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メラン編
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スープを溢さないように、でも冷める前に、とやや小走りでトウヤはジャンの元へ向かった。
テントを張っている場所から少し離れた場所でジャンは焚き火をしながら見張りをしていた。
「あ、いたいた、ジャンさーん。スープ持ってきたっす。見張りお疲れです。」
「んー?トウヤくん?一人で野営から離れたら危ないぞ。・・でもありがとう。早速いただこう。」
「どうぞ、どうぞ。俺が作ったんですけど、母さんのレシピなんで。味は保証します。」
「・・へえ。トウヤくんのお手製か。そりゃ嬉しい。・・・そして本当にうまいな。香草を入れてるのか?良い香りだ。」
ジャンはその大きな口と空腹とが俟って、あっという間に食べ終わる。
そのあまりの早さにトウヤはポカンとしていたが、ハハハっと笑い出した。
「アハハっ、もっとデカい器があれば良かったっすね。お粗末さまです。口に合ったみたいでよかった。」
トウヤの小さな口が大きく開き、大きめな目を細めて楽しそうに笑っている。
昼間見せていた、少し警戒した猫のような表情とは打って変わった顔だった。
「ーーー・・ーな。」
「あー、おもしろかった。え?今なんか言ったっすか?おかわりですか?」
ジャンの小さな呟きはトウヤには届かなかった。
ジャンは取り繕ったような顔で、何でもないよ、ご馳走様。と言ってトウヤをテントまで送り届けたのである。
その後、思わず呟いた自分の言葉を頭の中で繰り返し思い出しては、はぁ、とため息をつくのであった。
「・・・愛おしい、だなんて初めて口にしたぞ。俺は。」
そして、ジャンの悶々とした夜がふけていくのである
テントを張っている場所から少し離れた場所でジャンは焚き火をしながら見張りをしていた。
「あ、いたいた、ジャンさーん。スープ持ってきたっす。見張りお疲れです。」
「んー?トウヤくん?一人で野営から離れたら危ないぞ。・・でもありがとう。早速いただこう。」
「どうぞ、どうぞ。俺が作ったんですけど、母さんのレシピなんで。味は保証します。」
「・・へえ。トウヤくんのお手製か。そりゃ嬉しい。・・・そして本当にうまいな。香草を入れてるのか?良い香りだ。」
ジャンはその大きな口と空腹とが俟って、あっという間に食べ終わる。
そのあまりの早さにトウヤはポカンとしていたが、ハハハっと笑い出した。
「アハハっ、もっとデカい器があれば良かったっすね。お粗末さまです。口に合ったみたいでよかった。」
トウヤの小さな口が大きく開き、大きめな目を細めて楽しそうに笑っている。
昼間見せていた、少し警戒した猫のような表情とは打って変わった顔だった。
「ーーー・・ーな。」
「あー、おもしろかった。え?今なんか言ったっすか?おかわりですか?」
ジャンの小さな呟きはトウヤには届かなかった。
ジャンは取り繕ったような顔で、何でもないよ、ご馳走様。と言ってトウヤをテントまで送り届けたのである。
その後、思わず呟いた自分の言葉を頭の中で繰り返し思い出しては、はぁ、とため息をつくのであった。
「・・・愛おしい、だなんて初めて口にしたぞ。俺は。」
そして、ジャンの悶々とした夜がふけていくのである
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