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フラーウム編
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トウヤが4人の元に戻ってきたのは、それからだいぶ後のことだった。いい加減心配になったイーサンとフィンが探しに行こうとした時にダスールと共に広場へひょこっと現れたのである。何故か手には沢山の果物を抱えるように持っていて、持ちきれなかった分はダスールにも手伝ってもらったようだ。
「見て見て!買い物してたら露店のおっちゃんが、おまけしてくれたんだ!凄くない!?この量!めっちゃ楽しかった~!」
「・・・おかえり、トウヤ。無事で何よりだよ。」
「お前、おっさんまで誑かしてんのかよ。」
「美味しそうですね、帰ったら早速いただきましょう。ふふ。」
「えぇ?ダスール何トウヤとデートしてんのぉ?僕の婚約者だよ?手出したら許さないからね。」
「そんなわけないでしょう、タミル様。私は色々とお手伝いしただけです。ね、トウヤ様?」
「そ、そうだよ!タミル。ダスールさん、めっちゃ助かりました。またいつか一緒に露店回りましょう!」
「・・・・・・今度は僕と一緒に行くの。ダスールはもう下がって。ご苦労さま。」
タミルはブスッと顔を顰めさせて、トウヤの背後にピタッとくっ付いた。ダスールは苦笑いしながら、他の護衛2人が待つ所まで戻って行った。
タミルはいつものようにトウヤの胸元にぐりぐりしたいが、果物が邪魔で出来ないのである。「早く家に帰ろ」と背中を押して、馬車にトウヤを詰め込んだのだった。
タミルの家に帰ると、トウヤがあの小さな談話室に全員を集めた。貰った果物も一緒に食べようと言うことになり、手際よくエドガーとイーサンが皮を剥いてくれた。フィンは皮ごと丸齧りである。
そしてトウヤは好きな果物にも手を付けず一人で何やらもじもじしている。いつもとは違うトウヤの雰囲気に自然と4人の視線が集中する。
トウヤはパンっと頬を叩き、気合を入れると4人を見て、口を開いた。
「あ、あのさ、今日、ダルで俺みんなへの贈り物・・・選んだんだけど・・・う、受け取ってくれない・・・でしょうか・・・?」
そう言うと、自分の膝の上に置いていた袋から小さな箱を4つ取り出す。恥ずかしそうにもじもじが止まらないトウヤを見ると、4人は猛烈な愛おしさが込み上げてきて、口角が自然と上がっていく。
「あ、あの、身に付けてもらえると嬉しいんだけど・・・俺が選んだから、好みとか、合うか分かんないけど・・・うう・・・渡してもいい・・・?」
「「「「もちろん!」」」」
「息ぴったりじゃん・・・あははっ!一人ずつ・・・渡すね。じゃあ、フィンから。はい。」
4人のとっっても嬉しそうな顔を見て、トウヤも思わず笑いが溢れた。ダスールの言う通り、トウヤが選んだものはどうやら何でも喜んでもらえそうだ。
一人ずつ手渡しで箱を渡していく。
最後のエドガーに箱を渡し終わると、4人はチラッとお互い目を合わせ、一斉にパカッと蓋を開けた。
箱にはそれぞれデザインの違う耳飾りが一つ入っている。いずれも黒い石が埋め込まれていて、窓から入り込んだ光を反射し、キラリと輝いていた。
「見て見て!買い物してたら露店のおっちゃんが、おまけしてくれたんだ!凄くない!?この量!めっちゃ楽しかった~!」
「・・・おかえり、トウヤ。無事で何よりだよ。」
「お前、おっさんまで誑かしてんのかよ。」
「美味しそうですね、帰ったら早速いただきましょう。ふふ。」
「えぇ?ダスール何トウヤとデートしてんのぉ?僕の婚約者だよ?手出したら許さないからね。」
「そんなわけないでしょう、タミル様。私は色々とお手伝いしただけです。ね、トウヤ様?」
「そ、そうだよ!タミル。ダスールさん、めっちゃ助かりました。またいつか一緒に露店回りましょう!」
「・・・・・・今度は僕と一緒に行くの。ダスールはもう下がって。ご苦労さま。」
タミルはブスッと顔を顰めさせて、トウヤの背後にピタッとくっ付いた。ダスールは苦笑いしながら、他の護衛2人が待つ所まで戻って行った。
タミルはいつものようにトウヤの胸元にぐりぐりしたいが、果物が邪魔で出来ないのである。「早く家に帰ろ」と背中を押して、馬車にトウヤを詰め込んだのだった。
タミルの家に帰ると、トウヤがあの小さな談話室に全員を集めた。貰った果物も一緒に食べようと言うことになり、手際よくエドガーとイーサンが皮を剥いてくれた。フィンは皮ごと丸齧りである。
そしてトウヤは好きな果物にも手を付けず一人で何やらもじもじしている。いつもとは違うトウヤの雰囲気に自然と4人の視線が集中する。
トウヤはパンっと頬を叩き、気合を入れると4人を見て、口を開いた。
「あ、あのさ、今日、ダルで俺みんなへの贈り物・・・選んだんだけど・・・う、受け取ってくれない・・・でしょうか・・・?」
そう言うと、自分の膝の上に置いていた袋から小さな箱を4つ取り出す。恥ずかしそうにもじもじが止まらないトウヤを見ると、4人は猛烈な愛おしさが込み上げてきて、口角が自然と上がっていく。
「あ、あの、身に付けてもらえると嬉しいんだけど・・・俺が選んだから、好みとか、合うか分かんないけど・・・うう・・・渡してもいい・・・?」
「「「「もちろん!」」」」
「息ぴったりじゃん・・・あははっ!一人ずつ・・・渡すね。じゃあ、フィンから。はい。」
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一人ずつ手渡しで箱を渡していく。
最後のエドガーに箱を渡し終わると、4人はチラッとお互い目を合わせ、一斉にパカッと蓋を開けた。
箱にはそれぞれデザインの違う耳飾りが一つ入っている。いずれも黒い石が埋め込まれていて、窓から入り込んだ光を反射し、キラリと輝いていた。
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