【完結】透明の石

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メラン編

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「・・・おはよう、トウヤ。・・・何、その?」


両手に昼食だと思われるパンやソーセージを乗せた皿を持ち、仁王立ちでトウヤの瞳を覗き込むのはタミルである。
イーサンに魔力を譲渡された後、タミルやフィンなら小言を言えるが相手があのイーサンだったため大した反論もできず、熱と恥ずかしさから出た涙を目に浮かべ、無言でシーツに包まった。
シーツの外からくすくすと小さな笑い声が聞こえた時には「イーサン様、意外と感情豊かなのでは?」と思ったのである。

しばらく包まっていると部屋の扉が開く音がした。シーツからそろっと顔を出すとタミルが見えた。
トウヤが起きたことに気付き、喜んで近づいてきたタミルは、トウヤの瞳の色と赤い顔を見て、あったことに気付いたのである。

そして冒頭に戻るのだ。



「・・タミル、おはよう。魔力・・ありがとう。」

「手を握ってただけだし、ちょびっとだけだから全ー然気にしないで。・・で、何、その色。明らかにイーサン様の色じゃん。どんだけ・・んー、どうやって貰ったのかなぁ?」


「頸にだけですよ、タミル様。ね、トウヤ。」

「・・・・・・はい。」

「ねぇ~、今の間なぁにぃ~?しかもトウヤって呼んでるじゃーん。もう、トウヤはすぐ人を誑かすんだから!ダメだよぉ!」

「た、た、たぶら・・・!へ、変な言い方すんな!大体はイーサン様が急に!」

って何、ねぇ、トウヤ。言ってみてよぉ。怒んないからぁ。」

「別にタミルに怒られる筋合いはない!~~っ、早く昼飯食えよ!俺はもう少し寝る!」


そう言ってガバッとシーツをかぶってトウヤは押し黙った。

いつの間にかベッドのすぐ近くまで忍び寄っていたタミルに「あとで絶対聞き出すからね、トウヤ。オ・ヤ・ス・ミ」と囁かれ、トウヤはふるっと身震いをした。

ああ、何をされるんだろう・・と心配になったが、目を閉じているうちに本当に眠くなってきてそのままトウヤは寝てしまったのだった。


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