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第7章 話が進んだら変更します

7-14 再開は、みんなで

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 干支神家の早朝6時頃。

「司さん~、朝ですよ~、散歩のお時間ですよ~」

 本日もいつも通りの時間に起床したリリがベッドに上がり、司の顔をテシテシと叩く。

「んあ? もう朝か。おはよう、リリ……ちょっと待って」

 朝起きるのが得意なリリと、目覚ましがないと起きられない司の朝の一幕。
 司はまだ半分寝ている状態だがリリの期待した目が辛いので、むくりと身体を起こしてフラフラとした足取りで着替えを済ませる。

 そのまま自分の部屋を出ると、隣の部屋で久しぶりに父ハムダマに遭遇した。

「あ、司殿、お一人で歩けるようになったのですな。ずっと寝ていると伺った時は心配しました。一番上の子供たちも……とても寂しそうだったので、たまに一緒にお部屋に見に行ったりしてました」

「すいません、心配かけました。この通り、何とか動けるようになりましたよ。子供たちにも伝えておいてください。今度またご馳走を持って遊びに行きますよ」

「いえいえ、お気になさらず。ここに住まわせてもらっているだけで我々一同は感謝しとります。司殿は司殿のお仕事を優先されると良い。では、番が待っておりますので、ご飯を届けてきます」

 バスケットボールみたいな身体がラグビーボールの様に変化している……口いっぱいに食料を詰め込んだ父ハムダマは巣にしている部屋へ入っていった。
 司の隣の部屋はハムダマの部屋となっているのだが、今現在正確に何匹いるのかは怖くて数えていない。


 最近になってわかったことだが、ハムダマは不思議な生態をしていた。
 元々群を形成するそうだが、群れの中で父と母の番は1組しか出来ず、子に雌雄はあるがそこで番になることはない。子を産むのは母と決められた1匹だけなのである。
 もちろん個々が繁殖能力を持っていないわけではなく、野生では子供が巣立ちをして新しい群れを形成すると、そこに父と母の概念が生まれて数が増えていくようだ。
 何となくだが、アリの生態に似ている気がする。


 司は父ハムダマの気遣いに感謝しながら、リリと一緒に食堂へ向かう。

「橙花、おはよう。リリの散歩に行ってくる」

「はい、お気をつけて。戻られる頃にお風呂を用意しておきます」

 橙花に一声かけてから玄関を出て庭を回る。
 朝早く薄暗い時間の外気に曝されると寒いくらい季節になっていた。

「随分と肌寒くなりましたね~。もうすぐ雪が降っちゃうかもしれませんね~」

 何気ない会話をしながら、蒼花が手入れを欠かさずしている庭園を歩く。
 リリは自分のテリトリーで季節折々の草木の匂いをチェックするのに余念がなく、あっちにいったりこっちにいったりとても忙しい。

 屋敷を1周して匂いチェックが終わったら、今度はリリの走り込みが始まる。
 この頃には司の目も覚めて一緒に朝のランニングを30分間、リリに置いて行かれない速度を維持するのには相当の体力が必要となる。

 散歩が終わったら、お風呂で汗を流して食堂へ。
 司は橙花が用意してくれた朝食をリリと一緒に食べ始めるが、大体はリリのほうが先に食べ終わる。何故なら、身体の回復のために肉類が多めに用意されるからである。


 朝食が終わったら、司と兎神は仕事の確認をするのでリリとは別行動となる。

「本日は来客のご予定はありません。緊急のお仕事は1件だけです。決済書類は机にまとめてありますので目を通しておいてください」

「おい、またカノコから金をくれって書類が来てるんだが……つい先日も決済した気がするけど、何にそんなに使ってるんだ? 書類の頻度と報告の頻度が合ってないんだが……」

「地下で採れた作物や植物を手あたり次第分析にかけているのでタイムラグが生じているのかと。明らかに怪しいものはこちらで弾いていますので問題はないと思います」

「そうか……」

 午前中はこんな感じで過ぎて、昼食を挿んで夕方近くまで処務が続くことが多い。


 夕食は屋敷にいる全員で食べることになっているので最近は大勢が食堂に集まる。
 司、舞、リリは基本として、最近は宗司、澪、詠美、優がいることも珍しくない。
 カノコは時間にルーズなので居たりいなかったりして、橙花、蒼花、兎神の3人は給仕の関係で後に食べる。

「俺の身体も戻ったし、1週間後にはあっちに行こうと思う。何時までも逃げるわけにはいかないからな。リハビリに短期で行って、その後は本格的に」

 司がそう切り出すと、和気あいあいムードだった舞たちの表情が強張る。

「俺一人じゃ力不足だって思い知らされたから、今度はみんなの力を貸してくれ」

 そう頭を下げる司を見て、微笑む一同。
 1人で抱え込まないこと、そして、周りを頼ること。例え危険なことでも、たくさんの知恵を集めれば、万全になるかもしれない。

 新たなチームで臨む、異世界探索が始まるのだった。
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