【完結】透明の石

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メラン編

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騎士団の詰所は、第二訓練場の近くだった。
少し狭いが談話室があり、そこにトウヤと契約者4人、ターナーと随行者3人、そしてラドリーが集まった。大人達でぎゅうぎゅうである。

他の団員たちは念押しで契約者達から緘口令の圧をかけられた後、訓練場に戻された。
魔物は「全てターナー達と次期領主が倒した」と通すことになった。

談話室ではまずお互いの自己紹介をした後、トウヤのことを中心に説明した。後継者であること、結界を張るために魔力を溜めているということ。そしてその立場を伏せ、トウヤとして生きていこうとしてること。いつものように敬語をやめて欲しいことも忘れずに伝えた。

魔力譲渡の方法や模様については敢えて触れなかった。なぜなら、そこにラドリーがいたからである。騎士団の責任者ということで同席しているが、終始トウヤの黒い瞳を見ながらうっとりとした表情だ。トウヤ+4人は怪訝な顔である。


「・・・・わかった、トウヤ。改めて礼を言う。君のおかげで今こうして生きている。本当にありがとう。」

「・・へへ。間に合ってよかったです。俺、我が儘で後継者ってこと伏せてもらってるんですけど、力を使わずに目の前の人見殺しにする、っていうのも絶対出来なくて・・・本当に我が儘なんです。緘口令も申し訳ないんですけど、黙っててもらえると助かります。」


お願いします、と今度はトウヤが深々と頭を下げた。

ターナーはトウヤのことを何も聞かされてなかった。そもそもフィンが何も伝えていない、というのが大きな間違いである。そして王からは「取り急ぎ領主会議を実施する、詳細はその時に」ということで連絡が来たらしい。だからこそ、ターナーはトウヤの力に心底驚いたし、フィンのあの言動も理解不能だったのである。

そしてターナー達は、午後の領主会議のため王城へと向かった。別れ際、ターナーから「の子どもに助けられるとは不思議な縁もあったものだ」と困ったような顔で頭を撫でられた。







その日、トウヤは午後も魔法の練習をおこなった。4人からは止められたが「なら問題ないんで」と答えておいた。本心である。
だがその返答に「あれくらい・・?」とエドガーが首を捻り出し、トウヤの底知れぬ力に恐れ慄くのであった。


一通りの魔法を試したが、トウヤは火魔法と土魔法と相性が良いことがわかった。
どれも油断すると爆発的な力を持ってしまうので、極力抑えた魔力を使って出来ることを増やそう、という方針になった。

帰り際、事情を知っている団員達からは情景の眼差しを向けられどうしていいか分からず軽く手をひらひらとさせて、「また明日・・」と挨拶をして訓練場を離れた。




トウヤが去った訓練場内で「強くて可愛いとは、何事だ?!」と胸を押さえる団員が複数いたとか、いなかったとか。
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