109 / 128
フラーウム編
108
しおりを挟む
トウヤとフィン、エドガー、イーサンはあの小さなタミルの家に来ていた。
トウヤの目の前には驚きすぎて目を見開いた4人が立っている。「まあ、座りましょ。俺の家じゃないけど」と、トウヤが声をかけたが4人は座ろうとしなかった。
「えええええっと、トウヤくん。も、もう一回言ってくれない?」
「え?だから、タミルと俺、さっき婚約したんですってば。もう4回目ですよ?みんな起きてます?」
「・・・トウヤ、あの食事会で一体何があったんだ?神官達もぞろぞろと応接間に入って行っただろう。」
「あ、俺が呼んでもらったんです。偉い人みんないた方が後腐れないかなと思って。うまくいって安心しました。」
「待て待て待て、トウヤ。何でそんなに落ち着いてんだよお前。婚約者ぁ?今の今まで、誰かと結婚したいなんて言ったことねーだろうが。」
「それもそうですけど・・・もう決定事項なんで。ほら、書面もあります。」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
トウヤは4人に見えるようにペラっと一枚の紙を自慢げに見せる。その紙には確かに領主カミールのサインと、神官長のサインが書かれていた。
タミルはその紙を見ても、いや、トウヤがこの夜この家に来てから、ずっと一言も声を出していない。未だかつてないことである。
「は?で、でもよ、領主どうすんだよ?次期領主!トウヤ、フラーウムの次期領主の夫になるってことか?定住決定じゃねぇかよ!」
フィンが動揺を隠しきれず、思わず大声でトウヤに詰め寄った。そりゃそうだ、自分もトウヤとそう言う関係になりたいと思っているのだから急に話が進んでいき、理解できないのだ。
「ん?違いますよ。タミルはもう次期領主じゃないんです。靴工房に婿に来てもらいますから。」
「・・・・・・益々意味が分からん。一から説明しろよ。」
混乱顔のフィン並びに他の3人にも「いい加減座りましょ」と声をかけ、5人でソファに座り、トウヤはさっきまであの応接間で行われたトウヤ劇場の話を始めた。
「タ、タミル、をですか?し、しかし、タミルは我が領地の次期領主ですが・・・トウヤ様がフラーウムに腰を据えてくださるというこでしょうか?で、では、ルアンでも、よろしいのではないかと」
「いえ、タミルがいいんです。それにタミルは次期領主から外してください。俺だけの人になって貰いますから。全て終わった後はそのままイグニスに連れて帰ります。」
「な、何を言っておられるのですか?!そ、そんなこと私が・・・いえ、ここにいる神官達も納得なぞしませんよ!」
「いえ、大丈夫です。神官の方達は魔力が高い人の方が適任だと言われてるんでしたよね?俺はこれからフラーウムに結界を張って周ります。浄化もそうです。よく考えてください、魔物はもう今後数百年ここには入って来られなくなるんです。魔力が高い人物じゃなくても、十分領主は務まるんですよ。」
トウヤは滞在中ずっと考えていたのである。自分が頑張って強固な結界を張れば、別に領主なんて誰がなっても良いのである。万が一魔物から襲われてもいいように魔力が高く、戦闘能力に秀でた者が代々継いでいるようだが、結界を張った後は別だ。ルアンが次期領主でも、問題はない。
そうすれば、タミルは自由の身になれる。
トウヤはどうしても、タミルの心を守りたかった。
トウヤの目の前には驚きすぎて目を見開いた4人が立っている。「まあ、座りましょ。俺の家じゃないけど」と、トウヤが声をかけたが4人は座ろうとしなかった。
「えええええっと、トウヤくん。も、もう一回言ってくれない?」
「え?だから、タミルと俺、さっき婚約したんですってば。もう4回目ですよ?みんな起きてます?」
「・・・トウヤ、あの食事会で一体何があったんだ?神官達もぞろぞろと応接間に入って行っただろう。」
「あ、俺が呼んでもらったんです。偉い人みんないた方が後腐れないかなと思って。うまくいって安心しました。」
「待て待て待て、トウヤ。何でそんなに落ち着いてんだよお前。婚約者ぁ?今の今まで、誰かと結婚したいなんて言ったことねーだろうが。」
「それもそうですけど・・・もう決定事項なんで。ほら、書面もあります。」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
トウヤは4人に見えるようにペラっと一枚の紙を自慢げに見せる。その紙には確かに領主カミールのサインと、神官長のサインが書かれていた。
タミルはその紙を見ても、いや、トウヤがこの夜この家に来てから、ずっと一言も声を出していない。未だかつてないことである。
「は?で、でもよ、領主どうすんだよ?次期領主!トウヤ、フラーウムの次期領主の夫になるってことか?定住決定じゃねぇかよ!」
フィンが動揺を隠しきれず、思わず大声でトウヤに詰め寄った。そりゃそうだ、自分もトウヤとそう言う関係になりたいと思っているのだから急に話が進んでいき、理解できないのだ。
「ん?違いますよ。タミルはもう次期領主じゃないんです。靴工房に婿に来てもらいますから。」
「・・・・・・益々意味が分からん。一から説明しろよ。」
混乱顔のフィン並びに他の3人にも「いい加減座りましょ」と声をかけ、5人でソファに座り、トウヤはさっきまであの応接間で行われたトウヤ劇場の話を始めた。
「タ、タミル、をですか?し、しかし、タミルは我が領地の次期領主ですが・・・トウヤ様がフラーウムに腰を据えてくださるというこでしょうか?で、では、ルアンでも、よろしいのではないかと」
「いえ、タミルがいいんです。それにタミルは次期領主から外してください。俺だけの人になって貰いますから。全て終わった後はそのままイグニスに連れて帰ります。」
「な、何を言っておられるのですか?!そ、そんなこと私が・・・いえ、ここにいる神官達も納得なぞしませんよ!」
「いえ、大丈夫です。神官の方達は魔力が高い人の方が適任だと言われてるんでしたよね?俺はこれからフラーウムに結界を張って周ります。浄化もそうです。よく考えてください、魔物はもう今後数百年ここには入って来られなくなるんです。魔力が高い人物じゃなくても、十分領主は務まるんですよ。」
トウヤは滞在中ずっと考えていたのである。自分が頑張って強固な結界を張れば、別に領主なんて誰がなっても良いのである。万が一魔物から襲われてもいいように魔力が高く、戦闘能力に秀でた者が代々継いでいるようだが、結界を張った後は別だ。ルアンが次期領主でも、問題はない。
そうすれば、タミルは自由の身になれる。
トウヤはどうしても、タミルの心を守りたかった。
11
お気に入りに追加
350
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

カランコエの咲く所で
mahiro
BL
先生から大事な一人息子を託されたイブは、何故出来損ないの俺に大切な子供を託したのかと考える。
しかし、考えたところで答えが出るわけがなく、兎に角子供を連れて逃げることにした。
次の瞬間、背中に衝撃を受けそのまま亡くなってしまう。
それから、五年が経過しまたこの地に生まれ変わることができた。
だが、生まれ変わってすぐに森の中に捨てられてしまった。
そんなとき、たまたま通りかかった人物があの時最後まで守ることの出来なかった子供だったのだ。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる