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ラズワルドはラファドがリーシュを婚約者にしたいとまで考えている事を伏せた状態でリーシュにこれまでの流れを説明した。
むしろ「言ってたまるものか!」という執念まで感じる。





「まあ、聞いた話によると魔力封じの腕輪まで使った挙句、専属魔法士も決定事項になっていたとか?・・・でしたよね?父上。」

「そ、そ、そうだな?」

「反省されてください。」

「・・・・・・はい。」




苦言を呈された父の頭には、既視感のある犬耳が垂れていた。
一方、リーシュは開いた口が塞がらない。




「で、でも、兄上?僕は先程王宮で・・・その・・・、ラファド様がハンナ様に耳飾りを・・・、ですからぼ、僕ではなく、ハンナ様を」

「そんなわけ絶対にない。」




いつもリーシュに対して、優しい口調の兄が力強くそう言い切った。




「ラファド様はリーシュやハンナ様の心に反することは絶対にしない。これは言い切れる。そういうお方だ。」

「でも・・・」

「この件は当事者同士直接話し合った方がいい。ラファド様にはリーシュと話がしたければ、自力でこちらまで来るように伝えてある。」

「・・・・・・」

「ギデオン領までは早くても一週間はかかる。それまでリーシュも頭を整理しておきなさい。それでいいですよね?父上。」



父から同意を得たラズワルドはリーシュの頭を撫でながら「今日はもう寝なさい」とふわりと微笑んだ。





それから一週間。
リーシュはどうすべきか考えた。
だがどうすればいいのか分からない。


兄はああ言っていたが本当のところはわからない。
これは仕事、と割り切れば簡単な話。
自ら専属魔法士を辞退すればいいのだ。
リーシュにとってそれはとても辛いこと。
ラファドから「必要無い」と面と向かって言われるのが怖い。




彼の側にいたい。
だが、苦しい。
この気持ちをきっと恋と呼ぶのだろう、とリーシュはとっくに気付いていた。
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