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メラン編
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一頻り、全員の武器を見せてもらったが(エドガーにもお願いして弓を出してもらった)、トウヤには武器の具現化はまだ手の届かない高い技術のものらしい。少し残念だったが、攻撃魔法すら使ったことがないトウヤは「自分がまずできるところから!」とすぐさま頭を切り替えた。
タミルからまずは魔力の増減を肌で感じることを勧められた。力加減を知る、ということである。
タミルから両手を握られ、少しずつ魔力を流される。最初は微かな違和感だったが、段々と大きな魔力の流れを感じるようになった。
いつもの魔力譲渡では、模様からだと増減の変化を感じる前に譲渡がすぐ終わってしまう。このように少量から多量の流れを意識して感じるのは初めてだった。唾液からではないので、変な熱もない。ゾワゾワは多少するが我慢できる範囲だった。
「どーお?小さな力と大きな力の感覚は伝わったぁ?トウヤはすぐ魔力を全開放して倒れちゃうことが多いよね。そうじゃなくて、水道の蛇口から水を出すように身体から魔力を出してみて。チョロチョロ出すのか、ドバーっと出すのかイメージするんだよぉ。これを無意識のうちにできるようになるまで、ひたすら実践練習!って感じかなぁ。」
「・・なるほど?小さな火なら出せるけど・・・イメージ・・ねぇ。そんなドーンとデカい火見たことないしなぁ・・・」
「じゃあ今から見れば良いよぉ。フィン様~、出番ですよ~。とりあえず5割程度の火力でお願いしますね~。」
声を掛けられたフィンはニヤリと笑いながら、トウヤ達から距離を取る。何やら楽しそうだ。そして、片手を空に突き出すと凄まじい熱気と共にゴォッッと数メートルの火柱があがった。トウヤは思わず「あっっち!」と熱さで顔を逸らす。
数秒程、火柱を出していたフィンがフッと力を抜くと火柱も消え、何事もなかったようにスタスタとトウヤ達の元へ戻ってきたのである。
「あんなもんでいーか?出す火力を上げて、範囲を絞れば建物に穴も開けられるぜ?それもやるか?」
「え、遠慮します!フィン様、あ、熱くないんですか?」
「あ?そんなもん自分の周りに防御壁出してっから熱くねーよ。小せぇ結界みてーなもんだ。トウヤみてーに、デッケー結界張るのはできねぇが、契約者だって自分守る程度なら一時的に張れるぜ?」
ほーほー、とトウヤ頷く。魔物が襲ってきたときに神殿の周りには神官たちが集まって結界を張っていた。それはかなり高度な技術だとダニエルに聞いた。高魔力でフィン達のように訓練した者なら単体でも自分を守る程度できるっていうことか、と頭の中を整理する。
そして、その結界を街全体に張れる自分は相当異質なのだと実感する。ディーの偉大さも。
「・・トウヤ?大丈夫か?身体、氷で冷やすか?」
「あ、イーサン様大丈夫です。頑張んなきゃなと思ってたところなんで!俺も今のやってみますね。」
「今のフィン様ぐらいの火力を出すの少し難しいかもぉ。もう少し小さくていいからやってみようか。いけそう?トウヤ。」
「おう!じゃ、ちょっと離れてやってみるな!」
タッタッタと走って4人から距離をとり、目をつぶってイメージを整える。フィンは先程時間差なく火柱をあげていたが、それだけ何度もイメージし、出す練習を繰り返し行ったということだ。いつも暴れん坊なイメージしかないが、やはり戦闘においては相当強いのだろう。トウヤは少しフィンを見直した。
まず、生活魔法として使っていた小さな火をとりあえず出してみる。ポッと手の平に小さな火が灯る。これくらいなら子どもでもできる魔法だ。その熱で手のひらが少し熱くなった。
「この火でこれだけの魔力、ということは火柱になると・・・・」とトウヤは魔力とイメージを擦り合わせ始めた。
「このくらいかな?」と魔力の量を決め、両手を空へ突き出し、魔力を放出した。
ドォーーーン、という轟音と共に十数メートルの火柱があがり、熱気が其処ら中に溢れ出す。「あわわわわわわ」とトウヤは急いで魔力を止めたものの、訓練場にいた団員達が「あの可愛い子が今火魔法やったの?」と唖然としていたのは言うまでもない。
タミルからまずは魔力の増減を肌で感じることを勧められた。力加減を知る、ということである。
タミルから両手を握られ、少しずつ魔力を流される。最初は微かな違和感だったが、段々と大きな魔力の流れを感じるようになった。
いつもの魔力譲渡では、模様からだと増減の変化を感じる前に譲渡がすぐ終わってしまう。このように少量から多量の流れを意識して感じるのは初めてだった。唾液からではないので、変な熱もない。ゾワゾワは多少するが我慢できる範囲だった。
「どーお?小さな力と大きな力の感覚は伝わったぁ?トウヤはすぐ魔力を全開放して倒れちゃうことが多いよね。そうじゃなくて、水道の蛇口から水を出すように身体から魔力を出してみて。チョロチョロ出すのか、ドバーっと出すのかイメージするんだよぉ。これを無意識のうちにできるようになるまで、ひたすら実践練習!って感じかなぁ。」
「・・なるほど?小さな火なら出せるけど・・・イメージ・・ねぇ。そんなドーンとデカい火見たことないしなぁ・・・」
「じゃあ今から見れば良いよぉ。フィン様~、出番ですよ~。とりあえず5割程度の火力でお願いしますね~。」
声を掛けられたフィンはニヤリと笑いながら、トウヤ達から距離を取る。何やら楽しそうだ。そして、片手を空に突き出すと凄まじい熱気と共にゴォッッと数メートルの火柱があがった。トウヤは思わず「あっっち!」と熱さで顔を逸らす。
数秒程、火柱を出していたフィンがフッと力を抜くと火柱も消え、何事もなかったようにスタスタとトウヤ達の元へ戻ってきたのである。
「あんなもんでいーか?出す火力を上げて、範囲を絞れば建物に穴も開けられるぜ?それもやるか?」
「え、遠慮します!フィン様、あ、熱くないんですか?」
「あ?そんなもん自分の周りに防御壁出してっから熱くねーよ。小せぇ結界みてーなもんだ。トウヤみてーに、デッケー結界張るのはできねぇが、契約者だって自分守る程度なら一時的に張れるぜ?」
ほーほー、とトウヤ頷く。魔物が襲ってきたときに神殿の周りには神官たちが集まって結界を張っていた。それはかなり高度な技術だとダニエルに聞いた。高魔力でフィン達のように訓練した者なら単体でも自分を守る程度できるっていうことか、と頭の中を整理する。
そして、その結界を街全体に張れる自分は相当異質なのだと実感する。ディーの偉大さも。
「・・トウヤ?大丈夫か?身体、氷で冷やすか?」
「あ、イーサン様大丈夫です。頑張んなきゃなと思ってたところなんで!俺も今のやってみますね。」
「今のフィン様ぐらいの火力を出すの少し難しいかもぉ。もう少し小さくていいからやってみようか。いけそう?トウヤ。」
「おう!じゃ、ちょっと離れてやってみるな!」
タッタッタと走って4人から距離をとり、目をつぶってイメージを整える。フィンは先程時間差なく火柱をあげていたが、それだけ何度もイメージし、出す練習を繰り返し行ったということだ。いつも暴れん坊なイメージしかないが、やはり戦闘においては相当強いのだろう。トウヤは少しフィンを見直した。
まず、生活魔法として使っていた小さな火をとりあえず出してみる。ポッと手の平に小さな火が灯る。これくらいなら子どもでもできる魔法だ。その熱で手のひらが少し熱くなった。
「この火でこれだけの魔力、ということは火柱になると・・・・」とトウヤは魔力とイメージを擦り合わせ始めた。
「このくらいかな?」と魔力の量を決め、両手を空へ突き出し、魔力を放出した。
ドォーーーン、という轟音と共に十数メートルの火柱があがり、熱気が其処ら中に溢れ出す。「あわわわわわわ」とトウヤは急いで魔力を止めたものの、訓練場にいた団員達が「あの可愛い子が今火魔法やったの?」と唖然としていたのは言うまでもない。
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