141 / 186
125.
しおりを挟むこのお茶会で決着をつけようと密かに思っていた。
最初はここまでする気はなかったが、バーバラのあまりの浅はかな考えと貴族派の令嬢達は貴族である立場と国を守る側の立場であることを忘れた事に不快感を持っていた。
特に今回の事で、クレミア公爵夫人が裏で動き回りエリオルとバーバラの婚姻を結ぶべく動いていたこと。
どうしても無理ならば体に害を与えかねない精神を操る薬を購入していた事を知った時は激怒した。
「貴女は…貴女達親子は誰にも愛されないわ」
「は?」
「愛されるだけの関係を望む。貴女自身からは何も与えないだもの」
まっすぐに見据えるソフィアにバーバラ笑った。
「ふっ…アハハハ!」
まるであざ笑うようだった。
「何で私が与えないといけないのよ?この私が…馬鹿じゃないの!」
「言うだけ無駄だったようですね」
与えられて当然。
愛されて当然だと言うバーバラに言葉が届くことはない。
「何よその目…小賢しい女!」
「私は貴女に小賢しいと言われる振る舞いをした覚えはありません」
「横から盗人のような真似をして!エリオル様は私のだったのよ!」
憎悪の感情をぶつけられるもソフィアは澄ました表情で告げる。
「エリオルは貴女のものではありませんわ?これまでずっと…そして今後も貴女のものになりません。彼は私の婚約者で夫です」
「ふっ…ふざけないで!捨てられた女の癖に!」
ソフィアが祖国で受けた屈辱は少し調べれば解るのだ。
「この傷物が!」
「だからなんです?」
「は?」
今更馬鹿にされても痛くも痒くもない。
「見綺麗のままですわ」
「なっ…開き直ってるんじゃないわよ!」
「事実ですわ。貴女はもう少し貞操観念をお持ちなさいな。一応は貴族の娘でしょう…平民出身の方でももう少しましな振る舞いができますわよ」
相手が逆上するのを承知でソフィアは勝ち誇った笑みを浮かべる。
バーバラの振る舞いは高位貴族ではまずありえないし、既に淑女と呼べるものではない。
「お父様の力を当てにして守ってもらうだけ…貴女は何もできないのね?」
「黙りなさい!」
「何かあればお父様に泣きつくだけ。なんと愚かで情けない事か」
「煩い!」
「貴女は誰も愛さない。いいえ自分だけしか愛せないわ。だから愛してもらえないのよ」
「黙れって言っているでしょ!」
ソフィアはバーバラを追い込むような言葉をわざと言い、逃げ場を奪った。
その結果、バーバラは暴走したのだった。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる