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────見ただけで魔力がわかるなら、あの木の表紙の本を使わなくてもよかったんじゃないか。
ディランさんにそう尋ねると『人間にはそんなことできない』と悔しそう顔をして、何故かジェイスさんの方が慌てた様子で立ち上がり、呆気に取られていた。
「ディラン、お前・・・・・・まさか何の説明もなしにあの本を使ったのか!?」
「だって面倒くさかったんだもの。持ち出したのバレたら怒られるでしょ。」
「・・・・・・レヴィ、帰ろう。」
「ぶふっ!か、か、帰る!?今から?!」
「小僧が死ぬのも時間の問題かあ。達者でなあ。くふっ、」
「死!?何?!ちょ、ちょっと、誰か説明して!?」
竜人の女性はリーディアと言って、ディランさんとは長い付き合いらしい。
『小僧は私を名で呼ぶといい』と何故か特別な許可(?)をいただいて、恐る恐る『リーディア・・・様』と名前を口にすると大層満足そうに微笑んでいた。
リーディア様は大の酒好き。
ディランさんが持ってきた小さな酒樽(それでも結構量ある)が三十分も経たないうちに一つ空樽へ。
平然とした顔のまま、二つ目の酒樽の蓋を指先一つで弾き飛ばすこのお姉様、本当に底が知れない。
「・・・あれは触れた者を心身の状態を鑑定をする本だ。体の状態、病気の有無、魔力の性質から量まで全て。」
「・・・へ、へえ・・・」
「国宝級の禁書を・・・・・・禁書棚から持ち出したな?」
「え゛!?こっ、国ほっ、・・・・・・禁書!?」
ジェイスさんを見ながら、べえっと、不味いものを食べた時のように舌を出すディランさん。
空気を読んだカルマが端っこの方で手招きをする。
ふらふらとした足取りで、カルマの隣に座ったのも気がつかないくらいジェイスさんはディランさん集中状態だった。
「申請通るまで早くて半日よ?そんなに待てないわ。しかもレヴィちゃんのは"読めなかった"の。」
「まさかあの蟻みたいなやつですか・・・?」
「そーよ。まるで何かを隠すみたいに・・・・・・だからここまでわざわざ来たのよ。」
「・・・鑑定される側の同意は義務。レヴィが訴えれば、禁固刑だ。」
「禁・・・!?う、う、訴えたりしません!!」
「賢明な判断ね♡さすが俺のレヴィちゃん♡」
ちゅーっ、と口を尖らせ両手を伸ばしてきたディランさんにジェイスさんは風の塊のようなものを飛ばして追い払う。
リーディア様はそのやりとりをけたけた笑いながら見ていた。
・・・どうしよう。
カルマの隣が一番安全かもしれない未だかつてないこの状況を、どうしよう。
「竜は人より目と鼻がよくてなあ。魔力に敏感なんじゃ。」
「・・・そ、ういえば、騎士団にいる竜たちにも言われました。"俺たちみたいな匂い"がするって。」
「くふっ、ふ、ふふっ、楽しみだなあ。もう来るぞ。」
「・・・え?」
そう言って、リーディア様が上を見た。
俺もつられて上を向く。
洞窟内のぼこぼこした岩の天井があるだけ。
リーディア様と目が合うと、テーブル代わりにしていた大木をふわりと乗り越えて、俺の隣に座った。
俺と同じ黒い瞳が近づいて、緩やかに弧を描く。
優しい手つきで頭を二度撫でられた頃、さっきまで俺たちがいた天井の入り口があるあたりから土煙と共にとんでもなく大きな破壊音がした。
「戯けめ。壊しおったな。」
リーディア様の舌打ち、迫力がある。
すっと、立ち上がったリーディア様。
破壊音がした方から不機嫌そうに踏み鳴らす足音が、少しずつゆっくりと聞こえてきた。
ジェイスさんが片手を前に出し、小さくふっと息を吐く。
流れるような風が一気に吹いて、目の前の土煙があっという間に晴れていった。
「ニ十年振りかえ、イル。相変わらず加減を知らん奴じゃの。」
「・・・・・・(イル、)」
夜空のような、濃紺色の髪。
食いしばるように噛み締められた歯は鋭く、頭上の二本の角のうち、片方が途中から折れていた。
だから、片角────・・・
「小僧、なぜ泣く?」
「・・・・・・え・・・?」
定まらなくなっていた焦点が、赤い髪を捉える。
段々視界がはっきりとしていくと、俺を射抜く黒い瞳が見えた。
リーディア様の言ってる意味がよくわからなくて、俺は自分の頬に手を伸ばす。
手にしっとりとした湿り気を感じて、自分の手を見返した。
たった今、雨が空から落ちてきたみたいに、他人事のように思えた。
「わ、かりません・・・な、んで・・・俺・・・」
雫は勢いを増し、ぽたり、ぽたりと落ちてくる。
自分の意に反して溢れるそれを、どう止めていいのかわからない。目元を袖口で拭うと、ひりひりと少し痛んだ。
「・・・これだから人間は、好かん。」
吐き捨てるような乱雑で冷たい言葉。
ベタン、ビタン、とまたあの不機嫌そうな足音がした。
「・・・お下がりください。」
「退け。お前に用はない。」
前を向くとジェイスさんの背中が見えた。
それでも尚、あのイルと呼ばれた竜人の顔が見えるくらい、相手の背が高いことに驚く。
「騎士、そこを退け。片角と言え、人間の力でこいつには到底敵わん。」
「関係ない。仲間に危害が加わるかもしれない状況で、退く方がおかしい。」
「じゃあここで死ね。」
「!?ちょっ、ちょ、ちょっとっ!!待ったああああ!!!」
過去一番、大きな声が出て自分でも吃驚した。
だって騎士団も竜人もマジで話聞かない奴ばっかりじゃん!?
今までそれでも困るのは俺だけだったからいいとして、死人が出るのは本当っ、勘弁しろ!
「ジェイスさん!!俺、大丈夫なんで!退いてほしい!」
「っ、退かない。」
「~~もうっ、リーディア様!少々力をお借りできますか?!」
「・・・くふっ、ふふ、私を頼るとは、良い度胸だなあ。」
「?!レヴィっ、君は何を言っ」
「ほれ、少し眠るといい。」
一瞬で、ジェイスさんの目の前に移動したリーディア様。
両手で頬を触られた後すぐ、ジェイスさんは膝から力が抜けてそのまま前のめりに倒れ、リーディア様はその大きな体をいつもの俺みたいに担ぎ上げて、洞窟の奥の部屋へ運んでいった。
・・・あの細身で、腕力どうなってんの・・・?
「お前らも動くな。殺すぞ。」
「動かないわよ。あ、座るくらいはいいかしら?」
「・・・チビになんかしたら許さねえぞ。」
「・・・チビ言うな。阿保、カルマ。」
意外なカルマの一言に、不思議と力が抜けた。
二人が少し離れたところに座るのを見届けて、俺は前を向く。
リーディア様と同じ、縦型の瞳孔。
だけど、色は透き通るような琥珀色。
深い皺がよった眉間に、青筋の浮かぶこめかみ。
「人間は、好かん。」
「俺も貴方のこと好きじゃないです。」
「・・・そうか、」
「・・・え?」
何で、そんな嬉しそうに笑うんだろう。
人間が嫌いって言ったのに、どうして俺のこと────
「・・・あの、苦しい、です・・・」
「うるさい。黙れ。」
「・・・首がっ、い、痛い、です。」
「・・・文句が多い奴め。」
嫌なら離せばいいのに、と口に出さなかったのは腕の力が少しずつ、少しずつ緩まっていったから。
全身の骨が軋みそうなくらい、大きくぎゅっと包み込まれた俺の体。
────昔、家の近くの森で迷子になったことがある。
ようやく俺を見つけた時の、慌てふためいて突撃してきた婆ちゃんの姿と重なって、ちょっとニヤけてしまう。
『会いたかったのは、君じゃない。僕は────に会いたいのに。』
イーライと初めて会った時、頭に浮かんだこの言葉。
それは、きっとこいつのこと。
何の確証もないのに確信に近い理由は、いくら考えたところでこれっぽっちも浮かんでこなかった。
ディランさんにそう尋ねると『人間にはそんなことできない』と悔しそう顔をして、何故かジェイスさんの方が慌てた様子で立ち上がり、呆気に取られていた。
「ディラン、お前・・・・・・まさか何の説明もなしにあの本を使ったのか!?」
「だって面倒くさかったんだもの。持ち出したのバレたら怒られるでしょ。」
「・・・・・・レヴィ、帰ろう。」
「ぶふっ!か、か、帰る!?今から?!」
「小僧が死ぬのも時間の問題かあ。達者でなあ。くふっ、」
「死!?何?!ちょ、ちょっと、誰か説明して!?」
竜人の女性はリーディアと言って、ディランさんとは長い付き合いらしい。
『小僧は私を名で呼ぶといい』と何故か特別な許可(?)をいただいて、恐る恐る『リーディア・・・様』と名前を口にすると大層満足そうに微笑んでいた。
リーディア様は大の酒好き。
ディランさんが持ってきた小さな酒樽(それでも結構量ある)が三十分も経たないうちに一つ空樽へ。
平然とした顔のまま、二つ目の酒樽の蓋を指先一つで弾き飛ばすこのお姉様、本当に底が知れない。
「・・・あれは触れた者を心身の状態を鑑定をする本だ。体の状態、病気の有無、魔力の性質から量まで全て。」
「・・・へ、へえ・・・」
「国宝級の禁書を・・・・・・禁書棚から持ち出したな?」
「え゛!?こっ、国ほっ、・・・・・・禁書!?」
ジェイスさんを見ながら、べえっと、不味いものを食べた時のように舌を出すディランさん。
空気を読んだカルマが端っこの方で手招きをする。
ふらふらとした足取りで、カルマの隣に座ったのも気がつかないくらいジェイスさんはディランさん集中状態だった。
「申請通るまで早くて半日よ?そんなに待てないわ。しかもレヴィちゃんのは"読めなかった"の。」
「まさかあの蟻みたいなやつですか・・・?」
「そーよ。まるで何かを隠すみたいに・・・・・・だからここまでわざわざ来たのよ。」
「・・・鑑定される側の同意は義務。レヴィが訴えれば、禁固刑だ。」
「禁・・・!?う、う、訴えたりしません!!」
「賢明な判断ね♡さすが俺のレヴィちゃん♡」
ちゅーっ、と口を尖らせ両手を伸ばしてきたディランさんにジェイスさんは風の塊のようなものを飛ばして追い払う。
リーディア様はそのやりとりをけたけた笑いながら見ていた。
・・・どうしよう。
カルマの隣が一番安全かもしれない未だかつてないこの状況を、どうしよう。
「竜は人より目と鼻がよくてなあ。魔力に敏感なんじゃ。」
「・・・そ、ういえば、騎士団にいる竜たちにも言われました。"俺たちみたいな匂い"がするって。」
「くふっ、ふ、ふふっ、楽しみだなあ。もう来るぞ。」
「・・・え?」
そう言って、リーディア様が上を見た。
俺もつられて上を向く。
洞窟内のぼこぼこした岩の天井があるだけ。
リーディア様と目が合うと、テーブル代わりにしていた大木をふわりと乗り越えて、俺の隣に座った。
俺と同じ黒い瞳が近づいて、緩やかに弧を描く。
優しい手つきで頭を二度撫でられた頃、さっきまで俺たちがいた天井の入り口があるあたりから土煙と共にとんでもなく大きな破壊音がした。
「戯けめ。壊しおったな。」
リーディア様の舌打ち、迫力がある。
すっと、立ち上がったリーディア様。
破壊音がした方から不機嫌そうに踏み鳴らす足音が、少しずつゆっくりと聞こえてきた。
ジェイスさんが片手を前に出し、小さくふっと息を吐く。
流れるような風が一気に吹いて、目の前の土煙があっという間に晴れていった。
「ニ十年振りかえ、イル。相変わらず加減を知らん奴じゃの。」
「・・・・・・(イル、)」
夜空のような、濃紺色の髪。
食いしばるように噛み締められた歯は鋭く、頭上の二本の角のうち、片方が途中から折れていた。
だから、片角────・・・
「小僧、なぜ泣く?」
「・・・・・・え・・・?」
定まらなくなっていた焦点が、赤い髪を捉える。
段々視界がはっきりとしていくと、俺を射抜く黒い瞳が見えた。
リーディア様の言ってる意味がよくわからなくて、俺は自分の頬に手を伸ばす。
手にしっとりとした湿り気を感じて、自分の手を見返した。
たった今、雨が空から落ちてきたみたいに、他人事のように思えた。
「わ、かりません・・・な、んで・・・俺・・・」
雫は勢いを増し、ぽたり、ぽたりと落ちてくる。
自分の意に反して溢れるそれを、どう止めていいのかわからない。目元を袖口で拭うと、ひりひりと少し痛んだ。
「・・・これだから人間は、好かん。」
吐き捨てるような乱雑で冷たい言葉。
ベタン、ビタン、とまたあの不機嫌そうな足音がした。
「・・・お下がりください。」
「退け。お前に用はない。」
前を向くとジェイスさんの背中が見えた。
それでも尚、あのイルと呼ばれた竜人の顔が見えるくらい、相手の背が高いことに驚く。
「騎士、そこを退け。片角と言え、人間の力でこいつには到底敵わん。」
「関係ない。仲間に危害が加わるかもしれない状況で、退く方がおかしい。」
「じゃあここで死ね。」
「!?ちょっ、ちょ、ちょっとっ!!待ったああああ!!!」
過去一番、大きな声が出て自分でも吃驚した。
だって騎士団も竜人もマジで話聞かない奴ばっかりじゃん!?
今までそれでも困るのは俺だけだったからいいとして、死人が出るのは本当っ、勘弁しろ!
「ジェイスさん!!俺、大丈夫なんで!退いてほしい!」
「っ、退かない。」
「~~もうっ、リーディア様!少々力をお借りできますか?!」
「・・・くふっ、ふふ、私を頼るとは、良い度胸だなあ。」
「?!レヴィっ、君は何を言っ」
「ほれ、少し眠るといい。」
一瞬で、ジェイスさんの目の前に移動したリーディア様。
両手で頬を触られた後すぐ、ジェイスさんは膝から力が抜けてそのまま前のめりに倒れ、リーディア様はその大きな体をいつもの俺みたいに担ぎ上げて、洞窟の奥の部屋へ運んでいった。
・・・あの細身で、腕力どうなってんの・・・?
「お前らも動くな。殺すぞ。」
「動かないわよ。あ、座るくらいはいいかしら?」
「・・・チビになんかしたら許さねえぞ。」
「・・・チビ言うな。阿保、カルマ。」
意外なカルマの一言に、不思議と力が抜けた。
二人が少し離れたところに座るのを見届けて、俺は前を向く。
リーディア様と同じ、縦型の瞳孔。
だけど、色は透き通るような琥珀色。
深い皺がよった眉間に、青筋の浮かぶこめかみ。
「人間は、好かん。」
「俺も貴方のこと好きじゃないです。」
「・・・そうか、」
「・・・え?」
何で、そんな嬉しそうに笑うんだろう。
人間が嫌いって言ったのに、どうして俺のこと────
「・・・あの、苦しい、です・・・」
「うるさい。黙れ。」
「・・・首がっ、い、痛い、です。」
「・・・文句が多い奴め。」
嫌なら離せばいいのに、と口に出さなかったのは腕の力が少しずつ、少しずつ緩まっていったから。
全身の骨が軋みそうなくらい、大きくぎゅっと包み込まれた俺の体。
────昔、家の近くの森で迷子になったことがある。
ようやく俺を見つけた時の、慌てふためいて突撃してきた婆ちゃんの姿と重なって、ちょっとニヤけてしまう。
『会いたかったのは、君じゃない。僕は────に会いたいのに。』
イーライと初めて会った時、頭に浮かんだこの言葉。
それは、きっとこいつのこと。
何の確証もないのに確信に近い理由は、いくら考えたところでこれっぽっちも浮かんでこなかった。
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