【完結】透明の石

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フラーウム編

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トウヤとフィン、エドガー、イーサンはあの小さなタミルの家に来ていた。
トウヤの目の前には驚きすぎて目を見開いた4人が立っている。「まあ、座りましょ。俺の家じゃないけど」と、トウヤが声をかけたが4人は座ろうとしなかった。


「えええええっと、トウヤくん。も、もう一回言ってくれない?」

「え?だから、タミルと俺、さっき婚約したんですってば。もう4回目ですよ?みんな起きてます?」

「・・・トウヤ、あの食事会で一体何があったんだ?神官達もぞろぞろと応接間に入って行っただろう。」

「あ、俺が呼んでもらったんです。偉い人みんないた方が後腐れないかなと思って。うまくいって安心しました。」

「待て待て待て、トウヤ。何でそんなに落ち着いてんだよお前。婚約者ぁ?今の今まで、誰かと結婚したいなんて言ったことねーだろうが。」

「それもそうですけど・・・もう決定事項なんで。ほら、書面もあります。」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

トウヤは4人に見えるようにペラっと一枚の紙を自慢げに見せる。その紙には確かに領主カミールのサインと、神官長のサインが書かれていた。
タミルはその紙を見ても、いや、トウヤがこの夜この家に来てから、ずっと一言も声を出していない。未だかつてないことである。


「は?で、でもよ、領主どうすんだよ?次期領主!トウヤ、フラーウムの次期領主の夫になるってことか?定住決定じゃねぇかよ!」

フィンが動揺を隠しきれず、思わず大声でトウヤに詰め寄った。そりゃそうだ、自分もトウヤとそう言う関係になりたいと思っているのだから急に話が進んでいき、理解できないのだ。

「ん?違いますよ。タミルはもう次期領主じゃないんです。靴工房うちに婿に来てもらいますから。」
「・・・・・・益々意味が分からん。一から説明しろよ。」

混乱顔のフィン並びに他の3人にも「いい加減座りましょ」と声をかけ、5人でソファに座り、トウヤはさっきまであの応接間で行われたの話を始めた。







「タ、タミル、をですか?し、しかし、タミルは我が領地の次期領主ですが・・・トウヤ様がフラーウムうちに腰を据えてくださるというこでしょうか?で、では、ルアンでも、よろしいのではないかと」

「いえ、タミルがいいんです。それにタミルは次期領主から外してください。の人になって貰いますから。全て終わった後はそのままイグニスに連れて帰ります。」

「な、何を言っておられるのですか?!そ、そんなこと私が・・・いえ、ここにいる神官達も納得なぞしませんよ!」

「いえ、大丈夫です。神官の方達は魔力が高い人の方が適任だと言われてるんでしたよね?俺はこれからフラーウムに結界を張って周ります。浄化もそうです。よく考えてください、魔物はもう今後数百年ここには入って来られなくなるんです。魔力が高い人物じゃなくても、十分領主は務まるんですよ。」



トウヤは滞在中ずっと考えていたのである。自分が頑張って強固な結界を張れば、別に領主なんて誰がなっても良いのである。万が一魔物から襲われてもいいように魔力が高く、戦闘能力に秀でた者が代々継いでいるようだが、結界を張った後は別だ。ルアンが次期領主でも、問題はない。




そうすれば、タミルは自由の身になれる。
トウヤはどうしても、タミルの心を守りたかった。
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