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第6章 時の揺り籠
6-35 家族団らん
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一気に人口密度が増した源の家は、かつてない賑やかさだった。
源とララだけだったところに、司と舞、ヴォルフとルーヴとリリが加わったのだから。
何気ない1日も、てんやわんやの忙しさだ。
「うまうま、お肉うまうま」
「リリ、ララ、肉ばかりじゃダメだ。こっちの……よくわからない野菜も食べなさい」
「えー、司もじいちゃんと同じこと言うし! その草すっごい苦いんだぞ!」
「好き嫌いしてると身体が大きくなりませんよ? う……結構苦い」
肉を黙々と食べる子狼たちに葉物系を薦める年長者だが、地球の野菜と違ってただただ苦いだけの草は不評の模様。
そもそも、舞ですら食べるときに眉間に皺を寄せるのだから余程の不味さである。
「はっはっは! 小さい時からララはこの草が苦手でのぅ。肉は綺麗に平らげるのに、こっちはきっちり残しよる。どうやって食べさせようかと頭を捻ったものじゃ!」
「考えることは一緒なんですね。よくわかりますよ。私たちもリリが子供の時は、肉と草を一緒に咀嚼してから与えたものです」
「司さんのお家に来てからは、何でも自主的に食べるようになってすっかり楽になりましたわ。地球のお野菜がおいしいのもありますけれど」
司の家に来たリリは、最初からサラダを普通に食べていたから気づかなかった。
子育ての悩みはどこも同じようなものなのかもしれない。
「ララと2人でゆっくり暮らす生活も楽しいが、家族でワイワイやるのも久しぶりでいいものじゃのぅ」
遠い目をして嬉しそうに言う源が想いを馳せるのは、今ここにいない誰かだろうか。
「じいちゃんには俺がついてるぞ! だから、大丈夫なんだ!」
「おお、そうじゃな。ララにはいつも助けられているから感謝じゃ」
いつもと違う様子を敏感に察して、ララが源の膝に飛び込んだ。
そして、ぐりぐりと頭を源のお腹に擦り付ける。まるで撫でろと言わんばかりに。
その様子を見て、ララに対抗するように司の膝に飛び込むリリは可愛いものである。
源にとっては、本当に久しぶりの一家団欒。
心に刻み込むように、今の楽しさを噛み締めるのだった。
「なぁ、じじい」
「なんじゃい、いきなり」
夜になり、みんなが寝静まってから司は源に問いかけた。
「じじいは、何でララを引き取ったんだ? それに名前が……偶然か?」
「特に理由なんかないのぅ。久しぶりに川魚を食べたくなって川で釣りをしてたら、流木に子犬がしがみ付いて流れてきおったんじゃ。そのまま見過ごすには忍びなくてのぅ」
確かに、その状況に遭遇したら助けてしまうかもしれない。
司だって段ボールで捨てられていたリリを即引き取ったのだから、源と同じくお人よしである。
「名前は、拾った時にそれしかないと閃いたから付けただけじゃよ。今となってみれば、何かの廻り合わせが働いたのかもしれんがのぅ」
リリの双子の兄が、ララと名付けられた。
偶然とは思えないので、きっと何らかの力が働いたのだろう。棒読み。
「初めは本当に犬だと思ってたんじゃが、拾ってしばらくしたら、わしの言葉を覚えてしまうし、たどたどしくじゃが話し始めるし……驚いたのぅ」
その時の光景を思い出したのか、源はとても楽しそうだ。
「その後、問題になったのは仲間や番じゃな。こんな珍しい生き物が普通の犬のレベルでわらわらおるとは思わんじゃろ? 同族がどこかにおらんかと探したんじゃが、とんと見つからん」
司が、ヴォルフたちが知る限り、ウルの一族は8しか現存しない。
新たにララが見つかったのを合わせても僅か9だ。
「今日、家族が見つかって本当によかったわい。ヴォルフ殿に聞けば、寿命はかなり永いと聞く。わしがいなくなった後、ララ1人で残すのは可哀想だったからのぅ」
司は、源のその言葉を聞いてピンと来た。
「じじいは、ララのやつを、どうする気なんだ?」
「わしが、司と舞ちゃんに相談したいのはそれじゃのぅ。同族と一緒に居るのがいいじゃろ」
「本人の意思を、無視してでもか? 飯の時にララが言ってただろう? あいつはじじいと死ぬまで一緒にいるのが望みだぞ」
源は、暗にララを司たちに任せると言っているのだ。
それがララにとっての幸せだと。
だが、そこにララの意思は介在していない。
「司よ、わしは近い将来に確実に死ぬのじゃ。あと5年か、10年か、20年かわからんが。最愛の女性が眠る、あの墓と共に、ここで朽ちていくつもりなんじゃ」
「そうなれば、遅かれ早かれ、ララは1人になるんじゃ。それが少しだけ早くなって、奇跡的に同族を見つけて合流するだけ、ただそれだけの話じゃよ」
「はぁ……」
司はため息を吐きたくもなる。
この男は、いつもそうなのである。
自分の影響力を微塵も考慮していない。
今のララを見ていれば、リリが視た内容を聞けば、司でもわかる。
ララは、それでも源といることを望む。
2人の絆は、紛れもない本当の家族なのだから。
そして、源がその話をララに告げた時、ララが取るであろう行動も。
「何か、全部が丸く収まる良い方法はないもんかねぇ……」
司が望むのは、自分の周りの、出来る限り多くの人が、笑顔で幸せに暮らすこと。
そのためなら、どれだけでも労力を払う気構えがある。
だから、今日も無理難題に頭を悩ませるのである。
源とララだけだったところに、司と舞、ヴォルフとルーヴとリリが加わったのだから。
何気ない1日も、てんやわんやの忙しさだ。
「うまうま、お肉うまうま」
「リリ、ララ、肉ばかりじゃダメだ。こっちの……よくわからない野菜も食べなさい」
「えー、司もじいちゃんと同じこと言うし! その草すっごい苦いんだぞ!」
「好き嫌いしてると身体が大きくなりませんよ? う……結構苦い」
肉を黙々と食べる子狼たちに葉物系を薦める年長者だが、地球の野菜と違ってただただ苦いだけの草は不評の模様。
そもそも、舞ですら食べるときに眉間に皺を寄せるのだから余程の不味さである。
「はっはっは! 小さい時からララはこの草が苦手でのぅ。肉は綺麗に平らげるのに、こっちはきっちり残しよる。どうやって食べさせようかと頭を捻ったものじゃ!」
「考えることは一緒なんですね。よくわかりますよ。私たちもリリが子供の時は、肉と草を一緒に咀嚼してから与えたものです」
「司さんのお家に来てからは、何でも自主的に食べるようになってすっかり楽になりましたわ。地球のお野菜がおいしいのもありますけれど」
司の家に来たリリは、最初からサラダを普通に食べていたから気づかなかった。
子育ての悩みはどこも同じようなものなのかもしれない。
「ララと2人でゆっくり暮らす生活も楽しいが、家族でワイワイやるのも久しぶりでいいものじゃのぅ」
遠い目をして嬉しそうに言う源が想いを馳せるのは、今ここにいない誰かだろうか。
「じいちゃんには俺がついてるぞ! だから、大丈夫なんだ!」
「おお、そうじゃな。ララにはいつも助けられているから感謝じゃ」
いつもと違う様子を敏感に察して、ララが源の膝に飛び込んだ。
そして、ぐりぐりと頭を源のお腹に擦り付ける。まるで撫でろと言わんばかりに。
その様子を見て、ララに対抗するように司の膝に飛び込むリリは可愛いものである。
源にとっては、本当に久しぶりの一家団欒。
心に刻み込むように、今の楽しさを噛み締めるのだった。
「なぁ、じじい」
「なんじゃい、いきなり」
夜になり、みんなが寝静まってから司は源に問いかけた。
「じじいは、何でララを引き取ったんだ? それに名前が……偶然か?」
「特に理由なんかないのぅ。久しぶりに川魚を食べたくなって川で釣りをしてたら、流木に子犬がしがみ付いて流れてきおったんじゃ。そのまま見過ごすには忍びなくてのぅ」
確かに、その状況に遭遇したら助けてしまうかもしれない。
司だって段ボールで捨てられていたリリを即引き取ったのだから、源と同じくお人よしである。
「名前は、拾った時にそれしかないと閃いたから付けただけじゃよ。今となってみれば、何かの廻り合わせが働いたのかもしれんがのぅ」
リリの双子の兄が、ララと名付けられた。
偶然とは思えないので、きっと何らかの力が働いたのだろう。棒読み。
「初めは本当に犬だと思ってたんじゃが、拾ってしばらくしたら、わしの言葉を覚えてしまうし、たどたどしくじゃが話し始めるし……驚いたのぅ」
その時の光景を思い出したのか、源はとても楽しそうだ。
「その後、問題になったのは仲間や番じゃな。こんな珍しい生き物が普通の犬のレベルでわらわらおるとは思わんじゃろ? 同族がどこかにおらんかと探したんじゃが、とんと見つからん」
司が、ヴォルフたちが知る限り、ウルの一族は8しか現存しない。
新たにララが見つかったのを合わせても僅か9だ。
「今日、家族が見つかって本当によかったわい。ヴォルフ殿に聞けば、寿命はかなり永いと聞く。わしがいなくなった後、ララ1人で残すのは可哀想だったからのぅ」
司は、源のその言葉を聞いてピンと来た。
「じじいは、ララのやつを、どうする気なんだ?」
「わしが、司と舞ちゃんに相談したいのはそれじゃのぅ。同族と一緒に居るのがいいじゃろ」
「本人の意思を、無視してでもか? 飯の時にララが言ってただろう? あいつはじじいと死ぬまで一緒にいるのが望みだぞ」
源は、暗にララを司たちに任せると言っているのだ。
それがララにとっての幸せだと。
だが、そこにララの意思は介在していない。
「司よ、わしは近い将来に確実に死ぬのじゃ。あと5年か、10年か、20年かわからんが。最愛の女性が眠る、あの墓と共に、ここで朽ちていくつもりなんじゃ」
「そうなれば、遅かれ早かれ、ララは1人になるんじゃ。それが少しだけ早くなって、奇跡的に同族を見つけて合流するだけ、ただそれだけの話じゃよ」
「はぁ……」
司はため息を吐きたくもなる。
この男は、いつもそうなのである。
自分の影響力を微塵も考慮していない。
今のララを見ていれば、リリが視た内容を聞けば、司でもわかる。
ララは、それでも源といることを望む。
2人の絆は、紛れもない本当の家族なのだから。
そして、源がその話をララに告げた時、ララが取るであろう行動も。
「何か、全部が丸く収まる良い方法はないもんかねぇ……」
司が望むのは、自分の周りの、出来る限り多くの人が、笑顔で幸せに暮らすこと。
そのためなら、どれだけでも労力を払う気構えがある。
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