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メラン編
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『魔力は十分溜まったようだな。・・なかなか面白い方法だったが、順調だったではないか。くく』
「・・・どこをどう見たら面白いんだよ。羞恥心が膨らみすぎて消えてなくなるかと思ったんだぞ。」
『ほう、それは見ものだな、くっくっ』
ディーは切長の目を細め笑い続けている。これはしばらく止まらないな、とトウヤは白けた目を向け、ため息をついた。
トウヤのあの花瓶にはもう十分魔力が溜まった。日中は魔法で変えているが、瞳の色も美しい黒に染まっている。タミルの要素がやや強いのか、光が当たるとキラキラと星が散らばっているかのように見える。
もちろんそれを毎日観察していたエドガーの興奮具合は物凄いもので、遂にスケッチブックを持参してきて記録されたのである。ちなみに絵も上手かった。
これで先日補強したディーが張った結界の内側に、トウヤが新しい結界を張り直すことができる。これも契約者たちの嫉妬の賜物、というわけだ。
しかし結界を張った後、トウヤはしばらく動けなくなるだろうと予想していた。ここ数日の魔法の練習で分かったことだが、トウヤは魔力操作が得意ではない。小さな力は操れるのだが(トウヤの小さいは結構大きいが)、大きな力を使おうとするとつい魔力を使いすぎて爆発的な魔法になってしまう。あの火柱がいい例だ。
「俺さ~、絶対動けなくなるじゃん。前回の比じゃない規模の結界だし。んで、またしばらく魔力溜まるの時間かかるよなぁ~・・・。あれ?俺もしかしてまたあの恥ずかしいことすんの?あ?えぇ?嘘だろ?!」
『・・・・今頃気づくのか。トウヤは見てて飽きないな。阿呆なのか賢いのか判断が難しい』
「・・・・・・・」
もう何とでも言え、というような諦めた目でディーを見る。あの4人と一緒に各領地を周って結界を張る!と、分かっていたものの、じゃあその魔力譲渡の方法は?まで頭が回っていなかった。目先のことにとらわれすぎたことを密かに反省するトウヤだった。
「なあ、魔力溜まったし、結界張るのは数日以内ってことだよな?張る時に相性が良い場所とかあんのか?」
『そうだな・・前回のように空を一望できる場所がいい。あと時間帯は夜がよかろう。あの靄は昼間だと目立ちすぎる』
「確かに・・・いきなり夜になるよーなもんだもんな。わかった。ダニエルさんにでも相談するわ。ありがと、ディー。俺頑張るわ。」
右手をディーに突き出してニカっと歯を出して笑うトウヤを父親のように優しい顔で見ているディー。ディーもおそらくずっと、ずっと、気にしていたことがまず一つ終わるのだ。
トウヤの活躍を全て見届けるまでは、夢に現れると言っていたが、ディーに会えなくなるのもやっぱ寂しいな、とまだ先の未来を想像してすでに感傷的になるトウヤだった。
「・・・どこをどう見たら面白いんだよ。羞恥心が膨らみすぎて消えてなくなるかと思ったんだぞ。」
『ほう、それは見ものだな、くっくっ』
ディーは切長の目を細め笑い続けている。これはしばらく止まらないな、とトウヤは白けた目を向け、ため息をついた。
トウヤのあの花瓶にはもう十分魔力が溜まった。日中は魔法で変えているが、瞳の色も美しい黒に染まっている。タミルの要素がやや強いのか、光が当たるとキラキラと星が散らばっているかのように見える。
もちろんそれを毎日観察していたエドガーの興奮具合は物凄いもので、遂にスケッチブックを持参してきて記録されたのである。ちなみに絵も上手かった。
これで先日補強したディーが張った結界の内側に、トウヤが新しい結界を張り直すことができる。これも契約者たちの嫉妬の賜物、というわけだ。
しかし結界を張った後、トウヤはしばらく動けなくなるだろうと予想していた。ここ数日の魔法の練習で分かったことだが、トウヤは魔力操作が得意ではない。小さな力は操れるのだが(トウヤの小さいは結構大きいが)、大きな力を使おうとするとつい魔力を使いすぎて爆発的な魔法になってしまう。あの火柱がいい例だ。
「俺さ~、絶対動けなくなるじゃん。前回の比じゃない規模の結界だし。んで、またしばらく魔力溜まるの時間かかるよなぁ~・・・。あれ?俺もしかしてまたあの恥ずかしいことすんの?あ?えぇ?嘘だろ?!」
『・・・・今頃気づくのか。トウヤは見てて飽きないな。阿呆なのか賢いのか判断が難しい』
「・・・・・・・」
もう何とでも言え、というような諦めた目でディーを見る。あの4人と一緒に各領地を周って結界を張る!と、分かっていたものの、じゃあその魔力譲渡の方法は?まで頭が回っていなかった。目先のことにとらわれすぎたことを密かに反省するトウヤだった。
「なあ、魔力溜まったし、結界張るのは数日以内ってことだよな?張る時に相性が良い場所とかあんのか?」
『そうだな・・前回のように空を一望できる場所がいい。あと時間帯は夜がよかろう。あの靄は昼間だと目立ちすぎる』
「確かに・・・いきなり夜になるよーなもんだもんな。わかった。ダニエルさんにでも相談するわ。ありがと、ディー。俺頑張るわ。」
右手をディーに突き出してニカっと歯を出して笑うトウヤを父親のように優しい顔で見ているディー。ディーもおそらくずっと、ずっと、気にしていたことがまず一つ終わるのだ。
トウヤの活躍を全て見届けるまでは、夢に現れると言っていたが、ディーに会えなくなるのもやっぱ寂しいな、とまだ先の未来を想像してすでに感傷的になるトウヤだった。
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