111 / 128
フラーウム編
110
しおりを挟む
「トウヤくんって、割と後先考えないタイプなんですね。また、新しい発見です。見てて飽きませんねぇ、本当に。ふふ。」
「うう・・・返す言葉もありません・・・実は怒ってます?エドガー・・・うう・・・」
「そりゃ怒るだろ。好きな奴が別のやつと知らない間に婚約してるんだぞ。」
「・・・怒ると言うより、戸惑ってるんだよトウヤ。」
「僕だけ喜んじゃってなんかごめんねぇ。・・・でも嬉しいんだもん!んふふ!」
ソファへ座り直し、タミルは満面の笑みでトウヤにべったりと抱きつきいている。涙と鼻水で美しい顔がカピカピだ。
そんなタミルを羨んだ目でフィンとイーサンが見ている。その位置を変われ、と言わんばかりの目である。
そんな嫉妬まみれの2人を横目に、エドガーがニコニコしながら口を開いた。
「まぁ、私は元々一人に絞る必要はない、と思ってましたけど。この際全員と婚約してはいかがですか?トウヤくん。それなら何も問題ないでしょう?」
「「「「・・・はぁっ!?」」」」
さらりととんでもない発言をしたエドガーはいつものように丸メガネの奥でふんわり笑っている。この後お茶でもご一緒します?のノリである。
他の4人は一様に驚き、何言ってるんだ、このメガネは?と目を見開いた。
「そ、そんなこと、で、できるんですか?俺聞いたこと、ありませんけど。」
「はい、私も聞いたことありません。」
「はあ?何言ってんだ、メガネ?自慢のその頭おかしくなったんじゃねぇの?」
「失礼ですよ、フィン様。エドガー様、本当にそんなこと出来るのですか?」
「出来るか、出来ないかではありません。トウヤくんがそれを望めば何も問題はありません。そもそも、婚約を複数としてはならない、という決まりはありません。結婚も然りです。お互いが認知しないから、今回のタミル様のように愛人だの、正妻だの、という問題になるのですよ。してもいい、という決まりもないし、してはならない、という決まりもないのです。」
「・・・それって揚げ足・・・」
「なるほど・・・くくっ、頭がいいやつは物の言い方も考えることも違うなぁ。」
「神は性に寛容だと聞いたことがあります。トウヤが良いなら、何も問題はありませんね。」
「えぇー!ぼく独り占めしたいぃぃ~!!えぇー!」
「ふふ、婚約を承認するのは各神殿の神官長と未成年の場合はその保護者、つまり次期領主の場合は領主です。タミル様はまだ未成年ですし、トウヤくんもです。フィン様、イーサン様、それに私はもう成人済みですから。あとは神官長さえ何とかすればいいだけです。」
「で、でも、次期領主はどうす」
「あれ?それはトウヤくんが彼らに言ったのでしょう?あなたが結界を張れば別に私たちではなく他の人でも、良いわけです。幸い、それぞれ弟や妹がいます。血筋を気にするのであれば、そちらに継いで貰えばいいでしょう。あ、フィン様にはいませんね・・・。」
「あ゛?なら、お前らがイグニスに来ればいいだろうが。トウヤは実家で靴作りてぇんだろ?俺はイグニスで領主すっから、お前らがこっち来いよ。俺はトウヤも譲らねぇし、イグニスも譲らねぇ。」
「ふふ、フィン様らしいですね。シェマフにいる私の弟は優秀ですし、父も説得すれば大丈夫でしょう。」
「私の弟と妹はまだ小さいが・・・何とかする。父上もああいう人だ。お前の好きにしろ、と大笑いで・・・言ってくれると思う。」
「え、えええ・・・お、俺、本当に4人と、こ、婚約す、んの?ええ・・・?俺、夫4人?ええ・・・?」
話がどんどん進み、タミルは横でワーワー騒いでいたが、本当に嫌、と言うわけではなさそうだった。
トウヤは大混乱の頭で何時ぞやのアルトの言葉を思い出していた。
『我が家の婿は何人でも構わんからな』
もしかしてアルトは予言者なんじゃ・・・?、とトウヤは内心戦々恐々とするのだった。
「うう・・・返す言葉もありません・・・実は怒ってます?エドガー・・・うう・・・」
「そりゃ怒るだろ。好きな奴が別のやつと知らない間に婚約してるんだぞ。」
「・・・怒ると言うより、戸惑ってるんだよトウヤ。」
「僕だけ喜んじゃってなんかごめんねぇ。・・・でも嬉しいんだもん!んふふ!」
ソファへ座り直し、タミルは満面の笑みでトウヤにべったりと抱きつきいている。涙と鼻水で美しい顔がカピカピだ。
そんなタミルを羨んだ目でフィンとイーサンが見ている。その位置を変われ、と言わんばかりの目である。
そんな嫉妬まみれの2人を横目に、エドガーがニコニコしながら口を開いた。
「まぁ、私は元々一人に絞る必要はない、と思ってましたけど。この際全員と婚約してはいかがですか?トウヤくん。それなら何も問題ないでしょう?」
「「「「・・・はぁっ!?」」」」
さらりととんでもない発言をしたエドガーはいつものように丸メガネの奥でふんわり笑っている。この後お茶でもご一緒します?のノリである。
他の4人は一様に驚き、何言ってるんだ、このメガネは?と目を見開いた。
「そ、そんなこと、で、できるんですか?俺聞いたこと、ありませんけど。」
「はい、私も聞いたことありません。」
「はあ?何言ってんだ、メガネ?自慢のその頭おかしくなったんじゃねぇの?」
「失礼ですよ、フィン様。エドガー様、本当にそんなこと出来るのですか?」
「出来るか、出来ないかではありません。トウヤくんがそれを望めば何も問題はありません。そもそも、婚約を複数としてはならない、という決まりはありません。結婚も然りです。お互いが認知しないから、今回のタミル様のように愛人だの、正妻だの、という問題になるのですよ。してもいい、という決まりもないし、してはならない、という決まりもないのです。」
「・・・それって揚げ足・・・」
「なるほど・・・くくっ、頭がいいやつは物の言い方も考えることも違うなぁ。」
「神は性に寛容だと聞いたことがあります。トウヤが良いなら、何も問題はありませんね。」
「えぇー!ぼく独り占めしたいぃぃ~!!えぇー!」
「ふふ、婚約を承認するのは各神殿の神官長と未成年の場合はその保護者、つまり次期領主の場合は領主です。タミル様はまだ未成年ですし、トウヤくんもです。フィン様、イーサン様、それに私はもう成人済みですから。あとは神官長さえ何とかすればいいだけです。」
「で、でも、次期領主はどうす」
「あれ?それはトウヤくんが彼らに言ったのでしょう?あなたが結界を張れば別に私たちではなく他の人でも、良いわけです。幸い、それぞれ弟や妹がいます。血筋を気にするのであれば、そちらに継いで貰えばいいでしょう。あ、フィン様にはいませんね・・・。」
「あ゛?なら、お前らがイグニスに来ればいいだろうが。トウヤは実家で靴作りてぇんだろ?俺はイグニスで領主すっから、お前らがこっち来いよ。俺はトウヤも譲らねぇし、イグニスも譲らねぇ。」
「ふふ、フィン様らしいですね。シェマフにいる私の弟は優秀ですし、父も説得すれば大丈夫でしょう。」
「私の弟と妹はまだ小さいが・・・何とかする。父上もああいう人だ。お前の好きにしろ、と大笑いで・・・言ってくれると思う。」
「え、えええ・・・お、俺、本当に4人と、こ、婚約す、んの?ええ・・・?俺、夫4人?ええ・・・?」
話がどんどん進み、タミルは横でワーワー騒いでいたが、本当に嫌、と言うわけではなさそうだった。
トウヤは大混乱の頭で何時ぞやのアルトの言葉を思い出していた。
『我が家の婿は何人でも構わんからな』
もしかしてアルトは予言者なんじゃ・・・?、とトウヤは内心戦々恐々とするのだった。
11
お気に入りに追加
350
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します

出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
きみが隣に
すずかけあおい
BL
いつもひとりでいる矢崎は、ある日、人気者の瀬尾から告白される。
瀬尾とほとんど話したことがないので断ろうとすると、「友だちからでいいから」と言われ、友だちからなら、と頷く。
矢崎は徐々に瀬尾に惹かれていくけれど――。
〔攻め〕瀬尾(せお)
〔受け〕矢崎(やざき)
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

カランコエの咲く所で
mahiro
BL
先生から大事な一人息子を託されたイブは、何故出来損ないの俺に大切な子供を託したのかと考える。
しかし、考えたところで答えが出るわけがなく、兎に角子供を連れて逃げることにした。
次の瞬間、背中に衝撃を受けそのまま亡くなってしまう。
それから、五年が経過しまたこの地に生まれ変わることができた。
だが、生まれ変わってすぐに森の中に捨てられてしまった。
そんなとき、たまたま通りかかった人物があの時最後まで守ることの出来なかった子供だったのだ。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる