【完結】透明の石

メラン編

６５

部屋中のクッションというクッションを投げ、タミルが甘んじてそのクッションに当たり終わった後、朝食を食べに食堂へ向かった。もちろん襟が詰まったシャツを着た。
食堂にはエドガーとイーサンがいた。昨日色々あったが、２人とも落ち着いた様子だったので正直トウヤはホッとしたのである。
ちなみにラクランとフリップは昨日の夕方から王城に呼ばれていて不在らしい。おそらく結界を張る順番を検討しているのだろう、ということだった。

かれこれメランに来て一週間以上が経った。
あの花瓶には、契約者の協力のおかげで半分以上魔力が溜まった感じがする。
アルトにも説明に行けたし、あとは黒神の役割のため出来ることをしていかなければならない。

トウヤ達が朝食を食べ終わった頃、ようやく起きてきた様子のフィンも食堂へやって来た。
５人集まったところで、トウヤは口を開く。

「あの、俺、魔法の練習をしたいんです。具体的にどういう練習をすればいいのかわからなくて・・使う魔力の量をコントロール出来る様になりたいと思ってます。得意な人がいたら、教えてもらいたいんすけど・・。」


「はーーい！僕、魔力操作得意だよぉ？知ってるでしょ、トウヤ。僕が教えてあげる～！」

「トウヤ、魔力操作も大事だが、自衛のために攻撃魔法も覚えた方がいい。それだったら私も得意だ。」

「わ、私も、研究する立場から、あ、アドバイスはできるよ、トウヤくん。」

「俺が実験台になってやろうか？身体は丈夫だ、攻撃魔法なら教えることもできる。お前の両親属性は朱だろ？火魔法相性いいかもしれねーしな。」

「おお、さすが高魔力持ちの集まり・・！攻撃魔法・・・そうですよね。自分の身を自分で守るために必要だ。が、がんばります。」


いつもはトウヤがギャーギャー文句を言ったり、頭を抱えるようなことをしてきたりする４人だが、実は優秀なのである。かなり心強い講師陣に今日から特訓をしてもらうことになった。