40 / 55
40◎
しおりを挟む
目の前には艶やかな光を放つチョコレートと、先日猫みたいに丸まって可愛い寝顔を見せてくれたミンミン。
今日は誰にも倒すことができない鉄壁のボディーガードと共に談話室に登場だ。
もちろんそのボディーガードってのは、俺にだけ超怖い目線を送ってくるエバンズのことだけど。
今日は四人で作戦会議、という名のチョコ会アゲイン。昨日の"かくれんぼ疲れ"を癒すためには、やっぱり甘い物デショ!
明日の課題はなんと【他パートナーとの連携も可】ってことだったから、俺は迷うことなく二人を誘った。
だって、第一課題の獲得点数ダントツ一位パートナーだよ?
俺とエルザも六位で、無事第一課題通過。
他のパートナーも二人を狙ってたけど、俺が逃がすわけないってね。誰にも譲んないもん。
エバンズとミンミンは優勝狙いみたいだけど、俺はどっちかって言うと、GP【Good Partner】狙いだから。
エバンズが出る時点で、優勝は正直諦めた。他のパートナーもそうなんじゃないのかなぁ。
敵うわけないって。こんな化け物みたいな奴に。
なんならミンミンもそれなりに化け物だし。
だったらさっさと切り替えるのが正解。エルザとGP戴こうってわけ。
GPだってかなり名誉なものだし、決めるのは学校長と一般生徒の投票。
実力と、パートナーとの協力体制、魅力度、人格、憧れ度・・・その他諸々。
『このパートナーこそ、今年の顔!推せる!』って証。
GPを貰ったパートナーって、貴族界、社交界だけじゃなく、魔法省とかでも評判爆上がりだし、俺はエルザと今後も良好な関係で共にありたいから、ぜひいただきたいんだよね~!
・・・ま、エバンズも狙ってるみたいだけど。
それにしても、あーあ。エバンズったら、早速そんなに顔綻ばせちゃって。
わかるよ、わかる。ミンミン、チョコレートに目がキラキラしちゃってて、可愛いもんね。本当ならそのままお部屋に連れて帰りたいんだろうね。
ミンミンも『もう二度とチョコに釣られないですからね!!』とか言ってたのに、見事釣られてるじゃん。
エルザだって、ミンミンのこと気に入ってるから張り切ってチョコレート取り寄せてたし。
なんだよ、みんなミンミンにめろめろじゃんか。・・・・・・俺もか。
「なあ。今年の課題、何で子どもの遊びばっかなんだよ。お前、何か知っ」「ダメ、アルやり直し。」
「は、はあ・・・?」
「お前、じゃないでしょ、アル?」
「・・・・・・・・・・・・」
なに、そのやりとり。めっちゃ興味ある。
あらあら、ミンミンなんか目が泳いでない?
エバンズは蕩けそうな顔でミンミンのことのぞき込んでますけど。
二人のその意味深なやりとりにエルザもニヤけるの必死に堪えてる。
「ほーら。アル。約束したでしょ。」
「・・・・・・フィ・・・ン、なら、な、なんか、情報、も、ってるんじゃナインデスカ・・・」
「まぁ・・・・・・!」
「おお・・・・・・!」
「~~~~っ、やっぱ、は、は、は、恥ずか、」
「ああ・・・・・・っ、なんて愛おしいんだろう・・・っ!」
「ぎゃっ!!だ、だ、抱きつくんじゃねーーーーーよ!!!」
あのツンが強いミンミンが、エバンズのこと愛称で呼んでるだってぇ・・・?!
たったそれだけっちゃ、それだけなんだけど、この二人に関してはそれがかなり大きな進歩に見えるし、何より二人の空気が甘い。チョコレートぐらい。
・・・もう早くくっついちゃえばいいのに。
「まあまあ、小鳥さんったら。そのように可愛いさを安易に振り撒いては駄目ですわよ?その辺りの殿方なんて、今のお顔だけで落とされてしまいます。」
「フォア嬢。」
「エバンズ様、そのように殺意を向けるのはやめてください。明日は協力体制をとっていただくのですから。それに私は単に小鳥さんの身を案じただけですわ。」
「ななななな、何言ってんですか!!!」
「ミンミンのことみーーーんなすぐ好きになっちゃうってこ、うっわああああ!エバンズ!?短剣飛ばしてこないで!!」
「シュバリエは黙って。」
「おっ、おまっ、何して、」
「アル?」
「・・・・・・クソッ!!フィン!短剣飛ばすのやめろ!危ないだろ!」
「はぁ~い。」
「・・・ええぇ・・・・・・・・・?」
エバンズの手のひらの返し方がすごい。むしろここまで来ると清々しい。ミンミンがエバンズにとって、いかに特別な存在なのか分かる。
エバンズが突然パートナーを決めた時には心底驚いたけど、なんか二人を見てたら納得しちゃう。
本当、おもしろい。見てて飽きない大好きな二人。
あ、ようやくエバンズを体から引き剥がした。
「ったく!フィ、フィンはもう騒ぐなよ!?今日は作戦会議だろ!明日の課題、"迷わず見つけられるかな?"ってヒントでもう意味わかんねーんだから、助け合うしかないんだぞ!」
「ふっ、ふふふっ。分かってるよ。」
「に、に、ニヤけんな!!手握んな!!」
「あーあ。何、この惚気。」
「惚気てない!!!」
「まあまあ、小鳥さん。とりあえずお一ついかが?これは柑橘のピューレ入りですわよ。」
「・・・・・・いただきま、す。」
「ふふっ、ふ、ふふっ、」
「フィン!!!!」
「何、この惚、」
「惚気てない!!!」
しばらくこのやりとりは続いたわけだけど、エバンズは懲りずに幸せ全開でニヤけていて、ミンミンは終始恥ずかしくて怒ってた。
・・・・・・明日大丈夫かな。
ま、大丈夫か。この二人、化け物だし。
そんな風に考えてたら、エルザに膝をキュッとつねられて。
俺はいつものようにへらっと笑って誤魔化しておいた。
今日は誰にも倒すことができない鉄壁のボディーガードと共に談話室に登場だ。
もちろんそのボディーガードってのは、俺にだけ超怖い目線を送ってくるエバンズのことだけど。
今日は四人で作戦会議、という名のチョコ会アゲイン。昨日の"かくれんぼ疲れ"を癒すためには、やっぱり甘い物デショ!
明日の課題はなんと【他パートナーとの連携も可】ってことだったから、俺は迷うことなく二人を誘った。
だって、第一課題の獲得点数ダントツ一位パートナーだよ?
俺とエルザも六位で、無事第一課題通過。
他のパートナーも二人を狙ってたけど、俺が逃がすわけないってね。誰にも譲んないもん。
エバンズとミンミンは優勝狙いみたいだけど、俺はどっちかって言うと、GP【Good Partner】狙いだから。
エバンズが出る時点で、優勝は正直諦めた。他のパートナーもそうなんじゃないのかなぁ。
敵うわけないって。こんな化け物みたいな奴に。
なんならミンミンもそれなりに化け物だし。
だったらさっさと切り替えるのが正解。エルザとGP戴こうってわけ。
GPだってかなり名誉なものだし、決めるのは学校長と一般生徒の投票。
実力と、パートナーとの協力体制、魅力度、人格、憧れ度・・・その他諸々。
『このパートナーこそ、今年の顔!推せる!』って証。
GPを貰ったパートナーって、貴族界、社交界だけじゃなく、魔法省とかでも評判爆上がりだし、俺はエルザと今後も良好な関係で共にありたいから、ぜひいただきたいんだよね~!
・・・ま、エバンズも狙ってるみたいだけど。
それにしても、あーあ。エバンズったら、早速そんなに顔綻ばせちゃって。
わかるよ、わかる。ミンミン、チョコレートに目がキラキラしちゃってて、可愛いもんね。本当ならそのままお部屋に連れて帰りたいんだろうね。
ミンミンも『もう二度とチョコに釣られないですからね!!』とか言ってたのに、見事釣られてるじゃん。
エルザだって、ミンミンのこと気に入ってるから張り切ってチョコレート取り寄せてたし。
なんだよ、みんなミンミンにめろめろじゃんか。・・・・・・俺もか。
「なあ。今年の課題、何で子どもの遊びばっかなんだよ。お前、何か知っ」「ダメ、アルやり直し。」
「は、はあ・・・?」
「お前、じゃないでしょ、アル?」
「・・・・・・・・・・・・」
なに、そのやりとり。めっちゃ興味ある。
あらあら、ミンミンなんか目が泳いでない?
エバンズは蕩けそうな顔でミンミンのことのぞき込んでますけど。
二人のその意味深なやりとりにエルザもニヤけるの必死に堪えてる。
「ほーら。アル。約束したでしょ。」
「・・・・・・フィ・・・ン、なら、な、なんか、情報、も、ってるんじゃナインデスカ・・・」
「まぁ・・・・・・!」
「おお・・・・・・!」
「~~~~っ、やっぱ、は、は、は、恥ずか、」
「ああ・・・・・・っ、なんて愛おしいんだろう・・・っ!」
「ぎゃっ!!だ、だ、抱きつくんじゃねーーーーーよ!!!」
あのツンが強いミンミンが、エバンズのこと愛称で呼んでるだってぇ・・・?!
たったそれだけっちゃ、それだけなんだけど、この二人に関してはそれがかなり大きな進歩に見えるし、何より二人の空気が甘い。チョコレートぐらい。
・・・もう早くくっついちゃえばいいのに。
「まあまあ、小鳥さんったら。そのように可愛いさを安易に振り撒いては駄目ですわよ?その辺りの殿方なんて、今のお顔だけで落とされてしまいます。」
「フォア嬢。」
「エバンズ様、そのように殺意を向けるのはやめてください。明日は協力体制をとっていただくのですから。それに私は単に小鳥さんの身を案じただけですわ。」
「ななななな、何言ってんですか!!!」
「ミンミンのことみーーーんなすぐ好きになっちゃうってこ、うっわああああ!エバンズ!?短剣飛ばしてこないで!!」
「シュバリエは黙って。」
「おっ、おまっ、何して、」
「アル?」
「・・・・・・クソッ!!フィン!短剣飛ばすのやめろ!危ないだろ!」
「はぁ~い。」
「・・・ええぇ・・・・・・・・・?」
エバンズの手のひらの返し方がすごい。むしろここまで来ると清々しい。ミンミンがエバンズにとって、いかに特別な存在なのか分かる。
エバンズが突然パートナーを決めた時には心底驚いたけど、なんか二人を見てたら納得しちゃう。
本当、おもしろい。見てて飽きない大好きな二人。
あ、ようやくエバンズを体から引き剥がした。
「ったく!フィ、フィンはもう騒ぐなよ!?今日は作戦会議だろ!明日の課題、"迷わず見つけられるかな?"ってヒントでもう意味わかんねーんだから、助け合うしかないんだぞ!」
「ふっ、ふふふっ。分かってるよ。」
「に、に、ニヤけんな!!手握んな!!」
「あーあ。何、この惚気。」
「惚気てない!!!」
「まあまあ、小鳥さん。とりあえずお一ついかが?これは柑橘のピューレ入りですわよ。」
「・・・・・・いただきま、す。」
「ふふっ、ふ、ふふっ、」
「フィン!!!!」
「何、この惚、」
「惚気てない!!!」
しばらくこのやりとりは続いたわけだけど、エバンズは懲りずに幸せ全開でニヤけていて、ミンミンは終始恥ずかしくて怒ってた。
・・・・・・明日大丈夫かな。
ま、大丈夫か。この二人、化け物だし。
そんな風に考えてたら、エルザに膝をキュッとつねられて。
俺はいつものようにへらっと笑って誤魔化しておいた。
154
お気に入りに追加
1,895
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました
厘/りん
BL
ナルン王国の下町に暮らす ルカ。
この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。
ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。
国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。
☆英雄騎士 現在28歳
ルカ 現在18歳
☆第11回BL小説大賞 21位
皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる