【完結】透明の石

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メラン編

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その後の訓練は「さっきの十分の一でやること!」とタミルに念押しされ、トウヤはひたすらイメージして、炎出して、イメージして、炎出して・・・の繰り返しだった。
トウヤの場合、この程度では魔力はあまり消耗しないが、何回も繰り返すと体力が持たない。夕方前には力尽き、ぺしゃりとその場に突っ伏したのだった。

「うう、俺、こんなに体力なかったっけぇ・・・」

「慣れないことしたら、最初はそうなるわな。にしても、体力もっとつけたほーがいいんじゃねーか?」

「そうだねぇ。僕もあんまり体力ないけど、トウヤよりはあるかなぁ。」

「ガンバリマス・・・」


神殿に戻る前、ミュラーに「お邪魔しました。また明日よろしくお願いします」と頭を下げると、顔を赤くしたミュラーに「ま、待ってます!」と敬礼された。今度はイーサンがトウヤとミュラーの間に出てきて、じぃと美しい顔圧で威嚇していたが、トウヤが必死に外まで引っ張った。
ラドリーは出口のところで待っており、「また明日」とトウヤの肩をそっと触る。一瞬ゾワっとした気がしたが、そんな失礼なことは口が裂けても言えないので、丁寧に礼をしてその場を去った。

帰りの馬車では「あいつなんかいけすかねぇー」とフィンがボヤいていたが、他の契約者達もそれを否定することはなかった。

神殿に帰りつき「今日は模様からお願いしますね!」とトウヤから念押しされた4人は渋々順番に模様を触っていた。
「吸い取りすぎない、吸い取りすぎない」と心の中で呪文を唱えるのは最早日常になりそうだ。

後は寝るだけ、の状態で湯浴みから部屋に戻るとまたタミルが待っている。トウヤは悩んだが、ハァとため息をついて中へ招き入れ、不本意だが昨日と同様にタミルのキスで夢の中へ旅立つのであった。






それから5日間、朝起きて準備ができたら訓練場、という生活が続いている。初日は火魔法だけだったが、その後は魔力調整、水魔法、土魔法、と練習していき、今日は雷魔法の練習である。


「雷魔法は僕の十八番だけど、扱いが難しいんだぁ。下手すると自分も感電しちゃうから、防御壁忘れないでねぇ、トウヤ。」

ふふふ、と笑っているがとんでもなく怖いことを言ったタミル。無言でコクコクと頷くトウヤに満足そうな顔をした。
訓練は基本タミル主導で行われている。2日目からは、タミルがトウヤの面倒を見ている間、誰かもう一人が補助、残りの二人は騎士団の訓練相手をしている。
そりゃあ、もうボコボコにしているが。

ミュラーともだいぶ打ち解けたようだ。初日はハラハラしたトウヤだが、一安心である。4人は他の団員とも少しずつ話すようになっているが、トウヤはなかなか話す機会がない。単純に契約者ガードが固すぎるのだ。特にラドリーが相手だと4人ともかなり警戒している。
トウヤは初日こそ少し違和感を感じたが、それ以降別に過度な接触もなく、拍子抜けした。「そういうところにつけ込まれるんだよ」とフィンは言っていたが、後継者ということも伏せているし、ただ魔力が高い男にそこまで執着するとも思えない。それを4人に伝えると、盛大なため息をつかれた。なぜだ!とトウヤは納得いかなかったのである。



「やあ、トウヤくん。ようやく2人で話せるね。」



トイレから戻る途中、見事にラドリーに捕まったトウヤはあの4人の盛大なため息を思い出していた。

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