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フラーウム編
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4人は箱から取り出すと、自分の手のひらにそれぞれ耳飾りを乗せる。お互いのデザインを確認しているようだ。それに気付いたトウヤが慌てたように説明を始めた。
「あ、それ、一人一人イメージに合う形を選んだんだ。石は後から好きなやつ埋め込んでくれるって言うから、形も全部揃えようとも考えたんだけど・・・何かしっくりこなくて。みんな性格バッラバラだし。」
トウヤの戻りが遅かったのは、耳飾りの露店の前で座り込みでうーん、うーん、と唸りながら悩み続けたからである。あまりの悩みっぷりに、甘いものでも食べながら考えな、と露店のおじさんが果物をわんさか恵んでくれたのだった。何とも優しいおじさんである。
フィンの耳飾りはシンプルなデザインだ。黒い石がどん、と付いている、だけ。真っ直ぐ突き進んでいくフィンは余計な飾りはいらない、というトウヤの考えである。
イーサンの耳飾りは三日月の形をしており、下の方に小さめの黒と蒼と金色の石が3つ並んで付いている。トウヤの瞳と、イーサンのオッドアイをイメージして石を入れてもらった。小さな石を必死に固定するおじさんの手が、プルプル震えていたのは言うまでもない。
エドガーの耳飾りは大きさの違う丸い輪っかが二連になっている。耳朶の部分に黒い石があり、動くと大きな輪っかがゆらゆら揺れるのだ。丸みを帯びた形がふわふわ優しいエドガーを表現している。
最後はタミルの耳飾りだ。タミルの耳飾りは花の形をしている。露店のおじさんからは「それは女向けだよ?」と言われたが、タミルにはこのくらい華やかなものが似合うと思った。細い金属を曲げて作られ少し立体的な花になっていて、その中心に黒い石をつけてもらった。黒で少し雰囲気が締まって中性的なイメージになった。
トウヤの説明は辿々しいものだったが、みんなニコニコ、ニヤニヤ、しながら聞いていた。誰も耳飾りを付けていないので、もしも抵抗があるときは無理につけなくてもいい、とトウヤが付け加えたがそんなことは誰も気にしていなかった。それぞれ耳飾りを手にすると左右好きな方の耳朶に付けていく。トウヤはその光景が嬉しくて、自然と笑顔になっていた。
「みんなよく似合ってます!何か・・・今俺幸せな気分です。へへ。」
「じゃ、俺たちからも婚約者のトウヤに贈り物していいか?」
「・・・へっ!?お、俺に?だって、俺いつもみんなから魔力もらってるし・・・ええ?」
「そんなもの贈り物じゃないでしょぉ。好きで譲渡してるんだから。むしろトウヤに触れるいい口実じゃん。」
「2人っきりで渡したいんだが、時間を決めてもいいか?みんなもそれが良いだろう?魔力も今日はじっくり渡すとしよう。」
「そうですね、そうしましょう。私もじっくり・・・渡したいので。いいよね?トウヤくん。」
「うう・・・はい・・・。お手柔らかに・・・お願いします・・・。」
その後は恒例となったジャンケン大会が始まり、イーサン、タミル、フィン、そして最後はエドガーという順番になったのである。
「あ、それ、一人一人イメージに合う形を選んだんだ。石は後から好きなやつ埋め込んでくれるって言うから、形も全部揃えようとも考えたんだけど・・・何かしっくりこなくて。みんな性格バッラバラだし。」
トウヤの戻りが遅かったのは、耳飾りの露店の前で座り込みでうーん、うーん、と唸りながら悩み続けたからである。あまりの悩みっぷりに、甘いものでも食べながら考えな、と露店のおじさんが果物をわんさか恵んでくれたのだった。何とも優しいおじさんである。
フィンの耳飾りはシンプルなデザインだ。黒い石がどん、と付いている、だけ。真っ直ぐ突き進んでいくフィンは余計な飾りはいらない、というトウヤの考えである。
イーサンの耳飾りは三日月の形をしており、下の方に小さめの黒と蒼と金色の石が3つ並んで付いている。トウヤの瞳と、イーサンのオッドアイをイメージして石を入れてもらった。小さな石を必死に固定するおじさんの手が、プルプル震えていたのは言うまでもない。
エドガーの耳飾りは大きさの違う丸い輪っかが二連になっている。耳朶の部分に黒い石があり、動くと大きな輪っかがゆらゆら揺れるのだ。丸みを帯びた形がふわふわ優しいエドガーを表現している。
最後はタミルの耳飾りだ。タミルの耳飾りは花の形をしている。露店のおじさんからは「それは女向けだよ?」と言われたが、タミルにはこのくらい華やかなものが似合うと思った。細い金属を曲げて作られ少し立体的な花になっていて、その中心に黒い石をつけてもらった。黒で少し雰囲気が締まって中性的なイメージになった。
トウヤの説明は辿々しいものだったが、みんなニコニコ、ニヤニヤ、しながら聞いていた。誰も耳飾りを付けていないので、もしも抵抗があるときは無理につけなくてもいい、とトウヤが付け加えたがそんなことは誰も気にしていなかった。それぞれ耳飾りを手にすると左右好きな方の耳朶に付けていく。トウヤはその光景が嬉しくて、自然と笑顔になっていた。
「みんなよく似合ってます!何か・・・今俺幸せな気分です。へへ。」
「じゃ、俺たちからも婚約者のトウヤに贈り物していいか?」
「・・・へっ!?お、俺に?だって、俺いつもみんなから魔力もらってるし・・・ええ?」
「そんなもの贈り物じゃないでしょぉ。好きで譲渡してるんだから。むしろトウヤに触れるいい口実じゃん。」
「2人っきりで渡したいんだが、時間を決めてもいいか?みんなもそれが良いだろう?魔力も今日はじっくり渡すとしよう。」
「そうですね、そうしましょう。私もじっくり・・・渡したいので。いいよね?トウヤくん。」
「うう・・・はい・・・。お手柔らかに・・・お願いします・・・。」
その後は恒例となったジャンケン大会が始まり、イーサン、タミル、フィン、そして最後はエドガーという順番になったのである。
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