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メラン編
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まただーーー・・。
気付けばトウヤはあの白と黒の世界に来ていた。
昨日よりは意識がハッキリしている。
夢だと分かっているが、やはり落ち着かない。
目の前の黒い柱の正面から今日はあの靄が出てきた。
昨日より形が定まっており、人間だと分かるが、性別までは判断できない。
『よ・・うや・・く・・あ・・えて、う・・れしい』
「・・俺は別に嬉しくない。お前、元は人間だろ?俺に何の用だ。」
『じ・・ぶん・・の・・こ・・に・
あい・・・に・・きた・だ・・・けだ』
こいつ、今自分の子会いにきたと言った。
誰かと勘違いしているのか?
トウヤは怪訝そうに顔を顰めた。
「俺はトウヤだ。お前の子じゃない。誰かと間違ってんだろ?」
『ト・・ウヤ・・・お・・ま・・・えは・・つ・・・ぎ・の・・・』
黒い靄はここまで言うと、ふわ~っと消えていった。
俺が次の・・・なんだ。
「気になるだろーーーがぁーー!」
ガバァっと身体を起こしながらそう叫んだトウヤの声に、ビックゥと驚いてハンスが飛び起きたのは言うまでもない。
「トウヤ~、あんな起こし方二度とやめてくれよ。心臓に悪い。」
「・・あれはすまんと思ってる。」
「おっ、何か楽しい夢でも見たのか?それともいやらし・・」
「朝からやめてくださいね、ケイン。」
「じょ、冗談だって。シャロン。」
こうしてトウヤ達のメラン3日目が始まったのである。
今日はいよいよ生誕祭が始まる。
いつもより早く起きて(不本意な起き方だったが)、屋台に向かい準備をする。
朝早いというのに、街はすでに人で溢れかえっていた。
「朝だってのに、すげー人だな。屋台はまだ始まってないのに、みんなどこ行ってんだ?」
「トウヤも行くか?王宮前の大広場。生誕祭の前に各領地の要人達が揃って御目見するんだ。まだ屋台も開けないし、ハンスと行ってくるといい。」
「んーー、俺は別に・・」
「ええーーー!行こうよぉ、トウヤ。後ろ~~の方からでいいからさぁ。せっかくメランまで来たんだから王宮ぐらい近くで見たいよぉ~!」
「・・・ま、ちょっとだけなら。」
朝の起こし方(不本意)に申し訳ない気持ちもあったトウヤはハンスと共に少しだけ、王宮へ行くことにした。
王宮に続く坂道はさらに人でごった返していた。
人をかき分け、トウヤとハンスは大広場の後方、出入り口付近の場所を確保した。
ここならすぐ外へ出られる。
屋台のこともあるし、本当に少し見るだけだ。
「うへぇ、これが国の最高峰か。神殿も凄かったけど、王宮となると更に圧巻だな。」
「そうだな~、実際見るとすげーな。めんどくさかったけど、来てみるもんだな~。」
「だろぉ。たまには俺の提案にも乗ってくれたまえ~よ。・・イテテ!尻を抓んな!調子乗ってごめんって!」
トウヤがハンスの尻を抓っていた指を離した時、周囲からワァァァァっと、とんでもない歓声が聞こえてきた。
顔を上げると、目線のはるか先、王宮のバルコニーに各領地の要人たちが横一列に並び手を振っている。
「愛するガルムの民たちよ、よくぞ集まった。我らの偉大なる神、黒神様の生誕祭の始まりだ。」
王の声に合わせ、どこからともなく開始を知らせる花火があがった。
ワァァァァっとまた歓声が上がる。
周りのとんでもない声量に、トウヤは口を大きく開けて、「も・う・も・ど・る・ぞ」とハンスに伝える。
ハンスも首を縦に振って了承し、2人は大広場から外へ出ようとした。
するとその時、トウヤの左手の金の腕輪が熱を帯び始める。
「あ?なんだ・・・?変な感じする・・・え?」
ぐるんっと首を回し、王宮のバルコニーの方を見る。
遥か先で顔は見えないが、他の要人よりも背が低い金髪の少年がいる。
こっちを見てるーー・・?
「・・・いや、まさかな。」
トウヤは頭を振り、ハンスと共に今度こそ門の外に出た。
気付けばトウヤはあの白と黒の世界に来ていた。
昨日よりは意識がハッキリしている。
夢だと分かっているが、やはり落ち着かない。
目の前の黒い柱の正面から今日はあの靄が出てきた。
昨日より形が定まっており、人間だと分かるが、性別までは判断できない。
『よ・・うや・・く・・あ・・えて、う・・れしい』
「・・俺は別に嬉しくない。お前、元は人間だろ?俺に何の用だ。」
『じ・・ぶん・・の・・こ・・に・
あい・・・に・・きた・だ・・・けだ』
こいつ、今自分の子会いにきたと言った。
誰かと勘違いしているのか?
トウヤは怪訝そうに顔を顰めた。
「俺はトウヤだ。お前の子じゃない。誰かと間違ってんだろ?」
『ト・・ウヤ・・・お・・ま・・・えは・・つ・・・ぎ・の・・・』
黒い靄はここまで言うと、ふわ~っと消えていった。
俺が次の・・・なんだ。
「気になるだろーーーがぁーー!」
ガバァっと身体を起こしながらそう叫んだトウヤの声に、ビックゥと驚いてハンスが飛び起きたのは言うまでもない。
「トウヤ~、あんな起こし方二度とやめてくれよ。心臓に悪い。」
「・・あれはすまんと思ってる。」
「おっ、何か楽しい夢でも見たのか?それともいやらし・・」
「朝からやめてくださいね、ケイン。」
「じょ、冗談だって。シャロン。」
こうしてトウヤ達のメラン3日目が始まったのである。
今日はいよいよ生誕祭が始まる。
いつもより早く起きて(不本意な起き方だったが)、屋台に向かい準備をする。
朝早いというのに、街はすでに人で溢れかえっていた。
「朝だってのに、すげー人だな。屋台はまだ始まってないのに、みんなどこ行ってんだ?」
「トウヤも行くか?王宮前の大広場。生誕祭の前に各領地の要人達が揃って御目見するんだ。まだ屋台も開けないし、ハンスと行ってくるといい。」
「んーー、俺は別に・・」
「ええーーー!行こうよぉ、トウヤ。後ろ~~の方からでいいからさぁ。せっかくメランまで来たんだから王宮ぐらい近くで見たいよぉ~!」
「・・・ま、ちょっとだけなら。」
朝の起こし方(不本意)に申し訳ない気持ちもあったトウヤはハンスと共に少しだけ、王宮へ行くことにした。
王宮に続く坂道はさらに人でごった返していた。
人をかき分け、トウヤとハンスは大広場の後方、出入り口付近の場所を確保した。
ここならすぐ外へ出られる。
屋台のこともあるし、本当に少し見るだけだ。
「うへぇ、これが国の最高峰か。神殿も凄かったけど、王宮となると更に圧巻だな。」
「そうだな~、実際見るとすげーな。めんどくさかったけど、来てみるもんだな~。」
「だろぉ。たまには俺の提案にも乗ってくれたまえ~よ。・・イテテ!尻を抓んな!調子乗ってごめんって!」
トウヤがハンスの尻を抓っていた指を離した時、周囲からワァァァァっと、とんでもない歓声が聞こえてきた。
顔を上げると、目線のはるか先、王宮のバルコニーに各領地の要人たちが横一列に並び手を振っている。
「愛するガルムの民たちよ、よくぞ集まった。我らの偉大なる神、黒神様の生誕祭の始まりだ。」
王の声に合わせ、どこからともなく開始を知らせる花火があがった。
ワァァァァっとまた歓声が上がる。
周りのとんでもない声量に、トウヤは口を大きく開けて、「も・う・も・ど・る・ぞ」とハンスに伝える。
ハンスも首を縦に振って了承し、2人は大広場から外へ出ようとした。
するとその時、トウヤの左手の金の腕輪が熱を帯び始める。
「あ?なんだ・・・?変な感じする・・・え?」
ぐるんっと首を回し、王宮のバルコニーの方を見る。
遥か先で顔は見えないが、他の要人よりも背が低い金髪の少年がいる。
こっちを見てるーー・・?
「・・・いや、まさかな。」
トウヤは頭を振り、ハンスと共に今度こそ門の外に出た。
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