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本編
14 side.フィストス③
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フィストスは動けなくなったエルフリーデをひょいと抱えて、奥へと向かった。案内がなくてもなんとなく分かるような館内構造だ。フィストスも迷うことなく、件の露天風呂にたどり着いた。
もう客もいない時間帯だからか、露天風呂の外灯は全て落とされている。フィストスが腕を一振りして最低限の灯りをつけると白い湯と湯気に反射して、湯船の青が透けて見えた。
「誰もいないから、好きにしてもいいんだもんな」
「私を巻き込まないでよ。やだやめて、脱がさないでっ変態っ」
「変態じゃなくて命の恩人だろ?」
本当は専用の服とやらが必要な露天風呂だが、好きにしていいと言うので、そうさせてもらうことにした。エルフリーデを籐のカウチに座らせて服を脱がせると、己の服も手早く脱ぎ捨てる。
「ひぅえっ」
「ん?」
服を脱がせただけなのに、エルフリーデが奇妙な声を上げた。ぎゅっと目を閉じているところを見るに、フィストスの彫刻のように美しい裸体に当てられたのだと推察する。本人の色気はまだ足りていないが、他人の色気は分かるようになってきたらしい。
「にっ、にやにやしてないで服着せてっ」
にやにやしているはすがない。
「温泉に入るって言っただろ」
「ならせめて早くお湯の中に……」
「はいはい」
騒がしいエルフリーデを再び抱えた。一緒に楽しんでくれるなら魂を縛ったりはしないのに、この調子でいつか、そういう日にたどり着くことはあるのだろうか。
そんなことを考えながら、白濁する湯に入ってみた。温かい。肩まで浸かると、抱えたままのエルフリーデの身体からもわずかに力が抜けた。
それでもまだまだ強張っている身体を湯船の中で組んだ脚の上に乗せて、上半身は胸板によりかからせるようにしながら夜空を眺めた。
入ってみたはいいものの、良さはいまいち分からない。汚れを落とすなら魔法でいい。じっとしている以外やることはないのだろうか。ゲームがあるとか言っていたが、その気分でもない。
フィストスがぼうっとしているところに、辛抱たまらなくなったようなエルフリーデの抗議が入る。
「ねぇ……いつまでこの格好……?」
「そうだな。ずっとこのままってわけにはいかないよな」
また、あからさまにほっとされた。先ほど芽が出たばかりの嗜虐心がむくむくと育つ。
「わっ、え、あっ……」
エルフリーデの背中がこちらを向くように身体を動かして、背後から胸を揉んだ。ささやかなそれを湯の中でたゆたゆと揺らしながら、反対の乳首を指先でこねる。
「そっ、そういうことじゃ、ないっ、っは」
「いいだろ? あのシャンデリアを綺麗にしといてやるから」
「んぁっ、ん……シャンデリア、は、じぶんで……」
この契約者は頑固だ。子供は例外として、過去の女契約者は一度身体を重ねると悪魔の虜になる。その後も幾度となく身体を重ねて、対価として何度も願いを叶える。次第に恋人になったかのように勘違いをし始めて――もしくは恋人になってほしいとの願いを受けて、そうなった後に裏切るのが楽しいのだが。
エルフリーデはフィストスが何度言っても頷かない。シャンデリアを磨きたいというようなささやかな願いは常にあるだろうに、悪魔との契約は頑なに拒否する。
しかしフィストスも悪魔なので相手の意思を尊重したりはしない。
契約を結ばなければ何もできない、という訳ではないのだ。せっかくの新しい契約者なのだから勝手に抱いて、フィストスの美学の範囲内で勝手に願いを叶えてやればいい。
そうしているうちに、自ずと堕ちてくるだろうから。
「濡れてる」
「そんな、わけ、なっ、あっ」
後ろから回していた手を下に伸ばして太ももを撫でた。胸を弄りながら太ももを散々さすって、足の間には届きそうで届かないような柔らかい刺激を与える。少し焦らしてやってから指を伸ばした淫裂は明らかに、温泉の湯とは違うとろみを湛えていた。
「声、もっと聞かせろって」
「やっ、あぅ、ひびくっから、んっ」
「でも誰もいないんだろ?」
「うぅっ、んあっ……、ひぁっ」
白い湯だが、小さな滴になるとほぼ透明に見えた。腰が揺れる度に湯もちゃぷちゃぷと跳ねて、フィストスとエルフリーデの顔を濡らす。
薄明かりに白く映える顔や首筋の肌が湯を弾いて雫となっては、ぽたぽたと落ちていった。
「んっ、あっ、あ……、ああぁっ……」
ぬるり、と濡れる蜜壺に指を突き入れる。相変わらず狭い、けれど柔らかい。何度か身体を重ねてようやく慣れてきたのだろうと思えば、自然と口角が上がった。
すでに立ち上がっているものも擦りつけ、挿れていないのにまるで挿れているかのような動きをしてやれば、エルフリーデの中がひくひくと指を締め付けた。
もう、挿れてしまいたい。フィストスは獰猛な獣のような眼でエルフリーデを見ながら、唇を舐めた。
もう客もいない時間帯だからか、露天風呂の外灯は全て落とされている。フィストスが腕を一振りして最低限の灯りをつけると白い湯と湯気に反射して、湯船の青が透けて見えた。
「誰もいないから、好きにしてもいいんだもんな」
「私を巻き込まないでよ。やだやめて、脱がさないでっ変態っ」
「変態じゃなくて命の恩人だろ?」
本当は専用の服とやらが必要な露天風呂だが、好きにしていいと言うので、そうさせてもらうことにした。エルフリーデを籐のカウチに座らせて服を脱がせると、己の服も手早く脱ぎ捨てる。
「ひぅえっ」
「ん?」
服を脱がせただけなのに、エルフリーデが奇妙な声を上げた。ぎゅっと目を閉じているところを見るに、フィストスの彫刻のように美しい裸体に当てられたのだと推察する。本人の色気はまだ足りていないが、他人の色気は分かるようになってきたらしい。
「にっ、にやにやしてないで服着せてっ」
にやにやしているはすがない。
「温泉に入るって言っただろ」
「ならせめて早くお湯の中に……」
「はいはい」
騒がしいエルフリーデを再び抱えた。一緒に楽しんでくれるなら魂を縛ったりはしないのに、この調子でいつか、そういう日にたどり着くことはあるのだろうか。
そんなことを考えながら、白濁する湯に入ってみた。温かい。肩まで浸かると、抱えたままのエルフリーデの身体からもわずかに力が抜けた。
それでもまだまだ強張っている身体を湯船の中で組んだ脚の上に乗せて、上半身は胸板によりかからせるようにしながら夜空を眺めた。
入ってみたはいいものの、良さはいまいち分からない。汚れを落とすなら魔法でいい。じっとしている以外やることはないのだろうか。ゲームがあるとか言っていたが、その気分でもない。
フィストスがぼうっとしているところに、辛抱たまらなくなったようなエルフリーデの抗議が入る。
「ねぇ……いつまでこの格好……?」
「そうだな。ずっとこのままってわけにはいかないよな」
また、あからさまにほっとされた。先ほど芽が出たばかりの嗜虐心がむくむくと育つ。
「わっ、え、あっ……」
エルフリーデの背中がこちらを向くように身体を動かして、背後から胸を揉んだ。ささやかなそれを湯の中でたゆたゆと揺らしながら、反対の乳首を指先でこねる。
「そっ、そういうことじゃ、ないっ、っは」
「いいだろ? あのシャンデリアを綺麗にしといてやるから」
「んぁっ、ん……シャンデリア、は、じぶんで……」
この契約者は頑固だ。子供は例外として、過去の女契約者は一度身体を重ねると悪魔の虜になる。その後も幾度となく身体を重ねて、対価として何度も願いを叶える。次第に恋人になったかのように勘違いをし始めて――もしくは恋人になってほしいとの願いを受けて、そうなった後に裏切るのが楽しいのだが。
エルフリーデはフィストスが何度言っても頷かない。シャンデリアを磨きたいというようなささやかな願いは常にあるだろうに、悪魔との契約は頑なに拒否する。
しかしフィストスも悪魔なので相手の意思を尊重したりはしない。
契約を結ばなければ何もできない、という訳ではないのだ。せっかくの新しい契約者なのだから勝手に抱いて、フィストスの美学の範囲内で勝手に願いを叶えてやればいい。
そうしているうちに、自ずと堕ちてくるだろうから。
「濡れてる」
「そんな、わけ、なっ、あっ」
後ろから回していた手を下に伸ばして太ももを撫でた。胸を弄りながら太ももを散々さすって、足の間には届きそうで届かないような柔らかい刺激を与える。少し焦らしてやってから指を伸ばした淫裂は明らかに、温泉の湯とは違うとろみを湛えていた。
「声、もっと聞かせろって」
「やっ、あぅ、ひびくっから、んっ」
「でも誰もいないんだろ?」
「うぅっ、んあっ……、ひぁっ」
白い湯だが、小さな滴になるとほぼ透明に見えた。腰が揺れる度に湯もちゃぷちゃぷと跳ねて、フィストスとエルフリーデの顔を濡らす。
薄明かりに白く映える顔や首筋の肌が湯を弾いて雫となっては、ぽたぽたと落ちていった。
「んっ、あっ、あ……、ああぁっ……」
ぬるり、と濡れる蜜壺に指を突き入れる。相変わらず狭い、けれど柔らかい。何度か身体を重ねてようやく慣れてきたのだろうと思えば、自然と口角が上がった。
すでに立ち上がっているものも擦りつけ、挿れていないのにまるで挿れているかのような動きをしてやれば、エルフリーデの中がひくひくと指を締め付けた。
もう、挿れてしまいたい。フィストスは獰猛な獣のような眼でエルフリーデを見ながら、唇を舐めた。
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