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メラン編
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ハンスの言った通り、昼食から帰ったあとすぐアルトに呼ばれ、数日後メランへ一緒に行くことになった。
「トウヤ、中央に行く時は、目の色を一応変えとけよ。変身魔法久しぶりだが、覚えてるか?」
「あー、はいはい。父さんと同じぐらいの朱でいいんだろ?ちゃんと覚えてるって、舐めんなよ。」
フンっと鼻を鳴らすトウヤを、よしよし、お前はできる子だなぁ、と撫でて、懲りもせずまた怒らせるのであった。
アルト家だけで幌馬車を借りることは殆どない。
お金もかかるし、いつもはそこまで沢山持って行かないからだ。
今回はハンス家の陶芸工房と一緒に納品しに行くため、大きめの幌馬車を借り、借料を折半する。
メランまでは馬車で約3日だ。
途中、魔物の出る森があるため、今回は隣の大きな街にあるギルドに依頼して護衛を雇うことにした。
自分の身は自分で守る、これが大前提のアルトやトウヤであるが、今回は大きな祭りに商品を持っていくため、それなりに荷物が多い。
大事な商品に傷が付いては困るのだ。
さらに馬車を狙う盗賊もいる。
安心に越したことはない、しかも今回はハンス家と割り勘だ。懐にもまだ優しい。
「というわけで、今回道中護衛をしてくれる冒険者のジャンさんだ。」
ゴリゴリの肉弾戦スタイルらしいぞぉ、っと紹介するアルトの横には、いかにも冒険者!という厳つい相貌のジャンが立っていた。
トウヤよりも年上、アルトよりは・・・だいぶ年下。おそらく20代前半くらいだろう。
「ジャンだ、よろしく。俺は基本この拳につけた魔道具で相手を直接殴って闘う。攻撃魔法も使えるから遠距離も多少は対応できる。安心してくれ。」
「うわ、かっこいいっすね、攻撃魔法!憧れるぅ~!ジャンさん、やっぱ雷使うんすか?!」
ハンスはジャンの蜂蜜のような黄色の瞳を見て興奮している。
属性に応じて、得意な攻撃魔法も決まる。
朱なら、火魔法
蒼なら、水魔法
翠なら、土魔法
黄は、雷魔法だ。
そして色が濃いほど魔力が強い。
ジャンの蜂蜜色の目を見て、ハンスは属性を推測したのである。
そして攻撃魔法を使えるのは、冒険者や騎士のようにある程度の訓練または修行を行った者だけだ。当然だが、前提として魔力が高くなくては、話にならない。
村に住んでいる者の中に攻撃魔法を使える者はここ最近いなかった。
料理をする時に、小さな火をつけたり、身体の汚れを綺麗にしたりするような生活魔法はトウヤやハンスでも使える。
「うーん、そうだなぁ。雷を落とすこともできるが、あれはかなり魔力使うからね。電気を放って攻撃する。でもまあ、魔法を使うことがない方が君達は心穏やかなんじゃないか?」
「・・・確かに。んじゃあ、いざとなった時はドーーンっと派手にお願いしまっす、ジャンさん。」
へへへ、と笑うハンスとは対照的に、気安くそんなこと言うんじゃない、とハンスの父、マルクルはパシンと息子の頭を叩いた。
そんな親子のやりとりを見ながらジャンは、おう!任せとけ、と胸を叩いて笑っている。
どうやらジャンは胸糞悪い冒険者では無さそうだ、とトウヤは胸を撫で下ろした。
冒険者の中には、自分より弱い人間に悪態をつく輩もいることを、トウヤは知っている。
あーあ、早く仕事終わらせて、またあのまぜ麺食べに行きてーなぁ、と重い足取りでトウヤは幌馬車の荷台に乗り込んだ。
「トウヤ、中央に行く時は、目の色を一応変えとけよ。変身魔法久しぶりだが、覚えてるか?」
「あー、はいはい。父さんと同じぐらいの朱でいいんだろ?ちゃんと覚えてるって、舐めんなよ。」
フンっと鼻を鳴らすトウヤを、よしよし、お前はできる子だなぁ、と撫でて、懲りもせずまた怒らせるのであった。
アルト家だけで幌馬車を借りることは殆どない。
お金もかかるし、いつもはそこまで沢山持って行かないからだ。
今回はハンス家の陶芸工房と一緒に納品しに行くため、大きめの幌馬車を借り、借料を折半する。
メランまでは馬車で約3日だ。
途中、魔物の出る森があるため、今回は隣の大きな街にあるギルドに依頼して護衛を雇うことにした。
自分の身は自分で守る、これが大前提のアルトやトウヤであるが、今回は大きな祭りに商品を持っていくため、それなりに荷物が多い。
大事な商品に傷が付いては困るのだ。
さらに馬車を狙う盗賊もいる。
安心に越したことはない、しかも今回はハンス家と割り勘だ。懐にもまだ優しい。
「というわけで、今回道中護衛をしてくれる冒険者のジャンさんだ。」
ゴリゴリの肉弾戦スタイルらしいぞぉ、っと紹介するアルトの横には、いかにも冒険者!という厳つい相貌のジャンが立っていた。
トウヤよりも年上、アルトよりは・・・だいぶ年下。おそらく20代前半くらいだろう。
「ジャンだ、よろしく。俺は基本この拳につけた魔道具で相手を直接殴って闘う。攻撃魔法も使えるから遠距離も多少は対応できる。安心してくれ。」
「うわ、かっこいいっすね、攻撃魔法!憧れるぅ~!ジャンさん、やっぱ雷使うんすか?!」
ハンスはジャンの蜂蜜のような黄色の瞳を見て興奮している。
属性に応じて、得意な攻撃魔法も決まる。
朱なら、火魔法
蒼なら、水魔法
翠なら、土魔法
黄は、雷魔法だ。
そして色が濃いほど魔力が強い。
ジャンの蜂蜜色の目を見て、ハンスは属性を推測したのである。
そして攻撃魔法を使えるのは、冒険者や騎士のようにある程度の訓練または修行を行った者だけだ。当然だが、前提として魔力が高くなくては、話にならない。
村に住んでいる者の中に攻撃魔法を使える者はここ最近いなかった。
料理をする時に、小さな火をつけたり、身体の汚れを綺麗にしたりするような生活魔法はトウヤやハンスでも使える。
「うーん、そうだなぁ。雷を落とすこともできるが、あれはかなり魔力使うからね。電気を放って攻撃する。でもまあ、魔法を使うことがない方が君達は心穏やかなんじゃないか?」
「・・・確かに。んじゃあ、いざとなった時はドーーンっと派手にお願いしまっす、ジャンさん。」
へへへ、と笑うハンスとは対照的に、気安くそんなこと言うんじゃない、とハンスの父、マルクルはパシンと息子の頭を叩いた。
そんな親子のやりとりを見ながらジャンは、おう!任せとけ、と胸を叩いて笑っている。
どうやらジャンは胸糞悪い冒険者では無さそうだ、とトウヤは胸を撫で下ろした。
冒険者の中には、自分より弱い人間に悪態をつく輩もいることを、トウヤは知っている。
あーあ、早く仕事終わらせて、またあのまぜ麺食べに行きてーなぁ、と重い足取りでトウヤは幌馬車の荷台に乗り込んだ。
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