31 / 128
メラン編
31
しおりを挟む
目を開けると白と黒だった。
「・・・よお。俺、もしかして死んだ?」
『・・死んでおらぬ。無茶をしおって』
目の前には何やら不機嫌そうなディーが腕組みをしてトウヤを見ている。
「はあ?!だってあれは身体から勝手に出てきたんだよ!お、お陰で、た、助かったみたいだけどさ!何だよ!あれ!」
『・・・あれが黒の魔法だ。お前は魔力がまだ十分に溜まっていないのに、力任せに使ったから・・倒れたのだ』
あの黒い靄がねぇ・・・どうせならもっと見栄えのする色がよかった、とトウヤは思ったが口には出さないでおいた。
「必死だったから・・・訳わかんなかったけど・・。そっか、俺本当に黒の魔法使えるんだな。やっと信じたわ。」
『私があれほど説明したではないか!・・・まあよい。足の傷もその時の魔法で消えておる。結界のほころびも少しは修復できた。・・・魔力は殆ど残っていないがな』
「・・・あれ?じゃあ何でちゃんと人間の形なわけ?俺に魔力貯まってないとモヤモヤ人間になるんじゃなかったの?」
『お前は今中央神殿の中心に寝かされておる。柱の近くだ。魔力はそこから多少は補える』
「えっ!そ、そんなところに寝かされてんの!?は、恥ずかしい・・・」
トウヤは自分の姿を想像し、恥ずかしさに身を震わせた。
『何馬鹿なことを言っている。こうなったからには、急いでもらうぞ。また魔物が入ってきてからでは遅いのだ』
だって恥ずかしいじゃん・・・とまだ身を震わせているトウヤを無視し、ディーはこれからの話を始めた。
ディーとトウヤの作戦会議の始まりである。
① 朱、蒼、黄、翠の高魔力持ちから魔力を譲渡してもらう
② メランの結界を張り直す
③ イグニス、フラーウム、ヒュドール、シェマフにそれぞれ赴き、結界を張る
④ 結界内に閉じ込めた魔物を浄化、殲滅する
~完~
『私の時には、メランの結界までで終わってしまった。他領地の神殿だけは神官たちが必死に結界を張っているだろうが、国を守るためには街ごと結界を張る方が確実だ。任せたぞ、トウヤ』
「いやいやいやいや、簡単に言うなよ。俺、黒の魔法初心者だぜ。」
『魔力が溜まれば使い方は身体が知っておる。そして、後継者の誕生に合わせて、各属性選りすぐりの高魔力持ちが生まれているはずだ』
「・・・なんだ、その計画的犯行は・・・」
確かにタミルもフィン様も抜きん出た魔力持ちだと聞いた。
なるほど、神の仕業か・・とトウヤは頭を抱えた。
『この襲撃が生誕祭でよかったかもしれぬ。・・お前には少々痛い思いをさせたが。ちょうど要人たちが揃い踏みだろう。話をつけると良い』
「はあ?俺、そんな偉い人ばっかり相手できねーよ!・・ん?タミルは別、いや、フィン様も・・・んん?」
『中央の神官には神託を下しておる。後は任せたぞ、トウヤ』
「はぁぁぁあ?!何勝手に話終わらせてんだ!ちょっ、ま、待てってーー・・」
消えていくディーを必死に追いかけようとするトウヤ。
それを、ふふんと満足げに見下ろしているディーの顔が見えた。
その満足げな顔を最後に、白と黒の世界は強制終了(ディーによって)されたのである。
「・・・よお。俺、もしかして死んだ?」
『・・死んでおらぬ。無茶をしおって』
目の前には何やら不機嫌そうなディーが腕組みをしてトウヤを見ている。
「はあ?!だってあれは身体から勝手に出てきたんだよ!お、お陰で、た、助かったみたいだけどさ!何だよ!あれ!」
『・・・あれが黒の魔法だ。お前は魔力がまだ十分に溜まっていないのに、力任せに使ったから・・倒れたのだ』
あの黒い靄がねぇ・・・どうせならもっと見栄えのする色がよかった、とトウヤは思ったが口には出さないでおいた。
「必死だったから・・・訳わかんなかったけど・・。そっか、俺本当に黒の魔法使えるんだな。やっと信じたわ。」
『私があれほど説明したではないか!・・・まあよい。足の傷もその時の魔法で消えておる。結界のほころびも少しは修復できた。・・・魔力は殆ど残っていないがな』
「・・・あれ?じゃあ何でちゃんと人間の形なわけ?俺に魔力貯まってないとモヤモヤ人間になるんじゃなかったの?」
『お前は今中央神殿の中心に寝かされておる。柱の近くだ。魔力はそこから多少は補える』
「えっ!そ、そんなところに寝かされてんの!?は、恥ずかしい・・・」
トウヤは自分の姿を想像し、恥ずかしさに身を震わせた。
『何馬鹿なことを言っている。こうなったからには、急いでもらうぞ。また魔物が入ってきてからでは遅いのだ』
だって恥ずかしいじゃん・・・とまだ身を震わせているトウヤを無視し、ディーはこれからの話を始めた。
ディーとトウヤの作戦会議の始まりである。
① 朱、蒼、黄、翠の高魔力持ちから魔力を譲渡してもらう
② メランの結界を張り直す
③ イグニス、フラーウム、ヒュドール、シェマフにそれぞれ赴き、結界を張る
④ 結界内に閉じ込めた魔物を浄化、殲滅する
~完~
『私の時には、メランの結界までで終わってしまった。他領地の神殿だけは神官たちが必死に結界を張っているだろうが、国を守るためには街ごと結界を張る方が確実だ。任せたぞ、トウヤ』
「いやいやいやいや、簡単に言うなよ。俺、黒の魔法初心者だぜ。」
『魔力が溜まれば使い方は身体が知っておる。そして、後継者の誕生に合わせて、各属性選りすぐりの高魔力持ちが生まれているはずだ』
「・・・なんだ、その計画的犯行は・・・」
確かにタミルもフィン様も抜きん出た魔力持ちだと聞いた。
なるほど、神の仕業か・・とトウヤは頭を抱えた。
『この襲撃が生誕祭でよかったかもしれぬ。・・お前には少々痛い思いをさせたが。ちょうど要人たちが揃い踏みだろう。話をつけると良い』
「はあ?俺、そんな偉い人ばっかり相手できねーよ!・・ん?タミルは別、いや、フィン様も・・・んん?」
『中央の神官には神託を下しておる。後は任せたぞ、トウヤ』
「はぁぁぁあ?!何勝手に話終わらせてんだ!ちょっ、ま、待てってーー・・」
消えていくディーを必死に追いかけようとするトウヤ。
それを、ふふんと満足げに見下ろしているディーの顔が見えた。
その満足げな顔を最後に、白と黒の世界は強制終了(ディーによって)されたのである。
応援ありがとうございます!
6
お気に入りに追加
315
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる