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メラン編
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気付けば外が明るくなってきた。
ダニエルは黒神から下った神託の内容を、トウヤはディーと立てた作戦をみんなに伝えた。
「まずはメランの結界を何とかします。でも完全に張り直すにはまだ足りないんです。でも、このまま放置するのも危ないし、とりあえず今から特にやばそうな場所を見つけて結界を張ります。」
「あ?今からぁ?お前またぶっ倒れるんじゃねーの?」
「うう・・否定はできないけど、使う魔力の調整も慣れなきゃいけないんで・・・倒れない程度に・・やってみます。」
トウヤは黒の魔法、というより魔法そのものに慣れていない。
生活で使う魔法もそこまで多用していなかった。限界点を見極めなければ、実戦に出た時、ただの役立たずになりかねない。
少しずつ、だが急ぎつつ、トウヤは魔法になれる必要があった。
そんなトウヤにあまり納得はしていないフィンだったが、やる気のあるやつは好きだ。
トウヤを励ますつもりだったのだろうが、「おっし、また舐めてやるよ!」と余計な一言を言い放つのである。
そんなフィンを無視して、トウヤはダニエルに神殿で一番高く、空全体が見渡せるところはどこか尋ねた。
ダニエルは少し考えた後「案内致します」とトウヤに頭を下げた。
万が一を考え、トウヤと契約した4人も一緒に着いて行くことになった。
結界を張る途中でもすぐ魔力の譲渡ができるように、そしてまた魔物が来ても対処できるようにするためである。
ダニエルに案内されたのは、神殿の先端部分(トウヤ的にはトンガリと呼ぶ)に近い場所にある屋根の上だった。
普段は神殿の外壁の点検くらいしか登らないところらしい。
太陽がもうすぐ登りそうだ。
東の空が橙色になりかけている。
風が少し強い。かなり高い場所なので、風が吹くと結構肌寒い。
トウヤは空を見上げると、一旦目を瞑りすぅーっと深い呼吸をした。
そしてゆっくり目を開け、綻びを探し始める。
4人から貰った魔力のおかげなのかそれがよく見えた。
屋根は傾斜がついているため、トウヤがバランスを崩して落ちないように4人は散らばって見守っている。
トウヤが徐に両手を突き出すと、そこからあの黒い靄が次から次へと溢れ出てくる。
そしてトウヤがそれにふぅ、っと息を吹きかけると瞬く間に空へ散らばっていったのである。
結界の位置であろう空の中間地点まで辿り着いた靄は、いつものようにキラキラと透明な光を出して消えていく。
まるで明け方の星が煌めいたように、それはとても美しい光景だった。
その光景を見届けた後、フィンの予言通りトウヤはまた気を失ったのである。
ダニエルは黒神から下った神託の内容を、トウヤはディーと立てた作戦をみんなに伝えた。
「まずはメランの結界を何とかします。でも完全に張り直すにはまだ足りないんです。でも、このまま放置するのも危ないし、とりあえず今から特にやばそうな場所を見つけて結界を張ります。」
「あ?今からぁ?お前またぶっ倒れるんじゃねーの?」
「うう・・否定はできないけど、使う魔力の調整も慣れなきゃいけないんで・・・倒れない程度に・・やってみます。」
トウヤは黒の魔法、というより魔法そのものに慣れていない。
生活で使う魔法もそこまで多用していなかった。限界点を見極めなければ、実戦に出た時、ただの役立たずになりかねない。
少しずつ、だが急ぎつつ、トウヤは魔法になれる必要があった。
そんなトウヤにあまり納得はしていないフィンだったが、やる気のあるやつは好きだ。
トウヤを励ますつもりだったのだろうが、「おっし、また舐めてやるよ!」と余計な一言を言い放つのである。
そんなフィンを無視して、トウヤはダニエルに神殿で一番高く、空全体が見渡せるところはどこか尋ねた。
ダニエルは少し考えた後「案内致します」とトウヤに頭を下げた。
万が一を考え、トウヤと契約した4人も一緒に着いて行くことになった。
結界を張る途中でもすぐ魔力の譲渡ができるように、そしてまた魔物が来ても対処できるようにするためである。
ダニエルに案内されたのは、神殿の先端部分(トウヤ的にはトンガリと呼ぶ)に近い場所にある屋根の上だった。
普段は神殿の外壁の点検くらいしか登らないところらしい。
太陽がもうすぐ登りそうだ。
東の空が橙色になりかけている。
風が少し強い。かなり高い場所なので、風が吹くと結構肌寒い。
トウヤは空を見上げると、一旦目を瞑りすぅーっと深い呼吸をした。
そしてゆっくり目を開け、綻びを探し始める。
4人から貰った魔力のおかげなのかそれがよく見えた。
屋根は傾斜がついているため、トウヤがバランスを崩して落ちないように4人は散らばって見守っている。
トウヤが徐に両手を突き出すと、そこからあの黒い靄が次から次へと溢れ出てくる。
そしてトウヤがそれにふぅ、っと息を吹きかけると瞬く間に空へ散らばっていったのである。
結界の位置であろう空の中間地点まで辿り着いた靄は、いつものようにキラキラと透明な光を出して消えていく。
まるで明け方の星が煌めいたように、それはとても美しい光景だった。
その光景を見届けた後、フィンの予言通りトウヤはまた気を失ったのである。
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