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グレイス編
25 ◎
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「わぁ・・・!いいんですか?こんなにたくさん果物いただいても・・・?」
「~~っ、ど、ど、どうぞ!シン、様!」
「さ、様だなんて、やめてください!シン、で構いませんので・・・」
天使だ。
俺の目の前には今、黒い髪の天使がいる。
そしてその天使の背後には、金の鬼がいた。
微笑む天使との対比がすごい。
その鬼の目だけで殺されそうだけど、天使と話せるなら本望かもしれない。
ここは、元グレイスとの国境近くにある騎士団の詰所だ。
普段、魔物も少なく、密猟者も滅多に出ない。
そんな小さな詰所には普段、数人の団員がいるだけ。
それがこうも騒がしくなるとは思いもしなかった。
「うわっっ!!な、なんだ!?」
「ジョハン!!デケェ声出すなよ!びっくりするだろ?!」
「す、すまん。でも・・・こ、これ・・・!」
「・・・はぁ?!そ、それ、第二騎士団団長の・・・使い魔?!」
「ウルサイ。モウスグ ヨミタチ ツク。ミンナデ ココクル。ワカッタカ。」
白銀の輝く翼を持った、鷲。
窓枠に突然現れたソレは、あのヨミ様の使い魔に間違いなかった。
魔力で生き物を創り出す。
それがどれだけ高度な技術なのか、一般団員程度では最早想像もできない。
俺より三つも年下だが、立場は遥か上だ。
本人を直接見たのは、何かのパレードの時くらい。
第三騎士団所属なこともあるだろうが、基本ヨミ様は前線に赴く方だから、姿を見る機会は殆どない。
ましてやその高すぎる技術の結晶を、こんなにも近くで見ることになるとは思いもよらなかった。
・・・・・・ん?この使い魔、今、何て言った?
「もうすぐ、着く・・・?」
「ソウダ。ハヤク デムカエロ。ダイニキシダンモ クル ハズダ。」
「第二騎士団?!この僻地にか?!」
ちょうどその時、バタバタと大きな足音が耳に入ってきた。
この走り方は・・・おそらくダミアンだろう。
「お、おいっ!!今、第二の・・・って!!!ヨミ様の使い魔?!すっげぇーーーー!」
「ウルサイ、タヌキ。ハヤク ダイニ ト イッショニ デムカエ デムカエ」
「うわっ!突くなって!おいっ、ダミアン!外行くぞ!イテテ!」
俺とダミアン、トニーが外へ出る。
すでに第二騎士団が数人到着していて、慌てて俺たちも隊服のベストやブーツを身につける。
グレイス側の丘辺りをよく見ると、数頭の馬、そして騎士団の隊服が見えた。
輝く金髪は、あの鬼の化身と噂されるロシュ第一騎士団団長様だろう。
魔物数体を、一瞬で制圧すると聞く。
俺たちは一体を数人で相手するのに。
化け物みたいな強さだ。
そしてそのロシュ団長の馬に、もう一人誰か乗っているのが見えた。
「・・・なあ、あんな漆黒の髪・・・ソレイユに居たか?」
「いや・・・知らない。」
「まさか・・・グレイスのあの塔の人間?」
「あり得る。あんなに綺麗な漆黒の髪・・・見たことないぜ?」
「しかもあのロシュ団長の馬に一緒に乗ってる。」
「・・・・・・・・・どういうこと?」
出迎えた後は、そりゃあもう大騒ぎだった。
あ、俺たちの心が、の話。
「何だよ・・・あれ、天使じゃん・・・」
「俺、さっき目が合ったら、恥ずかしそうにお辞儀された・・・」
「はっ?狡くね?!!」
「おい。誰の話してるんだ?」
「ロ、ロ!ロシュ団長・・・・・・っ!い、いえ。あの、親戚の子どもの話を、あ、あはははは・・・」
「・・・手を出したら殺すからな。」
「「「・・・はい・・・」」」
黄金の瞳が輝いた。
あれは、本気だ。本気で殺される。
そして、数時間の滞在の後、天使と鬼達・・・いや、第一と第二の精鋭達はソレイユの王都の方へ旅立っていった。
「見たかよ。果物渡した時の天使の顔。俺、あんなに綺麗な顔初めて見た。」
「こんな僻地でも良いことあるんだな。俺、これからも頑張れるわ。」
「あーあ・・・また来てくれねぇかな。」
「「それな・・・」」
「・・・さっ、見回り行くか。」
「おー、そうしよう。そうしよう。」
「それにしてもヨミ様の使い魔って、性格悪かっ・・・うわっ!!!」
「ヨミ二 イイツケル カラナ。」
「まだいた!!?やっ、やめてください!!!!!!使い魔様!!!!」
使い魔が羽ばたいていった空は、澄み渡る青色。
「・・・ご愁傷様。トニー。」
「・・・やめろよぉ。」
「ほら行くぞ。トニー、骨は拾ってやるからな。」
トニーの「どうせ死ぬならシン様とお近付きになりたい」と言う叫びは、俺たちの笑い声とともにその青い空に吸い込まれていった。
「~~っ、ど、ど、どうぞ!シン、様!」
「さ、様だなんて、やめてください!シン、で構いませんので・・・」
天使だ。
俺の目の前には今、黒い髪の天使がいる。
そしてその天使の背後には、金の鬼がいた。
微笑む天使との対比がすごい。
その鬼の目だけで殺されそうだけど、天使と話せるなら本望かもしれない。
ここは、元グレイスとの国境近くにある騎士団の詰所だ。
普段、魔物も少なく、密猟者も滅多に出ない。
そんな小さな詰所には普段、数人の団員がいるだけ。
それがこうも騒がしくなるとは思いもしなかった。
「うわっっ!!な、なんだ!?」
「ジョハン!!デケェ声出すなよ!びっくりするだろ?!」
「す、すまん。でも・・・こ、これ・・・!」
「・・・はぁ?!そ、それ、第二騎士団団長の・・・使い魔?!」
「ウルサイ。モウスグ ヨミタチ ツク。ミンナデ ココクル。ワカッタカ。」
白銀の輝く翼を持った、鷲。
窓枠に突然現れたソレは、あのヨミ様の使い魔に間違いなかった。
魔力で生き物を創り出す。
それがどれだけ高度な技術なのか、一般団員程度では最早想像もできない。
俺より三つも年下だが、立場は遥か上だ。
本人を直接見たのは、何かのパレードの時くらい。
第三騎士団所属なこともあるだろうが、基本ヨミ様は前線に赴く方だから、姿を見る機会は殆どない。
ましてやその高すぎる技術の結晶を、こんなにも近くで見ることになるとは思いもよらなかった。
・・・・・・ん?この使い魔、今、何て言った?
「もうすぐ、着く・・・?」
「ソウダ。ハヤク デムカエロ。ダイニキシダンモ クル ハズダ。」
「第二騎士団?!この僻地にか?!」
ちょうどその時、バタバタと大きな足音が耳に入ってきた。
この走り方は・・・おそらくダミアンだろう。
「お、おいっ!!今、第二の・・・って!!!ヨミ様の使い魔?!すっげぇーーーー!」
「ウルサイ、タヌキ。ハヤク ダイニ ト イッショニ デムカエ デムカエ」
「うわっ!突くなって!おいっ、ダミアン!外行くぞ!イテテ!」
俺とダミアン、トニーが外へ出る。
すでに第二騎士団が数人到着していて、慌てて俺たちも隊服のベストやブーツを身につける。
グレイス側の丘辺りをよく見ると、数頭の馬、そして騎士団の隊服が見えた。
輝く金髪は、あの鬼の化身と噂されるロシュ第一騎士団団長様だろう。
魔物数体を、一瞬で制圧すると聞く。
俺たちは一体を数人で相手するのに。
化け物みたいな強さだ。
そしてそのロシュ団長の馬に、もう一人誰か乗っているのが見えた。
「・・・なあ、あんな漆黒の髪・・・ソレイユに居たか?」
「いや・・・知らない。」
「まさか・・・グレイスのあの塔の人間?」
「あり得る。あんなに綺麗な漆黒の髪・・・見たことないぜ?」
「しかもあのロシュ団長の馬に一緒に乗ってる。」
「・・・・・・・・・どういうこと?」
出迎えた後は、そりゃあもう大騒ぎだった。
あ、俺たちの心が、の話。
「何だよ・・・あれ、天使じゃん・・・」
「俺、さっき目が合ったら、恥ずかしそうにお辞儀された・・・」
「はっ?狡くね?!!」
「おい。誰の話してるんだ?」
「ロ、ロ!ロシュ団長・・・・・・っ!い、いえ。あの、親戚の子どもの話を、あ、あはははは・・・」
「・・・手を出したら殺すからな。」
「「「・・・はい・・・」」」
黄金の瞳が輝いた。
あれは、本気だ。本気で殺される。
そして、数時間の滞在の後、天使と鬼達・・・いや、第一と第二の精鋭達はソレイユの王都の方へ旅立っていった。
「見たかよ。果物渡した時の天使の顔。俺、あんなに綺麗な顔初めて見た。」
「こんな僻地でも良いことあるんだな。俺、これからも頑張れるわ。」
「あーあ・・・また来てくれねぇかな。」
「「それな・・・」」
「・・・さっ、見回り行くか。」
「おー、そうしよう。そうしよう。」
「それにしてもヨミ様の使い魔って、性格悪かっ・・・うわっ!!!」
「ヨミ二 イイツケル カラナ。」
「まだいた!!?やっ、やめてください!!!!!!使い魔様!!!!」
使い魔が羽ばたいていった空は、澄み渡る青色。
「・・・ご愁傷様。トニー。」
「・・・やめろよぉ。」
「ほら行くぞ。トニー、骨は拾ってやるからな。」
トニーの「どうせ死ぬならシン様とお近付きになりたい」と言う叫びは、俺たちの笑い声とともにその青い空に吸い込まれていった。
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