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メラン編
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トウヤはあの後、しばらく力が入らず動けなかった。イーサンから果実水を飲ませてもらったり、ベッドまで運ばれたり、と甲斐甲斐しく世話をされ、気がつくといつのまにか眠ってしまっていた。
あれだけちゅ、ちゅ、と口付ける男の前ですやすや寝る自分もどうかと思うがそれだけへろへろにされたのである。もちろんイーサンに。
イーサンはトウヤが起きるといなくなっていたが、ベッドサイドのテーブルには果実水と固く絞られたハンカチが置かれていた。何とも律儀な男である。
窓から見える陽の光は橙で、もうすぐそれも消えそうだ。荷物の整理も途中だが、とりあえず一口果実水を口に含み、こくんと喉を潤した。香草も入れてあるのだろう、少し爽やかな香りもする。
少し火照った顔を覚まそうと、窓に近づき鍵を開けた。
ヒューッと少し強めの風が吹き込んできて、トウヤの黒い癖っ毛がふわふわ揺れた。目にゴミが入らないよう、風がおさまるまで目を瞑っていたトウヤは、風が凪いだことを肌で確認するとゆっくりと目を開ける。
すると目の前には不敵な笑みを浮かべたフィンが立っていた。どうやら風が凪いだわけではなく、フィンの登場だっただけである。あまりの驚きで、ひゅっと声が出ないトウヤを尻目にフィンは窓枠に足を乗せ、窓からの侵入を試みる。
「おい、また寝てたのかよ。ドア鍵かかってるしよ、入れねーじゃねーか。こっから入れろ!」
「~~っ、し、心臓が、と、止まる!!な、な、何してんですか、あんたはーーーー!」
「うおっ、押すなよ!鍵壊されなかっただけでも感謝しろって!ほら、そこどけ!」
「~~~っ!!!この馬鹿たれーーー!」
トウヤはポカポカとフィンの頭を叩く。大して力も入ってないので、「あーあーイタイイタイ、ほら、どけって」と相手にされないどころか、トウヤごと抱えられ、部屋への侵入を許したのである。
「お前、仮にも俺故郷の次期領主だぜ?もう少し敬えよ。」
「敬ってもらえるような行動してから言ってください、それ!」
「・・・ははん?なるほど?」
また不敵な笑みを浮かべ、肩に担いだトウヤをそのままベッドに投げ落とす。「ぶへぇっ」と情けない声が出たトウヤはベッドにうつ伏せで、顔面から突っ込んだ形だ。トウヤの情けない声にくくっと喉を鳴らし、笑っていたフィンだが突然何かに気づき、「あ゛あ?」と機嫌が悪そうな声を出した。
背後からの不穏な声にトウヤはビクッと身体を強張らせた。
「へ?な、何ですか?怖い声出さないでください!割と顔も怖いんですから、フィン様!」
「あ゛?お前また失礼なこと言っただろ。・・じゃなくてよぉ、その首誰に付けられたんだよ。言ってみろ、ほら。」
「く、くびぃ?別に何もくっ付いてないですよ?」
「・・・ここだよ、ここ!」
苛立ったように、トントンと人差し指で頸の一部を突かれた。模様とは少しズレた場所である。トウヤは「そんなところに何かあったっけ?」とぺたぺたそこを触りながら心当たりを探す。
少し考えると先程のイーサンとの一件を思い出した。思わず「あっ!」と声が出てしまい、慌てて口を手で塞いだが、時すでに遅し、フィンのギラついた目とばっちり合ってしまったのである。
「ほーら、あるじゃねえか心当たり。誰だよ、タミルか?後の2人はあんま想像できねーけどよぉ。」
「・・・・・・・・・い、言いません」
「ハッ、そう来るか。じゃあ、タミルじゃないってことだな?トウヤ、お前首にキスマーク付ける意味知ってんのか?」
「へっ?!そ、そ、そんなの知ってるわけないでしょうが!」
トウヤはうつ伏せから身体を起こし、座り直して逃げようとしたが、フィンにすぐさま行く手を阻まれ、ジリジリと近づいてくるフィンと壁との間に挟まれてしまった。
すると、耳元で「教えてやるよ」とフィンの低めの声が響いた。
「そいつを独占してぇって相手を牽制するためにつけるんだよ。」
お互いの鼻がくっつきそうな距離にいるフィンの瞳は炎が揺れているようだった。トウヤはその迫力にきゅっとシーツを握る。
「売られた喧嘩は買わねーとな?トウヤ。」
ぎらつく目に圧倒されながら、そのままトウヤは両手を壁に押し付けられ、噛みつかれるように唇を塞がれた。
あれだけちゅ、ちゅ、と口付ける男の前ですやすや寝る自分もどうかと思うがそれだけへろへろにされたのである。もちろんイーサンに。
イーサンはトウヤが起きるといなくなっていたが、ベッドサイドのテーブルには果実水と固く絞られたハンカチが置かれていた。何とも律儀な男である。
窓から見える陽の光は橙で、もうすぐそれも消えそうだ。荷物の整理も途中だが、とりあえず一口果実水を口に含み、こくんと喉を潤した。香草も入れてあるのだろう、少し爽やかな香りもする。
少し火照った顔を覚まそうと、窓に近づき鍵を開けた。
ヒューッと少し強めの風が吹き込んできて、トウヤの黒い癖っ毛がふわふわ揺れた。目にゴミが入らないよう、風がおさまるまで目を瞑っていたトウヤは、風が凪いだことを肌で確認するとゆっくりと目を開ける。
すると目の前には不敵な笑みを浮かべたフィンが立っていた。どうやら風が凪いだわけではなく、フィンの登場だっただけである。あまりの驚きで、ひゅっと声が出ないトウヤを尻目にフィンは窓枠に足を乗せ、窓からの侵入を試みる。
「おい、また寝てたのかよ。ドア鍵かかってるしよ、入れねーじゃねーか。こっから入れろ!」
「~~っ、し、心臓が、と、止まる!!な、な、何してんですか、あんたはーーーー!」
「うおっ、押すなよ!鍵壊されなかっただけでも感謝しろって!ほら、そこどけ!」
「~~~っ!!!この馬鹿たれーーー!」
トウヤはポカポカとフィンの頭を叩く。大して力も入ってないので、「あーあーイタイイタイ、ほら、どけって」と相手にされないどころか、トウヤごと抱えられ、部屋への侵入を許したのである。
「お前、仮にも俺故郷の次期領主だぜ?もう少し敬えよ。」
「敬ってもらえるような行動してから言ってください、それ!」
「・・・ははん?なるほど?」
また不敵な笑みを浮かべ、肩に担いだトウヤをそのままベッドに投げ落とす。「ぶへぇっ」と情けない声が出たトウヤはベッドにうつ伏せで、顔面から突っ込んだ形だ。トウヤの情けない声にくくっと喉を鳴らし、笑っていたフィンだが突然何かに気づき、「あ゛あ?」と機嫌が悪そうな声を出した。
背後からの不穏な声にトウヤはビクッと身体を強張らせた。
「へ?な、何ですか?怖い声出さないでください!割と顔も怖いんですから、フィン様!」
「あ゛?お前また失礼なこと言っただろ。・・じゃなくてよぉ、その首誰に付けられたんだよ。言ってみろ、ほら。」
「く、くびぃ?別に何もくっ付いてないですよ?」
「・・・ここだよ、ここ!」
苛立ったように、トントンと人差し指で頸の一部を突かれた。模様とは少しズレた場所である。トウヤは「そんなところに何かあったっけ?」とぺたぺたそこを触りながら心当たりを探す。
少し考えると先程のイーサンとの一件を思い出した。思わず「あっ!」と声が出てしまい、慌てて口を手で塞いだが、時すでに遅し、フィンのギラついた目とばっちり合ってしまったのである。
「ほーら、あるじゃねえか心当たり。誰だよ、タミルか?後の2人はあんま想像できねーけどよぉ。」
「・・・・・・・・・い、言いません」
「ハッ、そう来るか。じゃあ、タミルじゃないってことだな?トウヤ、お前首にキスマーク付ける意味知ってんのか?」
「へっ?!そ、そ、そんなの知ってるわけないでしょうが!」
トウヤはうつ伏せから身体を起こし、座り直して逃げようとしたが、フィンにすぐさま行く手を阻まれ、ジリジリと近づいてくるフィンと壁との間に挟まれてしまった。
すると、耳元で「教えてやるよ」とフィンの低めの声が響いた。
「そいつを独占してぇって相手を牽制するためにつけるんだよ。」
お互いの鼻がくっつきそうな距離にいるフィンの瞳は炎が揺れているようだった。トウヤはその迫力にきゅっとシーツを握る。
「売られた喧嘩は買わねーとな?トウヤ。」
ぎらつく目に圧倒されながら、そのままトウヤは両手を壁に押し付けられ、噛みつかれるように唇を塞がれた。
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