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その後
あれから2年後
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今日は天気がいい。
こんな日はよく革が乾く。やっぱり魔法を使うより自然乾燥で乾かした方が、いい靴になる気がする。
「トウヤぁ、先週の分、もうアルトさんのとこ持っていっていぃ?あっちの棚使いたいんだぁ。」
「あ、悪い。頼めるか?俺これが終わったら手伝うよ。結構量あっただろ?」
「ううん、大丈夫。トウヤはそれやってていいよぉ。僕の方が力持ちだし。あはは。」
「・・・・・・頼んだ。」
俺がむすっとした顔をすると、更に「あはは」と笑いながらアルトのところへ向かったのは、タミルである。
結界を張る旅は予定より半年ほど長くかかってしまった。まあ、途中寄り道したり、ヒュドールの領主ラクランの熱烈大歓迎を受けたりしただけなのだが。
そして先月ようやくここ、リーニャ村に戻ってきた。
イグニス領主のターナーが、5人の婚約を聞きつけ、リーニャ村のはずれに馬鹿デカい屋敷を建ててくれていた。
そしてアルトはトウヤの顔を見た瞬間からニヤニヤ顔で「俺の予言は当たっただろ?」と大きな口で笑ったのである。
フィンは来年、領主になるらしい。そのため、イグニス領に帰って来てからほとんどイグニスの中心アドムの屋敷にいる。「俺が領主になったら、リーニャ村をイグニスの拠点にするからな」と規模の大きいことを言っていたが、フィンならやりかねないな、とトウヤは思っている。
そしてイーサンは、弟と妹がまだ小さい、と言う理由からあと3年ほどはヒュドールで次期領主育成に力を入れる、ということになったのである。別れ際「浮気は許さないからな、トウヤ」と繰り返されたが、そんな恐ろしいこと絶対にするわけない、と全力で訴えた。そして渋々ヒュドールへと戻っていったのである。
エドガーはアルトの工房で手伝いをすることもあるが、大体はリーニャ村の隣の村にある神殿で、古書を読み漁り、古代魔法の研究をしている。人柄も良いし、博識で、魔力も高いので神官達からも大歓迎されている。夕方にはあの馬鹿デカい屋敷に戻ってくるので、トウヤとタミルはいつもエドガーが作った美味しい食事を食べている。
「何か俺、めちゃくちゃ幸せ者じゃない?」
エドガーが作ったデザートのプディングをスプーンで掬いながら、トウヤは思わず呟いた。
黙々と食べていたトウヤが突然ハッピー発言をしたものだから、タミルもエドガーも目を丸くしている。
「んん?今頃気付いたのぉ?僕は毎日幸せだよぉ?」
「私も毎日幸せですよ。イーサン様から羨ましいとひたすら愚痴が書かれた手紙が届くほどには。ふふ。」
「いや、俺も毎日幸せだと思ってるけど・・・これも全部この石のおかげなのかなぁ。」
この石、と言ってトウヤは首飾りを取り出す。石の色は生まれた時から変わらない透明だ。
「イーサンとフィンがここに住むようになったらさ、また騒がしくなるけど、俺楽しみで仕方ない!」
「あはは、そうだね。またトウヤの取り合いだね。」
「では今のうちにたくさんトウヤを独占しておきましょう。」
「ええ・・・?お手柔らかに・・・お願い、な?」
3人は目を合わせ、あははと笑い、残りのプディングを頬張ったのだった。
おしまい
こんな日はよく革が乾く。やっぱり魔法を使うより自然乾燥で乾かした方が、いい靴になる気がする。
「トウヤぁ、先週の分、もうアルトさんのとこ持っていっていぃ?あっちの棚使いたいんだぁ。」
「あ、悪い。頼めるか?俺これが終わったら手伝うよ。結構量あっただろ?」
「ううん、大丈夫。トウヤはそれやってていいよぉ。僕の方が力持ちだし。あはは。」
「・・・・・・頼んだ。」
俺がむすっとした顔をすると、更に「あはは」と笑いながらアルトのところへ向かったのは、タミルである。
結界を張る旅は予定より半年ほど長くかかってしまった。まあ、途中寄り道したり、ヒュドールの領主ラクランの熱烈大歓迎を受けたりしただけなのだが。
そして先月ようやくここ、リーニャ村に戻ってきた。
イグニス領主のターナーが、5人の婚約を聞きつけ、リーニャ村のはずれに馬鹿デカい屋敷を建ててくれていた。
そしてアルトはトウヤの顔を見た瞬間からニヤニヤ顔で「俺の予言は当たっただろ?」と大きな口で笑ったのである。
フィンは来年、領主になるらしい。そのため、イグニス領に帰って来てからほとんどイグニスの中心アドムの屋敷にいる。「俺が領主になったら、リーニャ村をイグニスの拠点にするからな」と規模の大きいことを言っていたが、フィンならやりかねないな、とトウヤは思っている。
そしてイーサンは、弟と妹がまだ小さい、と言う理由からあと3年ほどはヒュドールで次期領主育成に力を入れる、ということになったのである。別れ際「浮気は許さないからな、トウヤ」と繰り返されたが、そんな恐ろしいこと絶対にするわけない、と全力で訴えた。そして渋々ヒュドールへと戻っていったのである。
エドガーはアルトの工房で手伝いをすることもあるが、大体はリーニャ村の隣の村にある神殿で、古書を読み漁り、古代魔法の研究をしている。人柄も良いし、博識で、魔力も高いので神官達からも大歓迎されている。夕方にはあの馬鹿デカい屋敷に戻ってくるので、トウヤとタミルはいつもエドガーが作った美味しい食事を食べている。
「何か俺、めちゃくちゃ幸せ者じゃない?」
エドガーが作ったデザートのプディングをスプーンで掬いながら、トウヤは思わず呟いた。
黙々と食べていたトウヤが突然ハッピー発言をしたものだから、タミルもエドガーも目を丸くしている。
「んん?今頃気付いたのぉ?僕は毎日幸せだよぉ?」
「私も毎日幸せですよ。イーサン様から羨ましいとひたすら愚痴が書かれた手紙が届くほどには。ふふ。」
「いや、俺も毎日幸せだと思ってるけど・・・これも全部この石のおかげなのかなぁ。」
この石、と言ってトウヤは首飾りを取り出す。石の色は生まれた時から変わらない透明だ。
「イーサンとフィンがここに住むようになったらさ、また騒がしくなるけど、俺楽しみで仕方ない!」
「あはは、そうだね。またトウヤの取り合いだね。」
「では今のうちにたくさんトウヤを独占しておきましょう。」
「ええ・・・?お手柔らかに・・・お願い、な?」
3人は目を合わせ、あははと笑い、残りのプディングを頬張ったのだった。
おしまい
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