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メラン編
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次にトウヤが目覚めたのは翌日の昼前だった。起きたと同時にぐぅー、とお腹が鳴る。
キョロキョロと辺りを見渡すが、シーンとやや冷たい空気がしばらくこの部屋にトウヤ以外誰もいなかったことを教えてくれた。
ベッドからそっと足を下ろして立ち上がる。よたよたするが、なんとか歩けそうだ・・と思った瞬間コケた。サイドテーブルにあった桶をひっくり返してしまい、バシャンっと大きな音がする。
するとすぐにコンコン、とノックの音がして「トウヤ様?お目覚めですか?どうかされましたか?」と声がした。「あ・・す、すみません、桶をひっくり返しちゃって・・」と恐る恐る答えると「失礼します」と騎士が2人入ってきた。見たことのある顔である。
「みゅ、ミュラーさん・・す、すみません。桶が・・それにこんな格好で・・あ、あのみんなはどこですか・・・?」
「サザン、ここを片付けてくれ。トウヤ様、お召し物は濡れていませんか?・・少々失礼しますね。」
「へ?わあ!あ、歩けます、重いですよ、俺!あの、お腹が空いて、その、食堂に・・・」
「食事はお持ちしますので、こちらにお召替えを。あと軽すぎます。もっと食べてください。ソファでよろしいですか?」
服が濡れている上に、歩けないと判断されたのだろう。ミュラーに軽々抱きかかえられてしまった。もちろんお姫様抱っこスタイルである。「みんな俺を抱えることに抵抗ないのか?結構重いし可愛くないぞ!?」とトウヤの頭の中は混乱中である。
サザン、と呼ばれた騎士は手際よく桶を片付け、トウヤの食事を取りに行ってくれた。ミュラーから聞いた話では、今朝王城から次期領主全員に召集がかかったそうで嫌々ながら従ったとのことだった。王の命令に嫌々とは?と思ったのはトウヤだけではないはずだ。
魔物と戦った時には少々力不足だった中央騎士団だったが、対人は慣れていた。要人と接する機会が多いのだろう。
「お目覚めになったと聞いたときは大変安心しました。詳しくはわかりませんが・・ありがとうございます。あなたが倒れたのは民のためでしょう?」
「あ、い、いえ。そんな大したことは・・・でも心配してくれたんですか・・ありがとうございます。」
「それに・・本来の瞳の色はそんな色なんですね。とても・・・お似合いです。」
そういえば魔法を使っていない。おそらく今は本来の色のままだ。「あ・・・」と思わず声が漏れたが戸惑ったトウヤを見ると「内緒にしておきますね」と人差し指を口元に当てニカっと笑った。やはりどこかアルトに似ている。思わずトウヤはミュラーにふふっと笑いかけた。そしてミュラーの頬はいつものように少しだけ赤く染まるのであった。
ちょうどその時、コンコン、とノックの音が聞こえた。
「サザンか?早かったな、食事ありが・・・ラドリー様?なぜここに・・・?王城に行かれたのでは・・?」
突然出てきたラドリーの名にトウヤの肩がピクリと揺れた。正直あまり会いたくない人である。そんなことは言えないが。
「護衛ご苦労。食事は私が代わりに持ってきた。サザンは帰したぞ。ミュラー、お前も下がれ。私だけで護衛は十分だ。」
「・・っ、しかし、と、トウヤ様はまだお身体が・・」
「聞こえなかったか?下がれと言ったぞ。」
「・・・分かりました。」
味方(仮)が居なくなってしまう!と条件反射でミュラーの裾をラドリーから見えないようにしてキュッと掴んだ。それに気付いたミュラーは小さな小さな声で「・・呼んで参ります。ご安心を」とだけ呟き、ラドリーに礼をして退室した。
「・・ようやく2人っきりですね。あれを見てから、私はあなたの虜です。」
そう言ってラドリーは不敵に笑い、ソファへと近づいてきたのであった。
キョロキョロと辺りを見渡すが、シーンとやや冷たい空気がしばらくこの部屋にトウヤ以外誰もいなかったことを教えてくれた。
ベッドからそっと足を下ろして立ち上がる。よたよたするが、なんとか歩けそうだ・・と思った瞬間コケた。サイドテーブルにあった桶をひっくり返してしまい、バシャンっと大きな音がする。
するとすぐにコンコン、とノックの音がして「トウヤ様?お目覚めですか?どうかされましたか?」と声がした。「あ・・す、すみません、桶をひっくり返しちゃって・・」と恐る恐る答えると「失礼します」と騎士が2人入ってきた。見たことのある顔である。
「みゅ、ミュラーさん・・す、すみません。桶が・・それにこんな格好で・・あ、あのみんなはどこですか・・・?」
「サザン、ここを片付けてくれ。トウヤ様、お召し物は濡れていませんか?・・少々失礼しますね。」
「へ?わあ!あ、歩けます、重いですよ、俺!あの、お腹が空いて、その、食堂に・・・」
「食事はお持ちしますので、こちらにお召替えを。あと軽すぎます。もっと食べてください。ソファでよろしいですか?」
服が濡れている上に、歩けないと判断されたのだろう。ミュラーに軽々抱きかかえられてしまった。もちろんお姫様抱っこスタイルである。「みんな俺を抱えることに抵抗ないのか?結構重いし可愛くないぞ!?」とトウヤの頭の中は混乱中である。
サザン、と呼ばれた騎士は手際よく桶を片付け、トウヤの食事を取りに行ってくれた。ミュラーから聞いた話では、今朝王城から次期領主全員に召集がかかったそうで嫌々ながら従ったとのことだった。王の命令に嫌々とは?と思ったのはトウヤだけではないはずだ。
魔物と戦った時には少々力不足だった中央騎士団だったが、対人は慣れていた。要人と接する機会が多いのだろう。
「お目覚めになったと聞いたときは大変安心しました。詳しくはわかりませんが・・ありがとうございます。あなたが倒れたのは民のためでしょう?」
「あ、い、いえ。そんな大したことは・・・でも心配してくれたんですか・・ありがとうございます。」
「それに・・本来の瞳の色はそんな色なんですね。とても・・・お似合いです。」
そういえば魔法を使っていない。おそらく今は本来の色のままだ。「あ・・・」と思わず声が漏れたが戸惑ったトウヤを見ると「内緒にしておきますね」と人差し指を口元に当てニカっと笑った。やはりどこかアルトに似ている。思わずトウヤはミュラーにふふっと笑いかけた。そしてミュラーの頬はいつものように少しだけ赤く染まるのであった。
ちょうどその時、コンコン、とノックの音が聞こえた。
「サザンか?早かったな、食事ありが・・・ラドリー様?なぜここに・・・?王城に行かれたのでは・・?」
突然出てきたラドリーの名にトウヤの肩がピクリと揺れた。正直あまり会いたくない人である。そんなことは言えないが。
「護衛ご苦労。食事は私が代わりに持ってきた。サザンは帰したぞ。ミュラー、お前も下がれ。私だけで護衛は十分だ。」
「・・っ、しかし、と、トウヤ様はまだお身体が・・」
「聞こえなかったか?下がれと言ったぞ。」
「・・・分かりました。」
味方(仮)が居なくなってしまう!と条件反射でミュラーの裾をラドリーから見えないようにしてキュッと掴んだ。それに気付いたミュラーは小さな小さな声で「・・呼んで参ります。ご安心を」とだけ呟き、ラドリーに礼をして退室した。
「・・ようやく2人っきりですね。あれを見てから、私はあなたの虜です。」
そう言ってラドリーは不敵に笑い、ソファへと近づいてきたのであった。
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