【完結】透明の石

メラン編

１００

あの夜は結局、あの部屋で５人揃って寝た。
トウヤと同じベッド争いはそりゃあ、もう今までにないくらい熾烈な争いだったが「じゃんけんしてください」というトウヤの一言で、イーサンが勝利したのである。

他の３人は別室を心底嫌がり、何処からかソファを運んできて、部屋いっぱいにソファが置かれる、という面白い構図になった。

魔力譲渡はトウヤが模様をゴリ押ししたが、あえなく却下され、一人ずつトウヤの口を堪能したのである。しかし、エドガーだけは「また２人の時にゆっくり」と模様から魔力を譲渡した。優しい微笑みにトウヤはエドガーの顔がまともに見られなかった。



あの日王城で行われた現、次期領主大集合の会議では、結界と浄化を行う順番が決定されたそうだ。

「まずはフラーウムうちからなんだぁ。トウヤ、よろしくね。・・・うちのことはまた改めて、教えるから。」

タミルは困ったように眉を下げて笑っていた。タミルにもきっと色々あるのだろう、トウヤは心がきゅっと苦しくなった。そんな気持ちを打ち消すようにトウヤはニカっと歯を出して笑う。


「よろしくな！タミルのことも全部ひっくるめて浄化してやるから、任せとけって！」

「・・・・あは！やっぱり僕、トウヤのこと大好きぃ。一緒のお墓に入ろうね！」

「墓はちょっと・・・考えさせて・・・ふふ・・ふは！」

トウヤの言葉に少し瞳が揺れていたが、そんなことはお構いなしにタミルはトウヤに抱きついた。

それを見ていたフィン、イーサン、エドガーは、「今日は特別に許してやろう」という歳上の余裕を突然醸し出し、その光景を笑って見ていたのである。




そして、トウヤたちの新たな旅が始まったのだった。




メラン編・終