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40◎

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目の前には艶やかな光を放つチョコレートと、先日猫みたいに丸まって可愛い寝顔を見せてくれたミンミン。
今日は誰にも倒すことができない鉄壁のボディーガードと共に談話室に登場だ。



もちろんそのボディーガードってのは、俺にだけ超怖い目線を送ってくるエバンズのことだけど。


今日は四人で作戦会議、という名のチョコ会アゲイン。昨日の"かくれんぼ疲れ"を癒すためには、やっぱり甘い物デショ!
明日の課題はなんと【他パートナーとの連携も可】ってことだったから、俺は迷うことなく二人を誘った。

だって、第一課題の獲得点数ダントツ一位パートナーだよ?
俺とエルザも六位で、無事第一課題通過。
他のパートナーも二人を狙ってたけど、俺が逃がすわけないってね。誰にも譲んないもん。


エバンズとミンミンは優勝狙いみたいだけど、俺はどっちかって言うと、GP【Goodグッド  Partnerパートナー】狙いだから。
エバンズが出る時点で、優勝は正直諦めた。他のパートナーもそうなんじゃないのかなぁ。
敵うわけないって。こんな化け物みたいな奴に。
なんならミンミンもそれなりに化け物だし。

だったらさっさと切り替えるのが正解。エルザとGP戴こうってわけ。
GPだってかなり名誉なものだし、決めるのは学校長と一般生徒の投票。
実力と、パートナーとの協力体制、魅力度、人格、憧れ度・・・その他諸々。
『このパートナーこそ、今年の顔!推せる!』って証。
GPを貰ったパートナーって、貴族界、社交界だけじゃなく、魔法省とかでも評判爆上がりだし、俺はエルザと今後も良好な関係で共にありたいから、ぜひいただきたいんだよね~!

・・・ま、エバンズも狙ってるみたいだけど。
それにしても、あーあ。エバンズったら、早速そんなに顔綻ばせちゃって。
わかるよ、わかる。ミンミン、チョコレートに目がキラキラしちゃってて、可愛いもんね。本当ならそのままお部屋に連れて帰りたいんだろうね。
ミンミンも『もう二度とチョコに釣られないですからね!!』とか言ってたのに、見事釣られてるじゃん。
エルザだって、ミンミンのこと気に入ってるから張り切ってチョコレート取り寄せてたし。

なんだよ、みんなミンミンにめろめろじゃんか。・・・・・・俺もか。



「なあ。今年の課題、何で子どもの遊びばっかなんだよ。お前、何か知っ」「ダメ、アルやり直し。」

「は、はあ・・・?」

「お前、じゃないでしょ、アル?」

「・・・・・・・・・・・・」


なに、そのやりとり。めっちゃ興味ある。
あらあら、ミンミンなんか目が泳いでない?
エバンズは蕩けそうな顔でミンミンのことのぞき込んでますけど。
二人のその意味深なやりとりにエルザもニヤけるの必死に堪えてる。


「ほーら。アル。約束したでしょ。」

「・・・・・・フィ・・・ン、なら、な、なんか、情報、も、ってるんじゃナインデスカ・・・」

「まぁ・・・・・・!」
「おお・・・・・・!」

「~~~~っ、やっぱ、は、は、は、恥ずか、」
「ああ・・・・・・っ、なんて愛おしいんだろう・・・っ!」
「ぎゃっ!!だ、だ、抱きつくんじゃねーーーーーよ!!!」



あのツンが強いミンミンが、エバンズのこと愛称で呼んでるだってぇ・・・?!
たったそれだけっちゃ、それだけなんだけど、この二人に関してはそれがかなり大きな進歩に見えるし、何より二人の空気が甘い。チョコレートぐらい。

・・・もう早くくっついちゃえばいいのに。



「まあまあ、小鳥さんったら。そのように可愛いさを安易に振り撒いては駄目ですわよ?その辺りの殿方なんて、今のお顔だけで落とされてしまいます。」

「フォア嬢。」

「エバンズ様、そのように殺意を向けるのはやめてください。明日は協力体制をとっていただくのですから。それに私は単に小鳥さんの身を案じただけですわ。」

「ななななな、何言ってんですか!!!」

「ミンミンのことみーーーんなすぐ好きになっちゃうってこ、うっわああああ!エバンズ!?短剣飛ばしてこないで!!」

「シュバリエは黙って。」

「おっ、おまっ、何して、」
「アル?」

「・・・・・・クソッ!!フィン!短剣飛ばすのやめろ!危ないだろ!」

「はぁ~い。」

「・・・ええぇ・・・・・・・・・?」


エバンズの手のひらの返し方がすごい。むしろここまで来ると清々しい。ミンミンがエバンズにとって、いかに特別な存在なのか分かる。
エバンズが突然パートナーを決めた時には心底驚いたけど、なんか二人を見てたら納得しちゃう。
本当、おもしろい。見てて飽きない大好きな二人。

あ、ようやくエバンズを体から引き剥がした。


「ったく!フィ、フィンはもう騒ぐなよ!?今日は作戦会議だろ!明日の課題、"迷わず見つけられるかな?"ってヒントでもう意味わかんねーんだから、助け合うしかないんだぞ!」

「ふっ、ふふふっ。分かってるよ。」

「に、に、ニヤけんな!!手握んな!!」

「あーあ。何、この惚気。」

「惚気てない!!!」

「まあまあ、小鳥さん。とりあえずお一ついかが?これは柑橘のピューレ入りですわよ。」

「・・・・・・いただきま、す。」

「ふふっ、ふ、ふふっ、」
「フィン!!!!」

「何、この惚、」
「惚気てない!!!」



しばらくこのやりとりは続いたわけだけど、エバンズは懲りずに幸せ全開でニヤけていて、ミンミンは終始恥ずかしくて怒ってた。


・・・・・・明日大丈夫かな。
ま、大丈夫か。この二人、化け物だし。

そんな風に考えてたら、エルザに膝をキュッとつねられて。
俺はいつものようにへらっと笑って誤魔化しておいた。





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