【完結】透明の石

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メラン編

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エドガーは本当にスケッチブックを持ってきそうな勢いだったが、「瞳の色ならいつでも見ていいのでスケッチするのはやめてください」とトウヤが必死に止めた。思わぬ提案に「そんななことしていいんですか?」とエドガーは目を輝かせ喜んでいた。 
エドガーの思考が読めないが、とりあえずスケッチを阻止できたことに安堵したトウヤであった。

その代わりというわけではないが、イーサンにもお願いしたように、トウヤは呼び捨てで呼んでほしいこと、敬語は使わないで欲しいことをエドガーに伝えた。
エドガーはぶんぶん顔を横に振っていたが、「俺、ただの17歳男なんで。お願いします」としつこくお願いすると、「じゃあ、トウヤ・・・」と妥協点に落ち着いたのだった。


「トウヤさ・・くん。わ、私の魔力も譲渡していいで・・・いいかな?」

「ふふ、エドガー様、俺からお願いしないといけないのに、すみません。よろしくお願いします。」

「じゃ、じゃあ、あっちに座りま・・座ろうか。倒れちゃったら危ないで・・あ、危ないからね。」

「・・・ゆっくりでいいですからね、エドガー様。何かすみません、ふふ。」

「ごごごめんね、慣れなくて・・・」


そんな2人の(微笑ましい)やりとりを見ていたダニエルが「こちらにどうぞ」と黒い柱に近い椅子へ案内してくれた。

トウヤはもはや手慣れたように頸をエドガーに見せる。同じ模様が自分の手首にあるはずなのにトウヤの模様を見て「やっぱり美しいです・・・」と独り言のようにエドガーは呟いた。
ハッと意識を引き戻し、恐る恐る手を伸ばす。

「じゃあ、さ、触るね。気持ち悪かったら、え、遠慮なく言ってね。」

「んふふ、はい。気持ち悪くないです。お願いします。」

壊れ物に触るようにそっと優しくエドガーが模様に触れる。
優しい、優しい温かさの魔力の熱が伝わってきた。流れ込む感覚に「んっ・・」と少しだけ声が漏れたが、にとんでもない方法で譲渡されたばかりである。「これくらい耐えてみせる!」と謎の気合いでトウヤは耐え抜いた(少し漏れたけど)。


「ありがとうございました、エドガー様。はい、どうですか?俺の色は。もいい色だと思うんですけど。」

トウヤはくるりとエドガーの方に振り向き、腰に手を当て自信に満ちた顔で瞳を見せた。
エドガーはそんなトウヤに少し驚いた様子で、目を丸くしている。

「・・ふふ。君の色はどの色も本当に美しいよ、トウヤくん。・・・ありがとう。」

そう言ったエドガーの顔はどこか誇らしげで、トウヤは自分の瞳が一層好きになったのだった。
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