【完結】透明の石

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メラン編

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窓から朝日が差し込んでいる。
その眩しさに「そういえばカーテン閉めてなかったな」とトウヤが目を覚ます。ゆっくり目を開けると、そこにはトウヤの顔を天使の顔で覗き込んでいるタミルがいた。

「おはよう、トウヤ。今日は早起きなんだねぇ。可愛い寝顔ご馳走さま。」

「・・・・・・おはよ。いつの間に入ったんだよ・・。俺・・き、昨日のまだ怒ってるんだからな!」

「えぇ~?でもキスあっちの方が魔力たくさん渡せたでしょう?2人同時に譲渡できるじゃない。それとも僕とキスするの気持ち悪かった?」

「き、気持ち悪くは・・・・・・なかったけど・・・うう・・・恥ずかしい・・・だろっ!」


タミルは策士である。聞き方がずるいのだ。そう、トウヤは全くもって気持ち悪く無かった。それどころか気持ち良かった、のだから尚更困っている。それを見透かした聞き方だった。タミルはトウヤの返事に抑えきれない笑みが溢れる。

「んふ、恥ずかしかったんだよねぇ。いきなりしたのは謝るけど、キスでの譲渡もに考えてほしいなぁ、ね。トーヤ?」

「・・・・・・・・・うう・・・」

昨日の痴態がまた思い出される。トウヤは赤い顔でタミルの問いかけに答えられず「僕、"待て"が出来るからね!」とニコニコ笑いかけてくるタミルに絆される未来が見えた気がした。

トウヤは身支度を済ませると(着替えの間は外に追い出した)、食堂へ向かう。途中でフィン、イーサン、エドガーにも会ったので全員で向かうことになった。突然最強の集団が完成したのである。
入ってきた5人に食堂内はざわつきが収まらず、トウヤは具沢山で美味しそうなミルクスープの味がわからなかった。

「おーおー、すげー視線だな。トウヤ、鬱陶しいなら説得威圧してくるぜ?どうする?」

「遠慮します、フィン様。あとあなたにもまだ怒ってるんで。反省してください。」

「け、喧嘩でもしたの、トウヤさ・・トウヤくん。」

「トウヤエドガーメガネとも仲良くなったのか?」

「・・・・フィン様の仲良くがどういう仲良くかは知りませんが、エドガー様とは昨日お話しする機会がありましたので、敬語をやめてほしいとお願いしたんです。ね、エドガー様。」

「う、うん。が、がんばるね。」

「ふーん・・・まあ、いいけどよ。トウヤ、今日はいつ魔力渡せばいいんだ?全員身体動かすぐれぇしか用事はないけどな。」


トウヤはうーんと考え始める。魔力は早く溜めたい。しかし、一度アルト達に会いに行って色々と事情を説明したいのだ。神殿からアルトのいるケインの屋敷までは歩いて1時間くらいで着く。そこまで遠くない。メランは他の領地とは違い、大きな街が一つあるだけなのだ。大きな街とは言え、トウヤの故郷イグニスとは規模が違う。イグニスは複数の街や村があるため、移動するとなれば馬車移動が主流だ。そんな環境で暮らしてきたトウヤは徒歩1時間くらいなら余裕である。
丁度契約者が全員揃っているのもあり、トウヤは今後のことを確認したかった。それを説明すると、イーサンが「では、応接間に場所を移しましょう」と提案してくれたので、そうすることにした。

気を利かせたエドガーがダニエル、フリップに、イーサンがラクランに声をかけてくれた。


これで全員集合である。
全員で集まるのは実に3日振りであった。
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