【完結】透明の石

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メラン編

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『・・・・・・・』

「・・・・いや、俺悪くねーし。」


目を開けるとディーがいた。
そっか、俺また倒れたんだなとトウヤは体を起こしながら状況を理解する。起きた時にフィンから何か言われそうだ。



『まず魔力の調整ができるようになるんだな』

「・・・そうする。毎回倒れてたら話になんねーよ」

『まあ、意識して使う初めての黒の魔法結界にしては上出来だ』

「そ、そうだろぉ~!俺やっぱやればできるやつ・・・って、ああ!ディー!何だよ、あの模様!勝手に魔力吸い取るなんか怖すぎだろ!」

『怖くなんぞないではないか。契約者の魔力を全て奪うわけではない。譲り受ける魔力の量はお前が



自分が決めている、すなわち今回の場合はトウヤが無意識にそれだけの魔力欲していたということだ。
そういえば最初に模様に触れたエドガーからは相当な量を吸い取っていた。
殆ど魔力が残っていなかったから状態と同じだったんだろう。その勢いのままエドガーの魔力を吸い取ってしまったのだ。
新たな課題に頭を抱え唸っているトウヤを見てディーがため息をつく。

『大事なのは想像イメージだ。身体の中に花瓶があると思え。トウヤの花瓶はかなり大きいと思っていい。そこにどれだけ魔力を溜めたいのか具体的に想像すればいいだけだ』

簡単に言うなよ、とトウヤは思う。
魔力は普通体力と同じようにある程度休息をとれば回復する。
トウヤは今まで魔法に頼ることもなかったし、魔力を使いすぎることもなかった。
ましてや魔力譲渡なんぞ今までされたことがなかったのだ。それがここ数日でこの変わり様である。
割と順応性の高いトウヤでもかなり難易度が高い。
何と教え方が大雑把ななのだろう、とトウヤは再び頭を抱えた。


『私もこの魔法模様には世話になった。身体に触って魔力譲渡など時間がかかりすぎるからな。・・ああ、彼奴あやつが言っておった方法は思いつきもしなかったが、試すのも良かろう。何より面白そうだ』

「彼奴?誰のことだ?」

『朱の契約者だ。よほどお前に惚れているのだろう。結構なことだ』


朱ということはフィンのことだ。
フィンが言っていた方法・・・?とトウヤは思い返して、顔を瞬時に赤くさせた。


「んな、な、何いっ・・て!俺は模様これからの譲渡で十分だ!!」

『ほお、初心うぶなものよの。模様と唾液と併用すれば一気に譲渡できるではないか。実に合理的だと思うがな、くくっ』

助言に見せかけて揶揄っている。
そう確信したトウヤは益々顔を赤くさせ叫んだ。




高魔力持ち魔力馬鹿は頭も馬鹿なんじゃねーーーのぉーーーー!」


いつだったか我慢した本音を、夢の中であるが思う存分ぶち撒けたトウヤだったのである。




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