【完結】透明の石

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フラーウム編

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「トウヤくんって、割と後先考えないタイプなんですね。また、新しい発見です。見てて飽きませんねぇ、本当に。ふふ。」

「うう・・・返す言葉もありません・・・実は怒ってます?エドガー・・・うう・・・」

「そりゃ怒るだろ。好きな奴が別のやつと知らない間に婚約してるんだぞ。」

「・・・怒ると言うより、戸惑ってるんだよトウヤ。」

「僕だけ喜んじゃってなんかごめんねぇ。・・・でも嬉しいんだもん!んふふ!」

ソファへ座り直し、タミルは満面の笑みでトウヤにべったりと抱きつきいている。涙と鼻水で美しい顔がカピカピだ。
そんなタミルを羨んだ目でフィンとイーサンが見ている。その位置を変われ、と言わんばかりの目である。
そんな嫉妬まみれの2人を横目に、エドガーがニコニコしながら口を開いた。


「まぁ、私は元々一人に絞る必要はない、と思ってましたけど。この際してはいかがですか?トウヤくん。それなら何も問題ないでしょう?」

「「「「・・・はぁっ!?」」」」


さらりととんでもない発言をしたエドガーはいつものように丸メガネの奥でふんわり笑っている。この後お茶でもご一緒します?のノリである。
他の4人は一様に驚き、何言ってるんだ、このメガネは?と目を見開いた。

「そ、そんなこと、で、できるんですか?俺聞いたこと、ありませんけど。」

「はい、私も聞いたことありません。」

「はあ?何言ってんだ、メガネ?自慢のその頭おかしくなったんじゃねぇの?」

「失礼ですよ、フィン様。エドガー様、本当にそんなこと出来るのですか?」

「出来るか、出来ないかではありません。トウヤくんがそれを望めば何も問題はありません。そもそも、婚約を複数としてはならない、という決まりはありません。結婚も然りです。お互いが認知しないから、今回のタミル様のように愛人だの、正妻だの、という問題になるのですよ。してもいい、という決まりもないし、してはならない、という決まりもないのです。」

「・・・それって揚げ足・・・」

「なるほど・・・くくっ、頭がいいやつは物の言い方も考えることも違うなぁ。」

「神は性にだと聞いたことがあります。トウヤが良いなら、何も問題はありませんね。」

「えぇー!ぼく独り占めしたいぃぃ~!!えぇー!」

「ふふ、婚約を承認するのは各神殿の神官長と未成年の場合はその保護者、つまり次期領主我々の場合は領主です。タミル様はまだ未成年ですし、トウヤくんもです。フィン様、イーサン様、それに私はもう成人済みですから。あとは神官長さえすればいいだけです。」

「で、でも、次期領主はどうす」

「あれ?それはトウヤくんがに言ったのでしょう?あなたが結界を張れば別にではなく他の人でも、良いわけです。幸い、それぞれ弟や妹がいます。血筋を気にするのであれば、そちらに継いで貰えばいいでしょう。あ、フィン様にはいませんね・・・。」

「あ゛?なら、お前らがイグニスうちに来ればいいだろうが。トウヤは実家で靴作りてぇんだろ?俺はイグニスで領主すっから、お前らがこっち来いよ。俺はトウヤも譲らねぇし、イグニスも譲らねぇ。」

「ふふ、フィン様らしいですね。シェマフにいる私の弟は優秀ですし、父も説得すれば大丈夫でしょう。」

「私の弟と妹はまだ小さいが・・・何とかする。父上も人だ。お前の好きにしろ、と大笑いで・・・言ってくれると思う。」

「え、えええ・・・お、俺、本当に4人と、こ、婚約す、んの?ええ・・・?俺、夫4人?ええ・・・?」

話がどんどん進み、タミルは横でワーワー騒いでいたが、本当に嫌、と言うわけではなさそうだった。
トウヤは大混乱の頭で何時ぞやのアルトの言葉を思い出していた。




『我が家の婿は何人でも構わんからな』




もしかしてアルトは予言者なんじゃ・・・?、とトウヤは内心戦々恐々とするのだった。


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