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グレイス編
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僕が馬から落っこちないよう、後ろから支えてくれていたロシュさんが、手綱を手前に引き、馬を止めた。
腰に回されていたロシュさんの腕に、きゅっと、少し力が入る。
「ど、どうかしましたか、ロ、」
「シン、今いくつだ?」
「んへ?」
「いくつだ、と聞いたんだ。・・・答えてくれ。」
僕の背後から、どくん、どくん、と力強く脈打つ鼓動が聞こえた。
僕の太ももにロシュさんの尻尾がくるりと巻きつく。
そして僕の太ももを撫でるように上下に行ったり、来たり。
【 早く、早く。 】
言われたわけではないけど、そう急かされているみたいだった。
「と、歳、ですか?えっと・・・今、じゅ、17歳です、けど・・・」
「じゅうなな・・・・・・」
「・・・はい・・・、?」
僕は、目だけ動かして周りをそぉーっと見渡す。
後ろにいるロシュさんの顔は確認できないけど、左右、そして斜め後ろにいる、フォルさん、ディーナさん、ヨミさん、ヴァンさん。
そして、団員のヒト数名。
みんなザワザワ、顔を見合わせている。
「・・・あれ?僕、言ってませんでした・・・か?」
「・・・・・・・・・初耳だな。」
「そ、そうでしたか・・・何か・・・も、問題でも・・・?」
「シン、よく聞いてくれ。」
「は、は、はいっ!」
ロシュさんが突然僕を抱え直し、身体が横向きになる。
あ、ロシュさんの顔、やっと見れた。
何か、眉間に皺が寄ってるけど・・・
「俺はシンが未成年だと思って、今まで我慢していた。」
「がっ、ま・・・ん・・・?」
「そうだ。我慢だ。だが・・・17・・・」
「団長!だ・め、ですからね!」
「噛んだら私が許さないわ。合意のない番契約は強姦と一緒よ。私だって噛みたいんだから。」
「ディーナも一言多いよねぇ。それ、ロシュ煽ってるのと同じじゃない?」
「噛む・・・????」
「ねぇねぇ、ところで、シンくん。グレイスは、何歳から成人なのぉ?」
混乱する僕の顔を空中で覗き込んできたのはヨミさん。
羽ばたくたびに、辺りの野草が風に靡いてカサカサと音を立てる。
「わっぷ、え、えっと、18歳です。だから僕まだ成人じゃな、ぶふっ、」
「だって、さ。ロシュ。残念だったねぇ。ソレイユに連れてきて君は今日から成人だ、なんて、さすがに都合良すぎだよねぇ?うわぁっ!だから、氷飛ばすのやめてよぉ!」
「引っ込んどけ・・・ヨミっ!」
「えっと!ロシュさん!落ち着いて!あ、あの、説明して欲しいです!!!!色々と!!!」
今にもヨミさんに飛びかかりそうなロシュさんに僕は精一杯叫んだ。
今日は何だか、声だけじゃ足りない気がして、思い切ってロシュさんの首あたりに手を回して抱きつく。
「僕、知らないことばっかりでごめんなさい!でも、お、教えてください!ロシュさん達のこと、もっと・・・もっと、知りたいですっ!!」
ぎゅーーっと抱きついた腕に力を込める。
ロシュさんの僕よりずっと太い首をよく見ると、首輪の形の日焼けがうっすら見えた。
今までずっと大切に着けていたんだろう。
それをロシュさんは、会ったばかりの僕に着けてくれた。
そう、僕は知らないことが多すぎる。
自分のことも、それ以外のことも。
だからこれからたくさん、知っていきたい。
だって、ここはもう、あの小さな塔じゃないんだから。
「・・・そうだな。動揺して・・・すまない。これから、知ってくれ。俺の、獣人のことを。」
すり、とロシュさんが僕に頬擦りをする。
僕は何だか嬉しくて。
「はいっ」と大きな返事をしてから、またぎゅーっとロシュさんに抱きついた。
腰に回されていたロシュさんの腕に、きゅっと、少し力が入る。
「ど、どうかしましたか、ロ、」
「シン、今いくつだ?」
「んへ?」
「いくつだ、と聞いたんだ。・・・答えてくれ。」
僕の背後から、どくん、どくん、と力強く脈打つ鼓動が聞こえた。
僕の太ももにロシュさんの尻尾がくるりと巻きつく。
そして僕の太ももを撫でるように上下に行ったり、来たり。
【 早く、早く。 】
言われたわけではないけど、そう急かされているみたいだった。
「と、歳、ですか?えっと・・・今、じゅ、17歳です、けど・・・」
「じゅうなな・・・・・・」
「・・・はい・・・、?」
僕は、目だけ動かして周りをそぉーっと見渡す。
後ろにいるロシュさんの顔は確認できないけど、左右、そして斜め後ろにいる、フォルさん、ディーナさん、ヨミさん、ヴァンさん。
そして、団員のヒト数名。
みんなザワザワ、顔を見合わせている。
「・・・あれ?僕、言ってませんでした・・・か?」
「・・・・・・・・・初耳だな。」
「そ、そうでしたか・・・何か・・・も、問題でも・・・?」
「シン、よく聞いてくれ。」
「は、は、はいっ!」
ロシュさんが突然僕を抱え直し、身体が横向きになる。
あ、ロシュさんの顔、やっと見れた。
何か、眉間に皺が寄ってるけど・・・
「俺はシンが未成年だと思って、今まで我慢していた。」
「がっ、ま・・・ん・・・?」
「そうだ。我慢だ。だが・・・17・・・」
「団長!だ・め、ですからね!」
「噛んだら私が許さないわ。合意のない番契約は強姦と一緒よ。私だって噛みたいんだから。」
「ディーナも一言多いよねぇ。それ、ロシュ煽ってるのと同じじゃない?」
「噛む・・・????」
「ねぇねぇ、ところで、シンくん。グレイスは、何歳から成人なのぉ?」
混乱する僕の顔を空中で覗き込んできたのはヨミさん。
羽ばたくたびに、辺りの野草が風に靡いてカサカサと音を立てる。
「わっぷ、え、えっと、18歳です。だから僕まだ成人じゃな、ぶふっ、」
「だって、さ。ロシュ。残念だったねぇ。ソレイユに連れてきて君は今日から成人だ、なんて、さすがに都合良すぎだよねぇ?うわぁっ!だから、氷飛ばすのやめてよぉ!」
「引っ込んどけ・・・ヨミっ!」
「えっと!ロシュさん!落ち着いて!あ、あの、説明して欲しいです!!!!色々と!!!」
今にもヨミさんに飛びかかりそうなロシュさんに僕は精一杯叫んだ。
今日は何だか、声だけじゃ足りない気がして、思い切ってロシュさんの首あたりに手を回して抱きつく。
「僕、知らないことばっかりでごめんなさい!でも、お、教えてください!ロシュさん達のこと、もっと・・・もっと、知りたいですっ!!」
ぎゅーーっと抱きついた腕に力を込める。
ロシュさんの僕よりずっと太い首をよく見ると、首輪の形の日焼けがうっすら見えた。
今までずっと大切に着けていたんだろう。
それをロシュさんは、会ったばかりの僕に着けてくれた。
そう、僕は知らないことが多すぎる。
自分のことも、それ以外のことも。
だからこれからたくさん、知っていきたい。
だって、ここはもう、あの小さな塔じゃないんだから。
「・・・そうだな。動揺して・・・すまない。これから、知ってくれ。俺の、獣人のことを。」
すり、とロシュさんが僕に頬擦りをする。
僕は何だか嬉しくて。
「はいっ」と大きな返事をしてから、またぎゅーっとロシュさんに抱きついた。
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