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メラン編
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神殿に戻ってすぐ、ダニエルに屋敷での様子を話した。アルトへの報告が出来たことを聞くと「良かったですね」とトウヤの肩をポンと優しく叩き、微笑んだ。何とも理想の上司である。
一旦部屋に戻り、荷物を整理しているとコンコンと扉を叩く音がする。
「イーサンだ。中に入ってもいいか?」
「あ、はい!どうぞ!」
パタパタと扉に近づくと、イーサンが中に入ってきた。どうしたのだろう、と首を傾げるトウヤ。そんなトウヤを見て、ふっとイーサンは口角を上げた。
「魔力をまだ渡してなかっただろう?今からでも・・いいか?」
「あ!そうでしたね!父さん達に会えて何か気が抜けてました、すみません。よろしくお願いします。」
トウヤはソファにイーサンと並んで座ると後ろを向いた。今日のシャツは便利だ。ボタンを外さなくても模様が見える。今度から襟が詰まってないシャツを買ってくることにしよう、とトウヤは一人で計画を立てる。「いつでも触っていただいて大丈夫です」とイーサンに声を掛けたが、何も感触がない。不思議に思って、イーサンの方を振り向くと模様を見ながら何か考え事をしているようだ。そしてゆっくりとトウヤの目を見ると、真剣な表情で口を開いた。
「・・・私も・・・その、トウヤとの仲を深めたいのだが・・・良いだろうか・・・」
あまりにも真剣な顔つきで予想もしてなかったこと聞かれたものだからトウヤは「へ?」と思わず聞き返してしまった。イーサンはすべすべの真っ白な頬を少し赤らめている。それだけで色っぽさが滲み出ていた。
「・・私はあまり人と関わるのが得意ではないが、トウヤとは・・・関わりたいんだ。正直言うと・・君に惹かれている。目が離せないんだ。君からの答えが今欲しいわけではない。国のためにすべきこともたくさんある。でも私の気持ちを知っていてほしい。他の契約者とは日に日に親交を深めているようだし・・私にもそれを許してくれないだろうかと思ったんだ。」
「ぇえ?!お、俺に惹かれて・・ええ?し、親交を深める・・・ですか?ええっと、別に特別なことは何も・・・あっ!・・・うう・・ちょっとしましたけど・・・うう・・・」
トウヤはあの痴態を思い出し、ぽぽぽっと顔が赤くなる。いつも突然とんでもないことをしてくるタミルやフィンと違い、イーサンは律儀な性格をしているようだ。逆にそういう行為をしていいだろうか、と直接聞かれるのもこんなにこーんなに、恥ずかしいことだとは思わなかったな、とトウヤは内心ドギマギした。
トウヤが頭で色々考えている間、イーサンはトウヤの顔を覗き込み、真剣な顔で見つめてくる。恥ずかしさでどんどん鼓動が速くなる。
「・・・やはり、俺とは嫌だろうか。」
「い、いえ!嫌とかではなくてですね・・・、た、タミルにも別に許したわけではなくて。突然・・・キス・・・で、魔力譲渡を・・・してきてですね・・・」
「俺とも嫌ではないんだな?」
イーサンも聞き方がずるい。嫌ではないかと聞かれると、全く嫌ではない。凛として美しい美青年、トウヤのことを大切にしようとしてくれていることが伝わってくる接し方。その言動から少々誤解されやすいかもしれないが、ただ感情が読み取りにくいだけなのだ。素敵な人だと思う。
トウヤは恥ずかしさで顔を真っ赤にして、「嫌ではないです・・・」と消え入りそうな小さな声でぽつりと答えた。イーサンは顔を綻ばせ「嬉しい」と微笑み、そっとトウヤを自分の体に引き寄せる。不意に近づいたイーサンの胸元からは少し速い心音が聞こえる。
「トウヤ、こっち向いてくれ。」
そう言われたトウヤは顔をゆっくりと上げた。目の前にはゆらゆら煌めく黄金と青の瞳があった。
「湖と太陽の色みたい」とトウヤがイーサンの瞳に見惚れていると、静かに2人の唇が重なった。
一旦部屋に戻り、荷物を整理しているとコンコンと扉を叩く音がする。
「イーサンだ。中に入ってもいいか?」
「あ、はい!どうぞ!」
パタパタと扉に近づくと、イーサンが中に入ってきた。どうしたのだろう、と首を傾げるトウヤ。そんなトウヤを見て、ふっとイーサンは口角を上げた。
「魔力をまだ渡してなかっただろう?今からでも・・いいか?」
「あ!そうでしたね!父さん達に会えて何か気が抜けてました、すみません。よろしくお願いします。」
トウヤはソファにイーサンと並んで座ると後ろを向いた。今日のシャツは便利だ。ボタンを外さなくても模様が見える。今度から襟が詰まってないシャツを買ってくることにしよう、とトウヤは一人で計画を立てる。「いつでも触っていただいて大丈夫です」とイーサンに声を掛けたが、何も感触がない。不思議に思って、イーサンの方を振り向くと模様を見ながら何か考え事をしているようだ。そしてゆっくりとトウヤの目を見ると、真剣な表情で口を開いた。
「・・・私も・・・その、トウヤとの仲を深めたいのだが・・・良いだろうか・・・」
あまりにも真剣な顔つきで予想もしてなかったこと聞かれたものだからトウヤは「へ?」と思わず聞き返してしまった。イーサンはすべすべの真っ白な頬を少し赤らめている。それだけで色っぽさが滲み出ていた。
「・・私はあまり人と関わるのが得意ではないが、トウヤとは・・・関わりたいんだ。正直言うと・・君に惹かれている。目が離せないんだ。君からの答えが今欲しいわけではない。国のためにすべきこともたくさんある。でも私の気持ちを知っていてほしい。他の契約者とは日に日に親交を深めているようだし・・私にもそれを許してくれないだろうかと思ったんだ。」
「ぇえ?!お、俺に惹かれて・・ええ?し、親交を深める・・・ですか?ええっと、別に特別なことは何も・・・あっ!・・・うう・・ちょっとしましたけど・・・うう・・・」
トウヤはあの痴態を思い出し、ぽぽぽっと顔が赤くなる。いつも突然とんでもないことをしてくるタミルやフィンと違い、イーサンは律儀な性格をしているようだ。逆にそういう行為をしていいだろうか、と直接聞かれるのもこんなにこーんなに、恥ずかしいことだとは思わなかったな、とトウヤは内心ドギマギした。
トウヤが頭で色々考えている間、イーサンはトウヤの顔を覗き込み、真剣な顔で見つめてくる。恥ずかしさでどんどん鼓動が速くなる。
「・・・やはり、俺とは嫌だろうか。」
「い、いえ!嫌とかではなくてですね・・・、た、タミルにも別に許したわけではなくて。突然・・・キス・・・で、魔力譲渡を・・・してきてですね・・・」
「俺とも嫌ではないんだな?」
イーサンも聞き方がずるい。嫌ではないかと聞かれると、全く嫌ではない。凛として美しい美青年、トウヤのことを大切にしようとしてくれていることが伝わってくる接し方。その言動から少々誤解されやすいかもしれないが、ただ感情が読み取りにくいだけなのだ。素敵な人だと思う。
トウヤは恥ずかしさで顔を真っ赤にして、「嫌ではないです・・・」と消え入りそうな小さな声でぽつりと答えた。イーサンは顔を綻ばせ「嬉しい」と微笑み、そっとトウヤを自分の体に引き寄せる。不意に近づいたイーサンの胸元からは少し速い心音が聞こえる。
「トウヤ、こっち向いてくれ。」
そう言われたトウヤは顔をゆっくりと上げた。目の前にはゆらゆら煌めく黄金と青の瞳があった。
「湖と太陽の色みたい」とトウヤがイーサンの瞳に見惚れていると、静かに2人の唇が重なった。
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