【完結】透明の石

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メラン編

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騒ぎを聞きつけた神官や、遅れて到着したフィン、イーサン、ダニエルが土壁ドームの周りを囲んでいる。

片方からは何も聞こえないが、もう片方からは「ゴルァ!出せ!エドガー!あいつ殺す!」ととんでもない発言が飛び出している。雷と土は相性が悪い。つまり、タミルとエドガーの魔法は相性が悪く、タミルが不利なのだ。土は雷を通さないのである。

「タミル様出したら私が殺されそう・・・」

「いや、そこは俺が全力、で止めますから。ケホッ、と、とりあえずタミル出してもらっていいですか?俺が捕獲、するんで。」


エドガーの肩をかり(お姫様抱っこは全力で阻止した)、ヨタヨタと土壁ドームまで歩いてきたトウヤはそうお願いした。

エドガーが手をかざすと土壁は生き物のようにまた戻っていった。その瞬間から電気がバチバチとなる音が聞こえる。
タミルが見えた瞬間、トウヤは思い切ってその身体に飛びついた。ビリビリっと電気を感じたが瞬間的に治った。

「う゛わぁ!ごごごごめん、トウヤ!!!!!って、もう!!!!飛びついたりしたら感電するよ!?ビッッックリしたぁ!!!!怒るよ!!!」

「ゔ・・ん。大、丈夫。ごめん。・・・タミル、助け、てくれてありがとう・・・」

トウヤがへにゃっと笑うと、タミルの瞳がゆらゆらと揺れている。そしてそれを隠すように座り込んでトウヤを抱きしめた。

「・・・もう、何で止めるの、トウヤ。あいつ殺したい。許せない。」

「殺し、たらダメ。ケホ。タミルが悪者にな、るでしょ。そんな、の、我慢、できない。」


トウヤはぎゅうっとタミルを抱きしめ返す。それを聞きタミルはもう何も言えなかった。ただひたすらトウヤを抱きしめて、少しだけ震えるしかできなかったのである。



「んで、おれ何すりゃいいんだ?あの中からクソ野郎引き摺り出して殺せばいいか?」

「そうか、わかった。水責めと氷攻め、トウヤはどちらがいい?好きな方で殺そう。」

「・・・・2人とも今の話聞いてました?」


ただならぬ殺気を身に纏い、もう一つの土壁ドームを見ているのはフィンとイーサンだ。タミルとエドガーから出遅れてしまい、更にイライラしている。本当にヤりそうだ。


「あ、あの、俺、あの人の顔を、見たくないんで・・・別の場所に行きたい、です。みんなと一緒に。お願いします。」

「・・・・わかったよ。」
「優しすぎて心配だ。」






そのあと、事情を聞いたダニエルが一旦ラドリーを拘束し、王城へ連れて行くことになった。ひたすらダニエルに謝られたが、ダニエルに謝ってもらう必要はない。むしろ部屋を破壊してしまったことをトウヤは謝った。



その日の内にラドリーは騒ぎを起こしたとして謹慎処分になった。ラドリーの言う親切な神官も情報を外部に漏らしたとして神殿から追い出されたらしい。

トウヤはそれを聞いて申し訳ないような気持ちになったが、4人にそれを言うと絶対怒られそうだったので言わないでおいた。
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