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番外編 パウロの話 8

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「・・・・・・ってことだ。」

「あい。ひっく、ごめ、ごめんなさい。」


家の中は木の匂いがする綺麗に掃除された部屋だった。テーブルやソファなどの家具はもう置いてあって、食器も、お揃いのコップがチラリと見えたから、多分ハニルさんが買ってきてくれたんだと思う。

ハニルさんの説明によると、あの女性はサーシャさんと言って、何とナディルさんのお姉さんだった。
知らなかったけど、露店は基本そのサーシャさんが店番をしていて、僕の絵を売ってくれているのもサーシャさんらしい。僕は後日どんな謝罪の品を持っていけば良いか・・・倒れそうになった。

そして、この家はハニルさんが僕と住む家を必死に探してくれて、たまたまサーシャさんの知り合いの人が、孫と同居するから空き家になるってことで、僕たちに貸してくれるようになった、ということらしい。
僕用の鍵をサーシャさんが大家さんから受け取ってきてくれて、ハニルさんが午前中にそれを受け取って、午後からその鍵を使って僕を驚かせよう!っていう計画。

・・・・・・僕が全部台無しにしちゃった。

昔からそうなんだ。突然暴走して、止まらなくなってて、気付いたら大惨事。
ラピ兄さんから「相手の話をちゃんと聞きなさい」って教わってきたのに・・・。



それで、僕は自分が恥ずかしくて、情けなくて。準備してくれてたハニルさんの気持ち考えたらもう堪らなくなっちゃって、涙がずぅーーーっと止まらない。新しい椅子に座って、えぐえぐ泣いている。

僕、本当に嫌われたんじゃない?
とんでもない迷惑かけたし。
あ、そう言えば聞きたいことまだあった。
さっきの獅子獣人、一体誰なんだ。ハニルさんが敬語を使ってたってことは、割と偉い人だよな。僕より少しだけ歳上に、見えたけど。  


「ハ、ニルさん、さっきの、獅子の人・・・ひっく、誰・・・?」

「・・・・・・・・・あれは、ディック様と言って、ランドルフ様の・・・弟だ。」

「・・・ええ?????!お、とうと!?・・・た、たしかに・・・似てる気もする・・・」

「放浪癖があるから、すぐいなくなるんだ。今日は何を思ったか朝市に行こうとしたみたいだが・・・。ディック様の護衛が知らせてくれたんだ。パウロと一緒にサリーの店にいる、って。」

「そう、だったの・・・。い、いきなり良い匂いとか言うし、突然担がれたから、ひっく、変な人かと思って、失礼な言葉遣いになっちゃった・・・ひっく、」

「・・・良い匂い?担がれた?」

「へ?う、うん?首の匂い嗅がれて、良い匂いって・・・あと、こう、ガバッと。ひっく、」

「・・・・・・チッ。礼するのやめる。」

「だ、だめだよ!ぼ、僕がする!ミルクティーもご馳走になっちゃったし!ああ・・・もう僕・・・馬鹿だ・・・ひっく、」

「・・・俺が勘違いさせたのが悪いんだ。もう泣き止め、パウロ。」

「だ、だってぇ・・・ひっく・・・ハニル、さんは、僕のこと・・・嫌になった、でしょ?まだ、噛んで・・・ないから、ぼ、僕いなくなった方が・・・」

「・・・なんだって?」

「ぼ、僕、我が儘だし、今までも、噛んでって困らせてばっかりだったでしょ・・・。ハニルさんみたいにしっかりしてて、かっこいい人・・・なら、他に素敵な人が」
「パウロ。そこまでだ。」

今まで聞いたことがないハニルさんのドスの効いた声に僕はビクッと肩を揺らした。ハニルさんめちゃめちゃ怒ってる。
僕の耳と尻尾はぺしゃり、と垂れているのが見なくても分かった。

思わず下を向いて手をぎゅっと握った。
どうしよう、また怒らせること言っちゃった。
ハニルさんが向かいの椅子から立ち上がって僕のとこまで近づいて来たのが分かる。するとハニルさんはまた僕を抱き上げ、そのまま廊下を歩いていった。何も喋らないハニルさんに僕の身体はどんどん強張っていく。

そしてドサッと降ろされたのは、新品のシーツが敷かれたとても大きなベッドの上だった。僕の家のベッドの2倍以上ある。
びっくりして目をパチリと開き、耳はヘニョっと垂らしたまま、僕は仰向けだ。
その上にゆっくりとハニルさんが覆いかぶさる。

「僕がいない方がいい?他に素敵な人?いるわけないだろ、そんなやつ。・・・俺がどんだけ噛むの我慢してきたと思ってんだ。この馬鹿。」

「うう。え、だ、だって・・・」

「・・・まだ昼だな。途中一回は休憩させてやる。・・・夜まで頑張れよ?念願の番だもんな、パウロ。」

「へっ?よ、夜?待って!まっ、」
「待たない。に耐えたんだから、褒めてくれよ。なぁ?」

ギラギラした瞳が急に近付いた、と思った時にはもう噛み付かれるように濃厚なキスをされていて、僕はもうハニルさんにされるがままだった。

首筋なんて、もうガブガブ噛まれるし、服もいつのまにか脱がされていて、あっという間に僕は貧相な身体に下穿き一枚にされていた。
ハニルさんみたいに筋肉質でかっこいい身体ならまだしも、僕はペラッペラな身体で、日に焼けてない不健康な白肌だ。

「~~っ!そんな、に、見ないでってばぁ・・・」

「いつもの元気の良さはどこ行ったんだ、パウロ。噛んで噛んでってうるさかっただろ。そういえば、今日は言わないなぁ?」

「ハニルさん!か、か、揶揄ってるでしょっ!ぼ、僕、こうゆうことするの、初めて、なんだからねっ!は、恥ずかしいに決まってる、でしょっ!」

「・・・はあ・・・堪んねぇ・・・」

「ねえ!聞いて、んむ!ひゃあっ!」

僕の口にまた濃厚なキスを始める。そして両手で僕の身体を、さわさわ、と撫でるように触るのだ。首、肩、胸、腹。そしてお尻。
下穿きの上からだけど、お尻を触られた瞬間、びくんっと大袈裟に身体が跳ねてしまって、顔がカッと熱くなる。

至近距離で僕の顔を見ているハニルさんの目は弧を描き、喉を鳴らして少し笑っているようだった。「遊んでない?!」と僕は文句を言いたくなったが、その言葉が口から出ることはなく、今度はお尻をむにむに揉まれ始めた。

「ひゃん、や、やだぁ!んん、んむ、あう、」

「柔らけ・・・下穿きの上からでもすべすべなのがわかる・・・」

「エ、エッチ!!おじさんみたいなこと言わないで!!」

「・・・おじさん、ねぇ。じゃあ、もっと沢山恥ずかしいところ見せてもらおうかな・・・おじさんに。」

「へっ!な、なに!?わあ!!!」

ずるん、と下穿きを剥がれ、突然丸裸にされた。身体を隠せるようなものは全て隠されていて、僕は思わず仰向けから、身体を隠すように疼くまる。だんご虫状態だ。

「~~~っ!」

「パウロ、それじゃ、尻丸見えだぞ?いいのか?くっくっ」

前は隠せてもお尻丸見えだった。思わず、キッとハニルさんを睨みつけたけど、そのハニルさんは僕に見せつけるように片手で小瓶を持っている。
その顔はどこか楽しそうで、耳も尻尾もそわそわ動いていた。



「さあて、パウロ。まず、風呂場行こうか。」
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