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メラン編
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魔物が次から次へと中に入ってくる。
それと同時に、ゾクリ、と背筋が凍りそうな嫌な気配が強まった。
人々は更に正気を失い、泣いたり、叫んだりしながら神殿へと走っている。
「ミナ、大丈夫だからな。俺が母さんのところに連れていってやる。」
魔物が中に入ってからすぐ、彼方此方から攻撃魔法の閃光が見える。
街にいる騎士団や冒険者達が応戦しているようだ。
トウヤは気合を入れ直し、ミナを抱え前を向いて走った。
「あまり上空で攻撃するな!落下した時の街の損害が大きい!低空飛行になったときを狙え!」
タミルの護衛騎士、ダスールが周りに指示を出す。
各領地の騎士たちも応戦し、即座に協力体制を整えた。
タミル、そしてフィンはそれぞれ単独で攻撃を仕掛けに行ってしまった。
他の領地の要人たちも似たようなものだろう。
魔力馬鹿は基本単独で攻撃しに行く。
「タミル様、あまり街を破壊しないでくださいね・・」と心で祈りつつ、続けざまに指示を出した。
ハッハッ、と息が切れて来た。
細身のトウヤは必死になって走る。
「あ!お兄ちゃん!もうすぐだ!がんばって!」
「お、おう!しっかり捕まっとけよっ!」
門がもう近い。
あそこまで行けばーーーーー・・・!
トウヤがそう安堵しかけた時。
ブワっと物凄い突風が吹き、瓦礫や窓ガラスの破片が飛び散った。
トウヤとミナの身体も吹き飛ばされたが、咄嗟にミナを抱え込む。
あまりの衝撃に一瞬意識が飛んだが、すぐに引き戻すとパラパラと何かの破片の身体に当たっていた。
「ミ、ミナ!大丈夫か?!怪我してないか?!」
「う・・うう。何があったのぉ?ひっく、怪我はしてないぃ。お兄ちゃん守ってくれたんでしょぉ。ありがとぉ。ひっく。」
泣いてはいるが、あの転んだ怪我以外は大丈夫そうだ。
ミナの状態を確認していると、神殿の門の奥から「おい!後ろ!!兄ちゃんたち早く逃げろ!」と叫ぶ声が聞こえる。
後ろを振り返ると、そこにはギザギザした分厚そうな羽を生やした大型の魔物がいた。
トウヤの5倍くらいの身長だろうか、更に横にも大きい。
ギャッギャッ、と気持ち悪い声をあげ、こちらに近づいて来る。
「ミナ!一人で門まで走れ!!!早く!!!!」
トウヤは力の限りそう叫んだ。
そのあまりの大きさに驚いたミナは、ダッと駆け出す。
必死に走るミナの後ろ姿を見て「走れるじゃん・・」とホッと胸を撫で下ろした。
そのトウヤの足には、ガラスが刺さっている。
履いていた木綿のズボンにジワジワと血が滲み出す。
「このクソヤローが。」
トウヤはニタニタしたような顔つきの魔物をただ睨むことしか出来なかった。
それと同時に、ゾクリ、と背筋が凍りそうな嫌な気配が強まった。
人々は更に正気を失い、泣いたり、叫んだりしながら神殿へと走っている。
「ミナ、大丈夫だからな。俺が母さんのところに連れていってやる。」
魔物が中に入ってからすぐ、彼方此方から攻撃魔法の閃光が見える。
街にいる騎士団や冒険者達が応戦しているようだ。
トウヤは気合を入れ直し、ミナを抱え前を向いて走った。
「あまり上空で攻撃するな!落下した時の街の損害が大きい!低空飛行になったときを狙え!」
タミルの護衛騎士、ダスールが周りに指示を出す。
各領地の騎士たちも応戦し、即座に協力体制を整えた。
タミル、そしてフィンはそれぞれ単独で攻撃を仕掛けに行ってしまった。
他の領地の要人たちも似たようなものだろう。
魔力馬鹿は基本単独で攻撃しに行く。
「タミル様、あまり街を破壊しないでくださいね・・」と心で祈りつつ、続けざまに指示を出した。
ハッハッ、と息が切れて来た。
細身のトウヤは必死になって走る。
「あ!お兄ちゃん!もうすぐだ!がんばって!」
「お、おう!しっかり捕まっとけよっ!」
門がもう近い。
あそこまで行けばーーーーー・・・!
トウヤがそう安堵しかけた時。
ブワっと物凄い突風が吹き、瓦礫や窓ガラスの破片が飛び散った。
トウヤとミナの身体も吹き飛ばされたが、咄嗟にミナを抱え込む。
あまりの衝撃に一瞬意識が飛んだが、すぐに引き戻すとパラパラと何かの破片の身体に当たっていた。
「ミ、ミナ!大丈夫か?!怪我してないか?!」
「う・・うう。何があったのぉ?ひっく、怪我はしてないぃ。お兄ちゃん守ってくれたんでしょぉ。ありがとぉ。ひっく。」
泣いてはいるが、あの転んだ怪我以外は大丈夫そうだ。
ミナの状態を確認していると、神殿の門の奥から「おい!後ろ!!兄ちゃんたち早く逃げろ!」と叫ぶ声が聞こえる。
後ろを振り返ると、そこにはギザギザした分厚そうな羽を生やした大型の魔物がいた。
トウヤの5倍くらいの身長だろうか、更に横にも大きい。
ギャッギャッ、と気持ち悪い声をあげ、こちらに近づいて来る。
「ミナ!一人で門まで走れ!!!早く!!!!」
トウヤは力の限りそう叫んだ。
そのあまりの大きさに驚いたミナは、ダッと駆け出す。
必死に走るミナの後ろ姿を見て「走れるじゃん・・」とホッと胸を撫で下ろした。
そのトウヤの足には、ガラスが刺さっている。
履いていた木綿のズボンにジワジワと血が滲み出す。
「このクソヤローが。」
トウヤはニタニタしたような顔つきの魔物をただ睨むことしか出来なかった。
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