【完結】透明の石

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メラン編

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『立派だった。本当に。トウヤ、感謝する』

ディーの声がする。
でもどうしてだろう、夢の中なのに目が開かない。

『力を使いすぎたんだ。目を開ける必要はない。ゆっくり休むといい』

そっか俺、結界張ってまた倒れたのか。
もしかして毎回倒れるんじゃないか?目が覚めたらまた小言言われるかな。でも今回は小言じゃなくて褒めて欲しいな。

『あの者達も心配しているぞ。休んだら、早く目を覚ましてやれ。またな』

うん、そうするよ。
ディーも心配すんなって。また今度話そうな。


トウヤの耳にはまたあのカランコロン、という優しい音が聞こえた気がした。













「・・・・いい匂いがする。」

「・・・・・一週間も寝といて一言目がそれかよ。」


あれから一週間、トウヤはひたすら眠り続けた。4人は交代で欠かさずトウヤに魔力を譲渡し続け、ちょうどフィンが昼食のコンソメスープを大きな口で食べようとした時、トウヤがやっと目を覚ましたのである。

「い、しゅうかん?おれ、そんなにねて、た?」

「・・・ああ。よかった。目が覚めて。おかえり、トウヤ。ありがとう。」


久しぶりに出した声は掠れていて、けほっと咳をする。そんなトウヤのおでこにちゅ、と口付けるフィンの顔はとても優しく、ホッと安堵したようだった。トウヤは何だか幸せで、嬉しくて、ポロリと涙が溢れた。
「どこか身体が痛むのか?」とフィンが心配そうに尋ねるが、トウヤは力なく首を振り「なんか、うれしくて」と答えた。それを聞いたフィンは愛おしそうにトウヤの頭を撫で、瞼に優しく口付けた。

「他の奴らにもしょうがねぇから知らせてくる」と言い、知らせを聞きつけタミル、イーサン、エドガーがトウヤの部屋に駆け込んできた。
タミルもさすがに飛び付いてはこなかったが、うっすら涙を浮かべ「目が覚めてよかったぁぁぁぁあ」と叫んでいた。
エドガーは泣いていた。そりゃあもう、えぐえぐ言いながら。トウヤが起きて安心したらしい。
イーサンは何も言わなかったが、トウヤの手を優しくとると自分の額に当て、そのあと優しく口付けていた。




その後はダニエルも飛んできて、何度も何度も感謝された。いつもの落ち着きは全く感じられない程に一人であの夜を思い返しては興奮しているようだった。鼻血が出るんじゃないかと思うくらいには。

医者も来て、一通りトウヤの身体を診てくれたが、魔力欠乏以外は何も異常はなかった。まあ、何か異常があっても魔力が戻ればどうにでもなるのだが、念のため、とのことだった。
「王が直接お礼を言いたいそうです」と言われたが、緊張するからお気持ちだけで、と断ったら意外にもすんなりと聞き入れてくれた。ダニエルの力らしい。



「しばらくは安静にしてくださいね。あ、でも魔力は皆さんから譲渡してもらってください。・・・方法はお任せします。」



不敵に笑ったダニエルは、トウヤと4人を残して部屋から出ていったのだった。
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