24 / 128
メラン編
24
しおりを挟む
パチっと目を覚ます。
トウヤは綺麗な白い天井を見つめたまましばらく起き上がらなかった。
「・・・夢だけど、ハッキリ覚えてる・・・」
あのトウヤの夢の最後。
沈黙を貫こうとするトウヤに、ディーは呆れていたが、しばらく静観した後、逆にこれは好都合とばかりに付け加えて話し始めたのである。
『夢だからと蔑ろにされては困る。私が本物だと言う証拠を残そう』
『この国の結界はもう綻びかけている。ことを急いだほうがいい』
『各属性の強い魔力を貰え。柱に近づくのもいい。そうすることでお前の力が使える』
それとーーー・・・
『明日は気をつけろ。嫌な予感がする』
そして冒頭に戻るのだ。
「・・・好き勝手言いやがって。証拠なんてどこにもーー・・・」
ディーが言った証拠を手当たり次第探す。だが、トウヤの見える範囲には何も変化は無いのだ。
「・・・やっぱ夢は夢だ。」
「んあっ!・・・・・なぁんだ、夢だったか・・俺のハーレム・・・。あ、トウヤおはよ。何してんだ?」
「お、おはよ。どんな夢だよ・・。なあ、ハンス。変なこと頼むんだけどさ、俺の身体、何か変なとこないか見てくれないか・・・?」
あれは夢だ、でもディーとのやりとりがそれを否定してくる。
「変なとこぉ?お前、俺が寝てる間に一体何を・・・イテッ!だから靴投げんなって!わかった、わかったよ!こっち来いよ。」
「・・・頼んだ。」
トウヤは念のため、シャツを脱いで上半身裸になった。
隙間の空いた手を両目に当て、「いやん、大胆ね」とほざいたハンスの脛に蹴りを入れ、身体を見てもらう。
ベッドに腰掛けたままのハンスの前に立ち、両腕を上にあげてみるが何もないようだ。
「・・・やっぱ夢か。すまん、ハンス。もういいや、サンキュ。」
「何だ?変な夢でも見たんか?一応後ろ向いてみろよ。ほら。」
言われた通りくるりとトウヤは後ろを向いた。
「あ」
「あ?」
「トウヤ」
「な、なんだ」
「お前・・・見たことない模様が・・・、タトゥーか?オシャレさんだな?ん?でも昨日は無かったよな・・?」
「タ、タトゥー?!そ、そんなもん入れねーよ!ど、どこに模様があるんだ?!」
「どこにって・・・ほら、ここだよ。」
「ここ」とハンスに突かれたのは後ろの首の付け根部分。そう、頸だ。
頸にディーが残した確かな証拠があったのである。
「「・・・・・・・」」
何とも言えない空気から、メラン4日目は始まった。
トウヤは綺麗な白い天井を見つめたまましばらく起き上がらなかった。
「・・・夢だけど、ハッキリ覚えてる・・・」
あのトウヤの夢の最後。
沈黙を貫こうとするトウヤに、ディーは呆れていたが、しばらく静観した後、逆にこれは好都合とばかりに付け加えて話し始めたのである。
『夢だからと蔑ろにされては困る。私が本物だと言う証拠を残そう』
『この国の結界はもう綻びかけている。ことを急いだほうがいい』
『各属性の強い魔力を貰え。柱に近づくのもいい。そうすることでお前の力が使える』
それとーーー・・・
『明日は気をつけろ。嫌な予感がする』
そして冒頭に戻るのだ。
「・・・好き勝手言いやがって。証拠なんてどこにもーー・・・」
ディーが言った証拠を手当たり次第探す。だが、トウヤの見える範囲には何も変化は無いのだ。
「・・・やっぱ夢は夢だ。」
「んあっ!・・・・・なぁんだ、夢だったか・・俺のハーレム・・・。あ、トウヤおはよ。何してんだ?」
「お、おはよ。どんな夢だよ・・。なあ、ハンス。変なこと頼むんだけどさ、俺の身体、何か変なとこないか見てくれないか・・・?」
あれは夢だ、でもディーとのやりとりがそれを否定してくる。
「変なとこぉ?お前、俺が寝てる間に一体何を・・・イテッ!だから靴投げんなって!わかった、わかったよ!こっち来いよ。」
「・・・頼んだ。」
トウヤは念のため、シャツを脱いで上半身裸になった。
隙間の空いた手を両目に当て、「いやん、大胆ね」とほざいたハンスの脛に蹴りを入れ、身体を見てもらう。
ベッドに腰掛けたままのハンスの前に立ち、両腕を上にあげてみるが何もないようだ。
「・・・やっぱ夢か。すまん、ハンス。もういいや、サンキュ。」
「何だ?変な夢でも見たんか?一応後ろ向いてみろよ。ほら。」
言われた通りくるりとトウヤは後ろを向いた。
「あ」
「あ?」
「トウヤ」
「な、なんだ」
「お前・・・見たことない模様が・・・、タトゥーか?オシャレさんだな?ん?でも昨日は無かったよな・・?」
「タ、タトゥー?!そ、そんなもん入れねーよ!ど、どこに模様があるんだ?!」
「どこにって・・・ほら、ここだよ。」
「ここ」とハンスに突かれたのは後ろの首の付け根部分。そう、頸だ。
頸にディーが残した確かな証拠があったのである。
「「・・・・・・・」」
何とも言えない空気から、メラン4日目は始まった。
10
お気に入りに追加
350
あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

カランコエの咲く所で
mahiro
BL
先生から大事な一人息子を託されたイブは、何故出来損ないの俺に大切な子供を託したのかと考える。
しかし、考えたところで答えが出るわけがなく、兎に角子供を連れて逃げることにした。
次の瞬間、背中に衝撃を受けそのまま亡くなってしまう。
それから、五年が経過しまたこの地に生まれ変わることができた。
だが、生まれ変わってすぐに森の中に捨てられてしまった。
そんなとき、たまたま通りかかった人物があの時最後まで守ることの出来なかった子供だったのだ。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる