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メラン編
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トウヤはフィンにビンタをかました後、猫のような素早さで部屋の端っこに移動し、体操座りをして顔を埋めている。
隠れていない耳は真っ赤だ。
一方見事なビンタを食らったフィンは「俺、そんな悪ぃことしたか?」と大層不満げであった。
あのベロン、の瞬間を見ていた要人たちはフィンの破天荒ぶりにだいぶ引いていた。当たり前である。
エドガーは研究心が疼きながらも顔を真っ赤にして、
イーサンは嫌なものを見るように顔を顰めて、
ダニエルはトウヤと同じようにぷんすか怒って、
そして、タミルはバチバチと電気を纏いフィンに雷を落としたのである。
文字通り本当に落としたのだ。
フィンは間一髪で避けたが、タミルは何度も雷で追い回し、最終的にはエドガーがタミルを蔓でぐるぐる巻きにした。電気と植物は相性が悪い。
「三つ編み、お前今の本気だったろ。」
「・・・・・・僕、許さないからね。」
「今度はトウヤに許可取ってからするわ。」
「・・・やっぱ今すぐ始末する。」
「・・・もぉぉお!2人ともやめろ!それ以上喧嘩するなら今後一切口聞かないからな!」
見かねたトウヤが部屋の端っこから叫び、その場は何とかおさまった。
トウヤは深呼吸をしてから、ドスドスと歩いて椅子に座る。
俯いた顔は赤いままだが、怒る元気はあるらしい。
そんなトウヤにそろり、と再びエドガーが近づいた。
「あ、あの!トウヤ様、少し瞳を見せていただいても・・よ、よろしいですか?」
エドガーは恐る恐る、でも我慢できない様子でトウヤに話しかけた。
古代魔法を研究する物好きだ、トウヤの瞳の色も研究対象なのだろう。
トウヤは顔の熱を冷ますようにパタパタと手で仰いだ後、「とうぞ」とエドガーの方を真っ直ぐ向いた。
「うわぁ・・・美しいですね・・・」
いやエドガーの瞳の方が美しいですけどね、と心の中で呟きつつ、トウヤはまたもや恥ずかしさと戦っている。
「は、初めてこんな色見ました・・・!黒というよりはやや紺色・・といったところでしょうか?タミル様のお色も混じっているからキラキラ輝いてます・・・」
「あ、ありがとうございます・・?多分まだ半分、いや3分の1も溜まってないと思うので、まだ濃くなると思います・・」.
「ってことは、全然魔力足りてねーじゃん。ほら、口開けろってトウヤ。」
「もう!フィン様は黙って!・・・トウヤ、明け方の空みたいな瞳だねぇ。似合ってるよぉ。はあ、好き・・・」
言い出しっぺのエドガーの後ろから先ほどまで喧嘩していたフィンとタミルもまじまじとトウヤの瞳を覗き込んでいる。
トウヤは自分で確認できないが、エドガーの感想で大体色が予想できた。
だが、この量ではまだ足りないことが感覚でわかるのだ。
『魔力が溜まれば使い方は身体が知っておる』
ディーはそう言っていたが、確かに分かる。本当に不思議なものだ。
自分でもわからないことを身体が知っている。そのチグハグさに何だか身体がむずむずするが、こればかりは慣れて自分の中で帳尻を合わせていくしかないだろうな、とトウヤは考えるのだった。
隠れていない耳は真っ赤だ。
一方見事なビンタを食らったフィンは「俺、そんな悪ぃことしたか?」と大層不満げであった。
あのベロン、の瞬間を見ていた要人たちはフィンの破天荒ぶりにだいぶ引いていた。当たり前である。
エドガーは研究心が疼きながらも顔を真っ赤にして、
イーサンは嫌なものを見るように顔を顰めて、
ダニエルはトウヤと同じようにぷんすか怒って、
そして、タミルはバチバチと電気を纏いフィンに雷を落としたのである。
文字通り本当に落としたのだ。
フィンは間一髪で避けたが、タミルは何度も雷で追い回し、最終的にはエドガーがタミルを蔓でぐるぐる巻きにした。電気と植物は相性が悪い。
「三つ編み、お前今の本気だったろ。」
「・・・・・・僕、許さないからね。」
「今度はトウヤに許可取ってからするわ。」
「・・・やっぱ今すぐ始末する。」
「・・・もぉぉお!2人ともやめろ!それ以上喧嘩するなら今後一切口聞かないからな!」
見かねたトウヤが部屋の端っこから叫び、その場は何とかおさまった。
トウヤは深呼吸をしてから、ドスドスと歩いて椅子に座る。
俯いた顔は赤いままだが、怒る元気はあるらしい。
そんなトウヤにそろり、と再びエドガーが近づいた。
「あ、あの!トウヤ様、少し瞳を見せていただいても・・よ、よろしいですか?」
エドガーは恐る恐る、でも我慢できない様子でトウヤに話しかけた。
古代魔法を研究する物好きだ、トウヤの瞳の色も研究対象なのだろう。
トウヤは顔の熱を冷ますようにパタパタと手で仰いだ後、「とうぞ」とエドガーの方を真っ直ぐ向いた。
「うわぁ・・・美しいですね・・・」
いやエドガーの瞳の方が美しいですけどね、と心の中で呟きつつ、トウヤはまたもや恥ずかしさと戦っている。
「は、初めてこんな色見ました・・・!黒というよりはやや紺色・・といったところでしょうか?タミル様のお色も混じっているからキラキラ輝いてます・・・」
「あ、ありがとうございます・・?多分まだ半分、いや3分の1も溜まってないと思うので、まだ濃くなると思います・・」.
「ってことは、全然魔力足りてねーじゃん。ほら、口開けろってトウヤ。」
「もう!フィン様は黙って!・・・トウヤ、明け方の空みたいな瞳だねぇ。似合ってるよぉ。はあ、好き・・・」
言い出しっぺのエドガーの後ろから先ほどまで喧嘩していたフィンとタミルもまじまじとトウヤの瞳を覗き込んでいる。
トウヤは自分で確認できないが、エドガーの感想で大体色が予想できた。
だが、この量ではまだ足りないことが感覚でわかるのだ。
『魔力が溜まれば使い方は身体が知っておる』
ディーはそう言っていたが、確かに分かる。本当に不思議なものだ。
自分でもわからないことを身体が知っている。そのチグハグさに何だか身体がむずむずするが、こればかりは慣れて自分の中で帳尻を合わせていくしかないだろうな、とトウヤは考えるのだった。
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