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メラン編
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その夜、トウヤはまたあの部屋を使わせてもらうことになった。上等すぎる、と遠慮したがダニエルに受け入れてもらえなかった。
神殿の隣にある建物は神官たちや神殿を訪れる要人が使う建物らしい。寝泊まりも出来るし、先ほどトウヤが行った食堂なんかもある。
部屋までダニエルとエドガーが送ってくれる。部屋に着くまでの間、ダニエルから魔物が襲ってきたあの日の話を聞かせてもらった。
「あの日、街に侵入した魔物は全部で23体確認されています。全て大型、中型のもので、王都騎士団だけでは、歯が立たなかったでしょう。・・不幸中の幸いですが、他領地の精鋭が滞在中でしたので、被害も最小限だったと思われます。」
「23体・・・あんなのが?あの・・・死んだ人は・・いないですよね・・?」
「・・・残念ですが、数名おりました。怪我人も、です。」
「そうですか・・・・」
トウヤは黙り込む。自分がもっと早く黒の魔法が使えていたら、気を失わず、他の場所向かって行けていたら・・・考えるとキリがない。
そんなトウヤの思考に気付いたのか、ダニエルはふと足を止めて、トウヤの方を向いた。
「・・まさかご自身のせいだと思われてますか?」
「・・・・もっとうまく力を使えていれば、とは・・思いました。」
「何を言いますか!トウヤ様のおかげで、母子が助けられているのですよ?いいえ、それだけではありません。あの時、結界を繋ぎ止めてくれていなければ、もっと魔物が侵入して被害が拡大しています。」
「そ、そ、そうだよ、トウヤくん。私も戦闘に参加してたから、助けられた1人だよ?一般の人を守りながらあのままずっと戦うのは難しかったからね。あ、ありがとう。」
「・・・お礼なんて・・でも、助けられた人もいるなら・・・よかったです。・・・・・・んん~~!よーーっしゃ、ウジウジすんのここまで!」
そう言うとトウヤは腕をぐいーっと伸ばして背伸びをし、そのまま両手で頬をパンっと叩く。
「俺、沢山の人守れるように結界張るの頑張んなきゃ!まずは魔力を溜めないと、ですね!」
「ふふ、私、トウヤ様のその前向きなところ好きですよ。以前の・・何でしたっけ、ああ、質問攻め祭り、でしたか。あれは可愛らしかったですね。ふふ。」
「あ、ダニエルさんちょっとバカにしてないですか?何事も前向きに、は父さんの教えなんです。落ち込んでても前には進めませんから。」
「・・・素敵なお父様ですね。私に出来ることがあれば、お手伝い致しますので何でも仰ってください。」
ダニエルはふわりと微笑んだ。エドガーも隣でニコニコしている。そんな2人につられてトウヤも優しい顔つきになった。
「あ、そういえば、さっき言ってた精鋭ってエドガー様達のことですか?」
「ええええ!そ、そんなわけーー・・」
「はい、そうです。トウヤ様と契約された4人の方々のお強さはメランでも有名ですから。」
「へぇ~!やっぱ強いんですね、あの人たち。エドガー様もぱっと見、ゴリゴリには見えないですけど。武器使うんですか?魔法だけですか?」
「ひぇ、わ、私は、接近戦に持ち込みたくないから・・蔓で捕獲してこの弓矢で、し、仕留める。矢には魔力を込めるんだ。」
ブゥンという音と共にエドガーの左手に弓矢が現れる。魔力が高い人は、武器を具現化出来るらしい。聞いたことはあったが、見たのは初めてだ。トウヤは「すげーすげー!」と拍手している。
褒められると思っていなかったエドガーは恥ずかしそうに頬を赤らめ、また微笑んだ。
神殿の隣にある建物は神官たちや神殿を訪れる要人が使う建物らしい。寝泊まりも出来るし、先ほどトウヤが行った食堂なんかもある。
部屋までダニエルとエドガーが送ってくれる。部屋に着くまでの間、ダニエルから魔物が襲ってきたあの日の話を聞かせてもらった。
「あの日、街に侵入した魔物は全部で23体確認されています。全て大型、中型のもので、王都騎士団だけでは、歯が立たなかったでしょう。・・不幸中の幸いですが、他領地の精鋭が滞在中でしたので、被害も最小限だったと思われます。」
「23体・・・あんなのが?あの・・・死んだ人は・・いないですよね・・?」
「・・・残念ですが、数名おりました。怪我人も、です。」
「そうですか・・・・」
トウヤは黙り込む。自分がもっと早く黒の魔法が使えていたら、気を失わず、他の場所向かって行けていたら・・・考えるとキリがない。
そんなトウヤの思考に気付いたのか、ダニエルはふと足を止めて、トウヤの方を向いた。
「・・まさかご自身のせいだと思われてますか?」
「・・・・もっとうまく力を使えていれば、とは・・思いました。」
「何を言いますか!トウヤ様のおかげで、母子が助けられているのですよ?いいえ、それだけではありません。あの時、結界を繋ぎ止めてくれていなければ、もっと魔物が侵入して被害が拡大しています。」
「そ、そ、そうだよ、トウヤくん。私も戦闘に参加してたから、助けられた1人だよ?一般の人を守りながらあのままずっと戦うのは難しかったからね。あ、ありがとう。」
「・・・お礼なんて・・でも、助けられた人もいるなら・・・よかったです。・・・・・・んん~~!よーーっしゃ、ウジウジすんのここまで!」
そう言うとトウヤは腕をぐいーっと伸ばして背伸びをし、そのまま両手で頬をパンっと叩く。
「俺、沢山の人守れるように結界張るの頑張んなきゃ!まずは魔力を溜めないと、ですね!」
「ふふ、私、トウヤ様のその前向きなところ好きですよ。以前の・・何でしたっけ、ああ、質問攻め祭り、でしたか。あれは可愛らしかったですね。ふふ。」
「あ、ダニエルさんちょっとバカにしてないですか?何事も前向きに、は父さんの教えなんです。落ち込んでても前には進めませんから。」
「・・・素敵なお父様ですね。私に出来ることがあれば、お手伝い致しますので何でも仰ってください。」
ダニエルはふわりと微笑んだ。エドガーも隣でニコニコしている。そんな2人につられてトウヤも優しい顔つきになった。
「あ、そういえば、さっき言ってた精鋭ってエドガー様達のことですか?」
「ええええ!そ、そんなわけーー・・」
「はい、そうです。トウヤ様と契約された4人の方々のお強さはメランでも有名ですから。」
「へぇ~!やっぱ強いんですね、あの人たち。エドガー様もぱっと見、ゴリゴリには見えないですけど。武器使うんですか?魔法だけですか?」
「ひぇ、わ、私は、接近戦に持ち込みたくないから・・蔓で捕獲してこの弓矢で、し、仕留める。矢には魔力を込めるんだ。」
ブゥンという音と共にエドガーの左手に弓矢が現れる。魔力が高い人は、武器を具現化出来るらしい。聞いたことはあったが、見たのは初めてだ。トウヤは「すげーすげー!」と拍手している。
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