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第6章 時の揺り籠
6-31 家族(にんげんとおおかみ)
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源の家は海辺にぽつんと建つ小屋だった。
間取りで言ったら、広めの1DKである。
その建物の中に人間3と巨大な古狼2、子狼2を詰め込む。
招かれたものの、普通であったらどう考えても収納不可な人数だった。
「相変わらず、便利な能力じゃの~」
なので、ヴォルフたちは全員小さくなった。
これで、それぞれが中型犬、小型犬サイズになり、コンパクトに収納可能となる。
若狼のララは、何で自分と同じことができる狼たちがいるのか不思議そうだった。
囲炉裏を囲んで、改めて向き合う司と源。
その横に舞とヴォルフ、ルーヴ、リリ、ララが控えるように位置取りをする。
「じじい、俺たちの話は後で良い。先にすることがある」
「お、おう? なんじゃ?」
そうやって口火を切った司は、たじろぐ源を無視してララに視線を向ける。
「ララ……だったか? これは偶然じゃないよな?」
「?」
司が呟くように話すと、それに合わせて全員がララを見つめる。
対して、急に話しかけられたララは何のことかわからない表情だ。
「ヴォルフ、どうする?」
「私たちの問題だ。私から話そう。またとない機会を与えてくれて感謝する。リリを頼む」
ヴォルフとルーヴがララの前に、リリが司の膝の上に移動する。
「いざ、本人を目の前にしたら何から話したものか……」
そこからヴォルフはぽつりぽつりと話し始めた。
自分と番のルーヴは、ウルの森というところで暮らしていたこと。大樹様を守ることが使命なこと。今は司の家を住処にしていること。そこには一族が集まっていること。
自分には子供が2人いたこと。それは深緑と薄紫の双子ということ。1人は、ここにいるリリなこと。生まれてすぐ戦いに巻き込まれて1人を川に落としてしまったこと。
落とした我が子を探したけど見つけられなかったこと。力が及ばなかった自分たちを嘆いたこと。育ててあげられなくてとても後悔したこと。
時系列に、事実関係を確認するように。
「その後、かなりの時間が経って、娘のリリが手掛かりを与えてくれた。リリには不思議な力がある。それで君の行方を|視て(・・)くれたんだ」
「川に落ちて、流されて、親切な人に拾われて、立派に育てられた、その姿を」
そこでヴォルフとルーヴは源のほうを向き、
「我が子を助けて頂き、育てて頂き、感謝いたします。聞けば、司のご祖父と伺った。司と、その家族が、2度も私たちの家族を助けてくれた。これはきっと運命に違いない」
忠義の礼の姿勢を取った。司に続いて2人目となる。
「司の導きに、改めてあまたの感謝を」
その言葉には、万感の想いが込められていた。
それを見て、ちょっと困ったような顔をした源だったが司が頷くのを見せると、
「その感謝、受け取ろう。わしは、たまたまララを拾っただけだがの」
「ありがとう」
髭をかきながら照れくさそうに受け入れた。
話は聞いていたが、自分の本当の親が目の前に現れたことを実感できないララはどうしたらいいのかわからない様子だった。
当たり前だ、今日初めて会った人から、私が本当の親と言われたら、まず間違いなく頭のおかしいやつだと思うだろう。
ララはヴォルフたちを見つめる。
自分の勘は、2人がウソは言っていないと示している。
次に、ララは源とヴォルフたちを見比べる。
自分とは似ても似つかない人間の老人と、自分とよく似ている古狼の夫婦。
最後に、ララは司に抱えられているリリを見る。
今は一言も話していないが、
「じいちゃん……どうしよう……」
ララは、人生で2回目くらいに泣きそうな気分だった。
ヴォルフたちはウソは言ってない、だけど……自分は源の子供じゃなかった事実。
薄々は感じていた、自分は源とは違うモノだと、だけど認めたくなかった。
自分の大好きな人が、自分の本当の家族じゃないなんて。
「ララよ、よかったではないか。本当の親が見つかったんじゃぞ? こんな奇跡はそうそうない。優しくて賢い、おぬしのことじゃから……わしに気を使ってそうじゃがな」
「じいちゃん……」
「この方々がおっしゃるとおりに、確かにララは、わしの本当の子供ではない。そもそも種族すら違う。司が連れてきたこの方々こそが、真の親であろう」
源は2人で暮らしていた時には、決して言わなかったことをララに告げた。
その言葉を源の口から言われ、その意味を理解したララは泣き出しそうだった。
「じゃがな、それに何の意味がある? そんなものが無くても、おぬしはわしの子。わしの家族じゃ。それとも、おぬし自身はそうは思ってなかったのか? ……それはそれでショックで死にそうじゃ」
「じいちゃーーーん!」
ララは源の懐へ飛び込んだ。自分にとっては、掛け替えのない家族の懐へ。
その様子を見ていたヴォルフたちは嬉しそうだった。
幼い頃に別れたが、親切な人に拾われて、心優しい子に育ってくれていたことを確認して。
「あなたが、私のおにいさんなの? 私はリリっていうの、よろしくね」
一通り泣いて落ち着いたララに、笑顔のリリが近づいて、ぺろぺろと頬を舐める。
涙を拭う様に、悲しいことは何もないよ、と伝えるように。
その様子を見て、司は満足そうに頷いた。
間取りで言ったら、広めの1DKである。
その建物の中に人間3と巨大な古狼2、子狼2を詰め込む。
招かれたものの、普通であったらどう考えても収納不可な人数だった。
「相変わらず、便利な能力じゃの~」
なので、ヴォルフたちは全員小さくなった。
これで、それぞれが中型犬、小型犬サイズになり、コンパクトに収納可能となる。
若狼のララは、何で自分と同じことができる狼たちがいるのか不思議そうだった。
囲炉裏を囲んで、改めて向き合う司と源。
その横に舞とヴォルフ、ルーヴ、リリ、ララが控えるように位置取りをする。
「じじい、俺たちの話は後で良い。先にすることがある」
「お、おう? なんじゃ?」
そうやって口火を切った司は、たじろぐ源を無視してララに視線を向ける。
「ララ……だったか? これは偶然じゃないよな?」
「?」
司が呟くように話すと、それに合わせて全員がララを見つめる。
対して、急に話しかけられたララは何のことかわからない表情だ。
「ヴォルフ、どうする?」
「私たちの問題だ。私から話そう。またとない機会を与えてくれて感謝する。リリを頼む」
ヴォルフとルーヴがララの前に、リリが司の膝の上に移動する。
「いざ、本人を目の前にしたら何から話したものか……」
そこからヴォルフはぽつりぽつりと話し始めた。
自分と番のルーヴは、ウルの森というところで暮らしていたこと。大樹様を守ることが使命なこと。今は司の家を住処にしていること。そこには一族が集まっていること。
自分には子供が2人いたこと。それは深緑と薄紫の双子ということ。1人は、ここにいるリリなこと。生まれてすぐ戦いに巻き込まれて1人を川に落としてしまったこと。
落とした我が子を探したけど見つけられなかったこと。力が及ばなかった自分たちを嘆いたこと。育ててあげられなくてとても後悔したこと。
時系列に、事実関係を確認するように。
「その後、かなりの時間が経って、娘のリリが手掛かりを与えてくれた。リリには不思議な力がある。それで君の行方を|視て(・・)くれたんだ」
「川に落ちて、流されて、親切な人に拾われて、立派に育てられた、その姿を」
そこでヴォルフとルーヴは源のほうを向き、
「我が子を助けて頂き、育てて頂き、感謝いたします。聞けば、司のご祖父と伺った。司と、その家族が、2度も私たちの家族を助けてくれた。これはきっと運命に違いない」
忠義の礼の姿勢を取った。司に続いて2人目となる。
「司の導きに、改めてあまたの感謝を」
その言葉には、万感の想いが込められていた。
それを見て、ちょっと困ったような顔をした源だったが司が頷くのを見せると、
「その感謝、受け取ろう。わしは、たまたまララを拾っただけだがの」
「ありがとう」
髭をかきながら照れくさそうに受け入れた。
話は聞いていたが、自分の本当の親が目の前に現れたことを実感できないララはどうしたらいいのかわからない様子だった。
当たり前だ、今日初めて会った人から、私が本当の親と言われたら、まず間違いなく頭のおかしいやつだと思うだろう。
ララはヴォルフたちを見つめる。
自分の勘は、2人がウソは言っていないと示している。
次に、ララは源とヴォルフたちを見比べる。
自分とは似ても似つかない人間の老人と、自分とよく似ている古狼の夫婦。
最後に、ララは司に抱えられているリリを見る。
今は一言も話していないが、
「じいちゃん……どうしよう……」
ララは、人生で2回目くらいに泣きそうな気分だった。
ヴォルフたちはウソは言ってない、だけど……自分は源の子供じゃなかった事実。
薄々は感じていた、自分は源とは違うモノだと、だけど認めたくなかった。
自分の大好きな人が、自分の本当の家族じゃないなんて。
「ララよ、よかったではないか。本当の親が見つかったんじゃぞ? こんな奇跡はそうそうない。優しくて賢い、おぬしのことじゃから……わしに気を使ってそうじゃがな」
「じいちゃん……」
「この方々がおっしゃるとおりに、確かにララは、わしの本当の子供ではない。そもそも種族すら違う。司が連れてきたこの方々こそが、真の親であろう」
源は2人で暮らしていた時には、決して言わなかったことをララに告げた。
その言葉を源の口から言われ、その意味を理解したララは泣き出しそうだった。
「じゃがな、それに何の意味がある? そんなものが無くても、おぬしはわしの子。わしの家族じゃ。それとも、おぬし自身はそうは思ってなかったのか? ……それはそれでショックで死にそうじゃ」
「じいちゃーーーん!」
ララは源の懐へ飛び込んだ。自分にとっては、掛け替えのない家族の懐へ。
その様子を見ていたヴォルフたちは嬉しそうだった。
幼い頃に別れたが、親切な人に拾われて、心優しい子に育ってくれていたことを確認して。
「あなたが、私のおにいさんなの? 私はリリっていうの、よろしくね」
一通り泣いて落ち着いたララに、笑顔のリリが近づいて、ぺろぺろと頬を舐める。
涙を拭う様に、悲しいことは何もないよ、と伝えるように。
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