き次第、澪、詠美、優が会の仕切りを始める。
「「「舞、18歳の誕生日おめでとう!」」」
「「「「「おめでとう!」」」」」
「……え?」
3人の音頭を起点として全員が唱和する中で、1人だけキョトンする舞。
「案の定の様子」
「もう、舞ちゃんのことだから、絶対また忘れていると思っていましたよ~」
「まぁ、色々と忙しかったからね。司さんのことも心の負担になってただろうし」
「あ……」
穏やかな表情で全員が舞を見つめることで、漸く合点がいったのだろう。
すぐに舞の瞳から、涙が零れた。
「知らないふりしててごめんな? こういうのもたまにはいいかと思って」
うつ向いて涙を溢す舞の頭を落ち着くまで撫でる司と、舞の膝の上で慰めるように頭を擦り付けるリリ。その様子を微笑ましい表情で見つめる周囲。
「澪、エイミー、優、それにみんなも、ありがとう」
その甲斐もあって思ったよりも早く舞は再起動することができた。
「さてさて、それでは仕切り直して、皆さん楽しんで行きましょ~」
「「お~」」
その後は各自が思い思いに動き始めた。
話しに花を咲かせるもの、料理に舌鼓を打つもの、特定の誰かを取り合うもの、様相は様々であったが全員が楽しめている様だった。
そして、宴も闌となり、
「はい、みなさん十分に楽しめましたでしょうか~? 名残惜しくはありますが、明日以降のお仕事に差し支えてはいけませんので、ここで解散となります」
「夜も遅いので、各自気を付けて帰ってね~」
兎神と澪の家人の送迎で無事に全員が帰宅して会はお開きになった。
干支神家の一室。
「もう、今日は本当に驚きましたよ? みんなで何か企んでいるのは知ってましたけど、まさかの展開でしたから。まぁ、忘れていた私が悪いんですけど……」
「ははは、ずっと舞には苦労かけたから、少しでも返さないとって思ってな」
寝るまでの僅かな時間を、星月を見上げて穏やかに過ごす舞と司。リリは少しウトウトしていてオネム状態だ。
「でも、本当にうれしかったです。私だけが大変だったわけじゃないのに……」
「それだけみんなが舞の事を大切に想っているってことだよ。これからも頑張れるって気になるだろう? まぁ、これからは俺も側にいるから根を詰めない程度で行こう。それに仕事が片付いたら、今度は舞が澪たちに返せばいいさ」
「ええ、ありがとう……司さん」
月明かりの下、自然に寄り添う2人の影が重なるのにそれ以上の理由は要らなかった。
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